赤字は 各項目の末尾から制作過程の「詳細説明」に跳べます
アルミ線で黒竹を筏状に繋いだだけで、漆を扱う前の作品。
黒竹の節を適当に切り揃えて、2ヶ所を盆栽用のアルミ線で結んだ。そして針金の端が出ないように竹の中に隠すようにした。しかし竹の間にアルミ線が見えて面白くないし、節がぶつかり合って台としては不安定だ。いろいろと試行錯誤しているうちにアルミ線が切れてバラバラになってしまった。部材としても余りよい竹でもないので、この記念すべき作品は廃棄処分になった。▲TOP▲
翠簾洞を開く以前のまだ拭き漆の考え方が決まる前の作品。
素材は東急ハンズで買った南洋材で、八つ橋と筏の形から構想した。地板を磨くという概念がなく、ペンキを塗るような感覚で筆塗りしたが、板表面の粗さが一層目立つようになった。部品の接着は参考書で読んだ糊漆を作って貼付けた。
後日久し振りに表面を磨いたところ片方の板が剥がれた。糊漆が体収縮して締まったようだ。ほぞ穴をあけ竹串を立てて木工ボンドで接着し直した。硬化後梨子地漆を塗った。地板の鋸跡は重ね塗りしても変わっていない。▲TOP▲
板は紫檀、竹は黒竹。自宅の竹林で根元から2本立ちになっている細くて短い桿を見つけた。それが短いなりに節が細かく出ていて、立派に小さい竹の桿の体をなしている。これをそれぞれに出ている枝が傷まないように土中の根から慎重に採り込んだ。
付いていた葉は枯れて落ちてしまったが小枝が残った。そこで各枝の葉が落ちたところに朱漆を丸く付けて紅梅の蕾に見せるようにし、更に根で作った庭石見立てと併せて庭隅の景を写した。これを長方形の板に載せた。しかしそれだけでは物足りないので、板の下に竹の桿を3本並べ流水に見立てた。▲TOP▲
ホームセンターで晒し竹を買ってきて始めて作った杖。
中空の竹で柄を如何にして作るかがカギだった。桿の中に径10mmの木棒を入れ、T字型に組み付けた。
始めは糊漆を作って固めたが、体収縮するので柄に緩みが出た。次にウッドエポキシで固めたところ、うまく硬化し、実用上問題がなくなった。
節陰だけの簡単な作りだが、年と共に漆が透き透ってきて、却って美しい。石突き側に入れた錘の効果で振り出しがとても軽く、使い心地がよい。▲TOP▲
黒檀の端材の活用を考えた。端材が余りに小さくて4本足にすると脚部が目立ちすぎる。そこで、3本脚で脚自体が装飾性を持ったこのデザインが浮かんだ。
同時にこのような脚部が天板の外に出る接続工法の試作として仕掛かり、成功した。▲TOP▲
初めて木地の磨きと拭き漆の工法を使った紫檀の飾り台。
紫檀を磨くのにサンドペーパーを手持ちで磨いたので、紫檀の木目が出て、表面にゆるい凹凸が出ている。柱は黒竹の曲がり根を活かして<柱を見せる>デザインを考えた。
脚の接続が弛まないようにほぞ穴を小さめにしての4本の竹柱をきつく挿し込み、垂直を保つように緊縛してボンドの硬化を待った。これで捻れが無くなりうまく出来たと思われた。
しかし、無理な矯正が竹にストレスを与える結果となり、3ヶ月も経つと徐々に撓みが戻って歪みが明らかになってきた。
手で捻ってその歪みを直そうとしているうちに分解してしまった。対策として、竹柱には応力が働かないようにほぞ穴を大きくし垂直の保持に留意しながら、ボンドの硬化に任せて接着した。
これが成功し、半年後も歪みは見えないので呂色漆で「芽描き」を入れて完成とした。▲TOP▲
最初の実用的な飾り台。上下の板は幹肌が残る端材なので長方形ではなく、天板は地板より幅が狭い等、柱の取り付け方に工夫がある。三本脚たる所以である。
竹柱は地板の厚さだけ切り取って、上下から挿し込んでいる。天板・地板と柱の接続にはほぞ穴に10mmの木芯を入れてある。竹の節は半ば残して平滑に磨き、節陰を濃くして竹らしさを強調した。
和竿美術館まで持参して鈴木秋水先生のお目に掛けたところ「しっかり節陰が付いている」とのお言葉を頂いた記念すべき作品である。▲TOP▲
「水牛の置物の台」という注文制作。板厚が稍薄いので竹を短く切った脚を付けるというデザインにした。
梅雨時に地板が反ってしまった。一応乾燥して反りが消えた時点で、木口に溝を切り込み、皮付きの竹芯を入れた。竹材は漆が薄く見えるので一見模様のようになった。但し反りに対しては殆ど効果がなかった。不満が残る作品。▲TOP▲
一枚板の飾り板を作っているうちに、八つ橋風の棚が思い浮かんだ。薬師池公園菖蒲園の八つ橋が機縁である。
