vol 117:ネットゲーム




インフルエンザで学校が5日も休みで、

カンも弥勒も居ない。

DVDも全部見たし、やる事のない暇な毎日。

熱もすっかり下がったから余計に。

そこで、ついやってしまったのがネットゲーム。

動物を飼ったり、

オシャレして自分の家も好きな家具を揃えたり。

友達もゲームの中で出来る。

顔も知らない人とチャットして、

ゲームの世界で暮らす仕組み。




俺は、たいじゅ という名前でキャラクターを作成。
それすらも楽しくて。
そこに、カンと同じ名前の男の子を発見してさ。
でもその子は現実の世界では女の子。
カンとは別人な事わかっていたのに、
ゲームの中のカンを俺の知っている恋人のカンとダブらせてしまった。

夜も寝ないで徹夜でゲーム。
カンは俺の熱が下がったから職場で泊まってる。
その寂しさもあるんだろう。
電話をしても、ほんの数分しか話せない状況。

ゲームのカンは俺とずっと一緒に居てくれて、

「たいじゅ、スキ~。」

なんて可愛いく言ってくれる。
抱きしめる真似事をしてみたり、
キスする真似事をしてみたり。

この子はゲームの相手で、
しかもカンじゃないのを解っているのに。

ネットゲームの世界は、
ゲームと言えども人間関係のバーチャル世界。
いろんな奴がいて、
そこでもイジメなんかあったりして。
イジメと言っても、
言葉の暴力。

この世界の住人は、
やっていて気付いたけど、
現代の世界で暗い子や、無口な子が、
ゲームの中の自分では明るかったり、良く話す子になっている。
ある意味、精神の世界。
どんな自分にもなれる世界。
そこは心の世界で、自分が理想の人間になれる世界なんだ。

その事をみんなどっかで解っていて、
でも、現実の世界ではゲーム上の自分に変わるのも怖く、
勇気もなくて。

そして、ゲームの世界に依存してしまう。

俺も、依存しかけてしまった。

そうなれば、現実の世界の俺は急激に変化する。

はやく、ゲームの世界に行きたくて、

誰かがいるとイライラしたり。

はじめは堂々とやっていたのに、
徹夜してまでやってると、
周りは心配と呆れで注意をしてしまう。

「大樹、またやってんのか?それ。」

部屋にいきなり入って来た弥勒に声を掛けられた。
またって言う言葉に自分でも解らない腹立ち、

「夕飯だったら、俺今日いらないよ弥勒。」

精神的な世界故か、
食欲よりも、まだゲームの中に居たいと思ってしまう。

「おい、お前昼も食わなかったじゃねーか。
パジャマのままだし。」

「・・・もう、いいから。
俺、子供じゃないんだし、腹減ったら自分で食べるよ。」

イライラする。

その反面、この事をカンに言われたらって怖くなる。

ゲームの中で俺は、
この世界のそんな人達に現実の疲れや、
不安を癒せて、
リアルでもこうなれるように勇気を与える存在になりたかった。

現実の世界でそれを行っているカンを、
どこかで羨ましかったんだと思う。

いろんな人の悩みを聞き、
ゲームの中でイジメが起こると参戦。
実際の俺じゃ言わない言葉もここではスラスラ出る。

でも、カンを真似てる自分に気付いてた。

カンが帰ってくると、
その日の夜はゲームをしなかった。
ゲームの話しもしない。
知られたく、なぜかなくて。



「大樹・・・お前、痩せた?。」

「え?。」

やっぱり、俺の雰囲気が変わってるんだ。
隠していても、カンは人の心を読み取ってしまう。

「う~ん。最近食欲なくてさ。」

笑って言うもカンは眉尻下げて心配そうな顔を向ける。

「どないしてん。病気は薬師が治療したはずやし。
それに・・・その後ろの子誰やねん。」

後ろの子?。

気付かなかった。
それ程、現実から離れてたんだ。
霊に気付けない程に。

振り向いて集中すると、
ぼやけて女の子が見える。

え・・・、
集中しないと見えないのか?俺。

ここで初めて怖くなる。

今の自分に。









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