藍上雄のガラクタ箱

オイラーの多面体公式

 レオンハルト・オイラー(Leonhard Euler)氏について、少し書いてみようと思います。とても偉大な数学者です。1707年スイスに生まれる。父親は、牧師を本業とするアマチュアの数学者だったそうです。何より、ベルヌーイ家と親交があった事が才能を開花させた一因だったのかもしれません。しかし、数学における彼の業績は、途轍もないものです。定数・係数・定理・公式・等オイラーを冠とする。数学史上に残した足跡は、多大です。

 オイラーの多面体公式について、特に何かの役に立つ公式と云う訳ではありませんが、面白い公式なので考察してみようと思います。

 オイラーの多面体公式: 面の数-辺の数+頂点の数=2

 最初に、厚さの無い板状の多角形(n角形)を考えてみます。それぞれ面の数=2:辺の数=n:頂点の数=nとなるので、2−n+n=2と成り成立しています。板状のn多角形の表面をA面、裏面をB面としておきます。注:この板状の平面に折り目を付ける場合、単に辺と面が一つづつ増えるだけなので問題なく成立します。

 板状のn多角形の表面から離れた場所に、頂点(α)を1つ作る事を考えます。面の数は1つ減ってn個増えます。面の数=n+1:辺の数=n+n:頂点の数=n+1なので、n+1−(n+n)+n+1=2と成り、A面、B面どちらにも成立する事象なのでこの公式は成立しています。このケースは一つの面に対して表面から離れた場所に、頂点を一つ増やす場合に適応できるので、これをケース@としておきます。

 もうひとつ頂点(β)を増やしてみましょう、前回、頂点を増やした面をA面とします。A面に頂点(α)と並べて頂点(β1)を作ります。面の数は、変わりません、辺と頂点の数だけ1つづつ増えて、面の数=n+1:辺の数=n+n+1:頂点の数=n+2と成ります。n+1−(n+n+1)+n+2=2なので、この公式は成立しています。このケースは一つの面に対して表面から離れた場所に、頂点を2つ増やす場合に適応できるので、これをケースAとしておきます。もちろんケース@と同じ場合もあるわけですから、この公式は成立します。

 また、もうひとつ頂点(γ)を増やす事にします。ここでは、点α・β1・γ1でA面と平行する三角形を形成するように、頂点(γ1)を作ります。面が一つ増え辺が2つ増え頂点が1つ増える事になります。n+2−(n+n+3)+n+3=2と成るのでこの公式は成立します。このケースは一つの面に対して表面から離れた場所に、頂点を3つ増やす場合に適応できるので、これをケースBとしておきます。このケースは、一つの面に対して表面から離れた場所に、頂点をm個(3≦m≦n)増やす場合に対応しているので、n+2−(n+n+m)+n+m=2と一般化することができます。

多面体の内側に頂点をとった場合についてです。n角錐の底辺で考えてみる事にします。面の数=n+1:辺の数=n+n:頂点の数=n+1です。内部から底辺に向かって形を作ると、面の数=n+n:辺の数=n+n+n:頂点の数=n+2と成ります。n+n−(n+n+n)+n+2=2なので成立します。

 あとは、ケース@・ケースAが適応できるので、問題なく成立します。

 以上の事により、面の数-辺の数+頂点の数=2は成立しています。

 但し 面の数が0の時、は成立していません。

 もう少し考察を重ねてみます。n角錐の底辺に窪みを作る場合です。窪みの外周はm角形とします。面の数=n+1:辺の数=n+n:頂点の数=n+1です。これに窪みを作ると、面の数=n+1+m:辺の数=n+n+m+m:頂点の数=n+1+m+1です。この場合は、面の数-辺の数+頂点の数=2+面に作った窪みの数 という事に成ることが考えられます。(多面体が2個あると考えると、2個分の結果となるはずですが、窪みである多面体には底の部分の面がないために、一つ減る事によりものです。そして窪みどうしが、辺を共有していれば、辺の数が1つ減り、頂点の数は2つ減ります。この場合は公式が成立し無い様に見えますが、問題が複雑なだけで基本的にはこの公式で説明する事が出来ます。注:窪みは、瘤である場合いにも適用できます。

 更に、ドーナッツ状で穴のあいた多面体について、この場合も複合体と考えると、外側の多角形と穴の部分の多面体の合成多面体と考える事が出来ます。しかし穴の部分の多面体には、外側の面が二つ無いだけの事なので、慎重に考えてゆくとこの公式で説明することが可能です。