藍上雄のガラクタ箱

縄跳びの縄(後)

 縄跳びの縄(前)からの続きです。長さLのロープを、点A(-a.0)と点B(a.0)の間で回転させることを考えます。回転のエネルギーは、支持点間の直線とロープで描かれる曲線に蓄えられるので、この面積を最大にする曲線が求める曲線であると考えます。突き詰めて考えてゆくと、長さが2aπの縄を、点A(-a.0)と点B(a.0)の間で回転させるときれいな球を描く事になるはずですが、球と成らない場合は、まだエネルギーが入り込む余地があるからではないかと考えます。

 考えられる曲線として、@放物線(2次曲線)・A楕円・B測地線が挙げられます。その一つ一つについて、吟味してみようと思います。

 @放物線(2次曲線):y=bx^2-ba^2 この関数は点A(-a.0)と点B(a.0)の2点間を通る事になります。y'=2bxで、L=2summax=0〜x=a1+(2bx)^2dx = [2{x+2/3b^2x^3 }] = 2a+4/3b^2a^3 この時の面積D1は、D1=2summax=0〜x=a(bx^2-ba^2)dx=[1/3bx^3-bxa^2]=1/3ba^3-ba^3と成ります。D1/L=(1/3ba^3-ba^3)/(2a+4/3b^2a^3)=(-ba^2)/(3+2b^2a^2)と成ります。dD1/db=1/3a^3-a^3またdL/db=8/3ba^3なので、dD1/dL=-1/(4b) bが0に近づく事は、単に直線に近づく事であり。面積も0に成るだけの事です。


 A楕円:(y/c)^2+x^2=a^2 という楕円が考えられます。y=c(a^2-x^2)^(1/2)  : z=a^2-x^2  dz/dx=-2x :dy/dz・dz/dx=1/2c(z)^(-1/2)2x :  dy/dx=cx(a^2-x^2 )^(-1/2)  L=2summax=0〜x=a{1+(cx)^2/(a^2-x^2 ))}^(1/2)dx = 2summax=0〜x=a{(a^2+(c^2-1)x^2)/(a^2-x^2 ))}^(1/2)dx ここで、g(x)=(a^2+(c^2-1)x^2)^(1/2) ・ h(x)=1/(a^2-x^2 )^(1/2) 置きます。L=2summax=0〜x=ag(x)h(x) dx として、2つの関数の積としてあつかうには複雑になりすぎるので、極座標を用いて考える事にします。(y/ca)^2+(x/a)^2=1:x=a cosθ y=ac sinθ:0≦θ≦π/2:dx/dθ= a sinθ dy/dθ= ac cosθ L=2a summaθ=0〜θ=π/2((sinθ)^2+(c cosθ)^2)^(1/2)dθ L/(2a)=summaθ=0〜θ=π/2(1-(1-c^2) (cosθ)^2)^(1/2)dθ :q^2=(1-c^2) と置き|cosθ|≦1かつqが|q|<1であれば、L/(2a)=summaθ=0〜θ=π/2(1-(q cosθ)^2)^(1/2)dθ=summaθ=0〜θ=π/2(1-1/2(q cosθ)^2-1/(2・4)(q cosθ)^4-1/(2・8)(q cosθ)^6-…)dθと二項展開する事が出来その項別に積分を行う事にします。L/(2a)=summaθ=0〜θ=π/2(1-1/2 q^2 (1-cos2θ)/2 - 1/(2・4)q^4・ 1/8((2-4cos2θ+1-cos4θ)-1/8・q^6・1/8(1-3cosθ+3/4(1-cos2θ)-1/4(cosθ-cosθcos2θ))…dθ=[π/2-π/8 q^2-3π/64 q^4-π/256 q^6(4-12+3-1)]+summaθ=0〜θ=π/2(cosθcos2θ)…dこのように成ります。(この数式の後半の方はもう一度吟味する必要がありますが、後半の値は小さなものでそれほど大きな影響はないものと考えます。次にこの楕円の面積についてです。:(y/c)^2+x^2=a^2 :y=c(a^2-x^2)^(1/2) x=a sinθ とする(これは便宜上に置きかえる為ものです。)、この面積D2=2a^2csummaθ=0〜θ=π/2((1-(sinθ)^2)^(1/2)cosθdθ=2a^2c summaθ=0〜θ=π/2(cosθ)^2dθ=a^2c summaθ=0〜θ=π/21+cos2θ dθ=[θ+1/2sin2θ]=1/2πa^2cと成ります。D2/L=(πac)/4(π/2-π/8 q^2-3π/64 q^4…) ちなみにD2/Lのとりうる最大値は c=1の時で a/2と成ります。dD2/dc=1/2πa^2また、dL/dc=π/4 c+3π/16 (c-c^3)…なので、dD2/dL=8a^2/(7c-3c^3)…)cが0に近づく事は、単に直線に近づく事であり。面積も0に成るだけの事です。


 B測地線:このケースはr≧a場合に限られます。半径rの円を、長さ2aの直線で切り取られた、長さLの弦について考えます。L=rarcsin(a/r) この弓形の面積D3は、D3=1/2arcsin(a/r) r^2-a(r^2-a^2)^(1/2)と成ります。D3/L=(1/2arcsin(a/r) r^2-a(r^2-a^2)^(1/2))/(r arcsin(a/r))=(arcsin(a/r) r^2-a(r^2-a^2)^(1/2))/(2r arcsin(a/r))  ちなみにD3/Lのとりうる最大値は a/2と成ります。 dD3/dr=2r arcsin(a/r) またdL/dr=a/(r^2(1-(a/r)^2)/(1/2))+arcsin(a/r) なので、dD3/dL=2rarcsin(a/r)/(a/((r^2(1-(a/r)^2)/(1/2))+arcsin(a/r) ) この式の分子はrが∞に近づくに連れ変化値が少なくなってきています。

 こう考えてみると、@の場合よりも、完全な半円を作れるABの場合の方が、有利だと思います。D2/D3について考えてみたいと思います。D2/D3=(πa^2c)/(arcsin(a/r) r^2-2a(r^2-a^2)^(1/2))  :(dD2/dc)/(dD3/dr)=(πa^2)/(2r arcsin(a/r)です。 この式を見る限りにおいてはAの場合が、安定していると思われます。

 追記:途中式に不備があるかもしれません、気がついた時点で訂正させて頂く事として、取り合えずこれにて失礼させていただきます。