しかし、盆栽には必ず右流れと左流れがある。従ってこの形で固定すれば左右のいずれかに決まってしまって、逆流れには使えなくなる。そこで左右自在の棚を考えた。
下部板を布袋竹の太幹の切り込みで支えるようにしたのがミソであった。これで左右変換が可能になり、同時に安定感も得られた。
上部板は表裏反転ではなくて左右反転で前後を入れ替えれば両面使いに対応できる。その脚柱は端の2本をやや斜めに立て、布袋竹の支点との3点で長い三角形に作った。
しかしこの2本の脚柱は、薄い板に立てるのでほぞ穴が浅くてグラグラが止まらなかった。ここで座卓の脚などを見ると必ず天板の裏に幅木が付いている。そこで2本の脚柱の間に溝を掘り角棒を埋め込んで幅木としたところ、期待以上に見事に脚部が安定してしまった。▲TOP▲
ホームセンターの端材売り場に一部幹肌が残っている厚板があり、面白いと思い買って置いた素材である。
完成後玄関で豆盆栽の飾り台として使ってみると、片流れが面白い反面、平面でない部分が傾斜のために光の反射があり、白く見えることがある。クセがある台なので上に載せる主題が選ばれるところだ。▲TOP▲
庭の椿の実のはぜた殻が面白い形なので、試しに余った漆をかけてみたところ大変綺麗に仕上がったので、ブローチにしてみた。
裏側には茎が出ていて平らでないので、留め針を付ける範囲だけを削って平面を確保するのだが、泥細工のように羽根が脆くて工作中に半分くらいはもげてしまった。
ブローチの止め針を万能ボンドで接着したところ、存外と針がしっかりと着いて、羽根が折れるのを防ぐ効果もあるようだ。
殻は両手に一杯あったが、完成したのは9個だった。数人に進呈したところ大変好評だった。素材を明かしても椿の実の殻自体を知っている人はいなかった。
完成までの詳細は W76『椿の種子殻のブローチ』 を参照▲TOP▲
ホームセンターの端材売り場で仕入れておいた材料。
盆栽用の地板にはちょっと左右が長すぎる感じだが、使い道によってはそれが利点になるだろう。板目の模様は良くまた材質も堅くて良い。脚は付けていない。▲TOP▲
葉書サイズの豆板だが、材質が柔らかく、物をぶつけたり落としたりして傷を付けてしまった。僅かな凹みでも漆を塗るとはっきり出るので、和紙を表面に貼ることにした。
瀬〆漆を下塗りしてすぐに雲龍和紙を貼り付けた。初めての試みだったが、たやすく綺麗に貼れた。
乾燥後梨子地漆を塗った雲龍和紙の表面は意外に沢山の漆を吸い込んだ。3回塗って仕上げた。
全面真っ黒になったが雲龍和紙の繊維の凹凸が面白い。しかし、それだけにクセがある台になった。▲TOP▲
杖第1号を見た小学校の同級生が褒めてくれたので一本進呈することにした。
材料を考えた結果、黒竹の桿に布袋竹の柄で行くことに決めた。桿にする黒竹はホームセンターで探し、柄の布袋竹は釣り竿の「手許」用に持っていた根元材を使った。
元来釣り竿用の柄が長過ぎるので3cmほど詰めた。また下の3節に赤絹糸を巻いて強化しておいた。黒竹の材なので巻いた糸は漆を掛けたら、黒にまぎれて分からなくなってしまった。
9月27日納品すると、大変気に入ってもらえた。▲TOP▲
柄は布袋竹の根、桿は矢竹というユニークな素材。矢竹は細いものだが、これは先年矢竹林で採取しておいた珍しく太い矢竹だ。柄と繋ぐ10mmの木棒が軋みながらも辛うじて入る。
矢竹は節間が長く節も低く優しい感覚なので女性用に相応しい。桿の表皮を全部取り、薄い赤みを帯びた部分までサンドペーパーで研ぎ出した。
桿と柄の接合には多目的ボンドを使った。
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節が多い黒竹の桿に合わせて、柄も節が多い布袋竹の根部を充てた。
赤絹糸を巻いた桿の上下は黒竹の色と同じようで、そのつもりで探さないと分からないほどだ。
黒竹は肉が薄いのか、晒し竹よりも軽くて使いやすい杖になった。▲TOP▲
細身で丈夫な矢竹の桿に、布袋竹の根元の柄を合わせた。
柄の布袋竹の根元は節が高くて武骨だったが、山をすっかり削って丸くしたので見違えるように優しくなった。
柄の節を削った分だけ漆が染み込んで、柄全体が黒っぽくなった。それに合わせて桿の節陰も濃くした。
提げ緒には伊勢参りのときに買った和風の組紐を付けた。実用的ではないが女性用の杖に相応しいだろう。▲TOP▲
