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vol 126:童子の記憶
「奈々、お誕生日おめでとう。」
「ありがと、おじいちゃん!。」
「奈々!ダメじゃない、嘘なんてついちゃ!。」
「ごめんなさい・・・ママ。」
「あははは!奈々すごく上手よぉ?。」
「うん!ママ!。」
「ななちゃん、この子、ももちゃんね?。」
「ななのは、さくらちゃんね。」
童子の記憶。
楽しい記憶に、怒られた記憶、
友と過ごした記憶。
様々な記憶が我らに伝わる。
母親は、仕事の様だ。
童子は家の鍵を閉めて、友の家へ向かう。
すれ違った犬を見たり、
信号を待ったり。
友の家の前まで来た。
インターフォンに手を伸ばしている。
「君・・・愛のお友達?。」
男が背後から声をかけた。
ゆっくりと童子は振り向く。
童子が見た男。
中年の良く太った男だ。
「おじさん、愛のパパなんだけど、
今、愛はおばあちゃんちでね。
遊ぶ約束をしたって言うもんだから、
おじさん今から迎えに行くんだよ。」
「愛ちゃんと遊ぶ約束したの。」
「そうかい。じゃー、おじさんと一緒に、
愛を迎えに行ってくれるかい?
愛もきっとビックリするよ?。」
笑んで童子に声をかける男。
「いーよ?。」
「そうかい!愛、喜ぶなぁ~。」
童子の手を掴んで歩き出す。
近くに止めてある黒の車に乗せて、車内で童子にジュースを飲ませた。
そこで一気に映像が変わる。
(おじさん・・・おじさん。)
既に命絶え、どこかの部屋に居る。
男は洋服や下着を握りしめて自分の鼻に擦りつけている。
童子は、ふと下へと視線を向けた。
そこには全裸で横たわった自分。
男は絵の額を外すと壁に埋め込まれている、
金庫のような物を開けて中に服や下着を詰め込んだ。
その中には幼児の衣類が詰め込まれていて、
再び元に戻すとビニール袋に童子の遺体を入れて、
再び外へ。
(ねぇ、おじさん。愛ちゃんはどこ?。)
童子は状況が理解出来ていない。
袋を車に乗せて移動する。
そこはかなり離れた民家のある場所で、
ゴミ捨て場に男は遺体を置く。
そして童子は強く想った。
(ママ・・・ママぁ。)
場所は瞬時に移動し、帰っていない娘の心配をする母親の元へ。
「家の玄関に名札があったな。
父親、母親、子供の順に名前が書かれてあった。」
弥勒が記憶から見た事を口にする。
「そうだね。犯人はそれで愛って名前が解ったんだ。」
兄様は肉体から手のみを霊体で出し、
童子の頭を撫でた。
「ななが初めてやなさそうやったな、あの変態。」
「だな。近くに住んでいる。
また、子供を狙うぞ。」
「そうはさせるか!。」
弥勒の予想にカンの感情が湧き立つ。
「シロ、お前、ななの記憶から変態男の気を探り出せ。」
「?。」
「せやから、場所をつきとめるんや。
大樹、シロが戻ったら蛇達を呼んでくれ。」
「お前・・・何をすると言うのだ。」
「何を言うとんねん。あんな変態、
しかも俺ら顔見たんや。
また誰かが命落とすの解ってて、見過ごせるか!。」
まさか、
「カンよ、お前はあの男に罰を与えようと言うのか。」
「せや。この世界の罰をなぁ。」
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