藍上雄のガラクタ箱

風が吹くと桶屋が儲かる

 「風が吹くと桶屋が儲かる」という小話はあります。多くの方はよくご存じの事だと思います。


  風が吹けば桶屋が儲かる(かぜがふけばおけやがもうかる) 思わぬ結果が生じることの喩え。あるいは、当てにならぬ期待をすること。

 「今日の大風で土ほこりが立ちて人の目の中へ入れば、世間にめくらが大ぶん出来る。そこで三味線がよふうれる。 そうすると猫の皮がたんといるによって世界中の猫が大分へる。そふなれば鼠があばれ出すによって、おのづから箱の類をかぢり おる。爰(ここ)で箱屋をしたらば大分よかりそふなものじゃと思案は仕だしても、是も元手がなふては埒(らち)明ず」  出典:世間学者気質より


 「大風」について、風によって砂埃が立ち始めるのは、ビューフォート風力階級によると階級4で「和風」(風速5.5〜7.9m/s)ですからそれ以上の風速の時に砂埃が立つ物と考えられます。ちなみに時速で考えると22km/hぐらいです。このぐらいの風速の風は、かなり頻繁に吹くのでは・・・。砂埃でめくらに成るケース余り多いとは考えられませんが、無きにしも非ずですが…。

 めくらに成ると、三味線を弾く人が多くなる。鼓女や座頭さんの事だと思います。江戸時代から、視覚障害者の対しての保護する制度があってキルド等の組合的なものが出来ていたとの事です。

 三味線を作るために、猫をたくさん捕らえるので、猫の個体数が減り、鼠を捕るものがいなくなり、鼠が蔓延るようになる。

 鼠は、何でも齧るので、桶も齧って壊してしまうので、桶屋の仕事が増える。

                                              という論法です。

 最初の二つの論法には無理が有るかも知れませんが、でも幕府などの視覚障害者への保護政策により、生活に困窮した者は、鼓女や座頭として生活を繋ぐ事を考えたかもしれません。後半は、自然均衡が崩れてしまった為の結果なので、なかなか筋が通っていると思います。

 少し、整理してみると、(あくまで個人的な意見ですので、その点をご了承願います。)

 風が吹くとめくらが多くなるのは、幕府(政府)の政策の依る処が大きいのかもしれません。

 めくらが増えると、三味線が良く売れる、というのは、視覚障害者全体の人数が増えるので、比例配分的に増える。

 鼠の天敵である猫の数が減る訳なので、鼠は増えるかもしれませんが、そうなれば、「猫いらず」等の薬品が売れるようになるケースもありますが、「猫いらず」は登場するのは、1905年(明治38年)に成ってからの事です。

 鼠は、堅い物を齧り続けないと門歯が伸びてしまうので、木工品全般に被害が及ぶ事になると思います。

                                                                            つまりこういう事だと考える次第です。

 まさかとは思いますが、穿った考え方をすると、風が吹く=流行に乗る・めくら=盲目的に見る・三味線を弾く=でたらめな情報を流す・鼠=泥棒・桶=入れ物として、解釈して、これらを繋げて解説すると、風評にが流されて、盲目的にでたらめな情報を聞いていると、嘘は泥棒の始まりと言われる通りに泥棒が増え、桶ごと盗んでゆくので、桶の需要が増えるので桶屋がもうかる。とも考えられます。まぁ、考え始めると切りが無いテーマなので、このくらいで止めて措く事にします。