やや細めの晒し竹に、晒し竹1節の柄を付けた女性用。
節を完全に落し、表皮もすっかり削ったので、漆が濃い目に乗った。
この桿は軽くて使いやすい杖だ。しかし初期の作品で段巻きが無い。そこで今回細めの段巻きを付けて女性用らしく加飾することにした。。
赤漆段と金漆段を組み合わせて計6段の段巻きを付け、それぞれの覆輪にも変化を付け賑やかにした。
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黒竹の桿に、他の黒竹の根元から取った2節の柄を付けた。
柄は挿げ込み位置が丁度節に掛かるので絹糸を桿の穴の両側と、飾り巻きを付けて3ヶ所巻いた。
黒竹の節はあまり高くはないが、表皮とともに綺麗に削った。それでも桿の地色が黒くて、漆を掛けてもほとんど色が変わらず、艶が出ただけという程度だった。
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この杖は、布袋竹の柄で提げ緒も革紐という変わった素材を使っていて、またと出来ないユニークな作りだ。一寸太めの杖が、革の編み紐と相まって重厚な感じになっている。
完成までの詳細は W19『ステッキ 9号』 を参照▲TOP▲
2003年10月末、イシモチ釣りに行った。オモリ20号、海ほたる付近で雨中の釣りとなったが、釣果はかなりの良型で9尾。
この釣行で和竿の感度の良さが改めて判り、前々から作りたいと思っていた黒竹竿の制作に掛かる気になった。
しかし竿の竹選びが全く判らず、手許とすげ込みの穂持ちと、穂先も黒竹を選んだ。先穂だけが撓むという全くの先調子になったが、どうも竿として使えるかどうか分からないので気乗りせず日にちばかり経っている。
永らく放置していたが、結局制作を断念した。▲TOP▲
1年間雨晒しにしていた枝付きの若竹に、ゴマが着き表皮が縮んで皺が出てきた。少し趣があるように見えたので一輪挿しを作ることにした。
折角の枝を切るに忍びず、臍に見立てて中央に据え柱掛けにした。臍が無いとただの竹筒になってしまうところだが、工程が進むに連れて重要な景色になった。
ゴマ斑と表面の縦皺を残すように注意深く表皮をサンドペーパーで磨いた。底には活けた花材に負けないように釣り用の錘60号を潰して仕込んだ。
2、3回拭き漆をしてみるとどうも全体にメリハリがない。そこで臍の周囲だけを淡い色にし、黒い臍を強調し燭台に灯を入れたようにする意匠にした。節影も十分に濃くした。
【灯照足下(ともしび足下を照らす)】と銘を付けた。
完成までの詳細は W23『一節切 丸竹 一輪挿し』を参照▲TOP▲
下塗りをした段階で湿度で板が反ることが判った。3本脚にすれば多少の反りは無視出来ると考え、竹節の脚を付けることにした。また、この木地の材は柔らかい。そこで経験済みの雲龍和紙を全面に貼るアイデアが浮かんだ。
ところが和紙を貼ったら面積が大きいので、2、3ヶ所に泡が入ってしまった。指で押したが空気が抜けず、半乾きの時にカッターで切って潰すことにした。
全面に3回筆塗りしたが、どうも漆が厚くなってあまり納得出来る仕上がりではなかった。脚の上面の処理も問題だ。▲TOP▲
昨年冬に竹林で截ってきた竹があったが、若竹なので年が経って表皮に皺が出てきた。その皺が面白いので花活けにすることにしたが細長いので自立出来ない。
たまたま斜めに輪切りにした桐板を買ってあった。これを台にして花活けを立てることにした。
出来てみると期待以上に纏まっている。「添え」として適当な花器に若松を配して寒梅でも活ければ、松竹梅で正月の床飾りに相応しいだろう。
完成までの詳細は W32『帆柱形花活け』 を参照▲TOP▲
知人宅の庭に残っていた切り株が面白いので掘り出して頂いてきた。枯れて脆くなった切断面が欠けやすいので、取り敢えず活け口と底に漆を塗った。
これだけ大きいと太い樹も活け込まれると考えて、底部に釣り用の45号と50号の錘を各2個ずつ入れ、空隙をウッドエポキシで埋めた。ウッドエポキシの上面は別な竹から節板を取って落とし蓋のようにして覆った。
竹の表皮を活かしたまま漆を塗ったので、固いものに当たると部分的にカッポリと剥げ落ちてしまう。そこで、サンドペーパーで表皮を落とし、赤い肌が透ける程度まで磨いた。
節陰だけに数回の拭き漆を掛けた後、全体に瀬〆漆を塗り節の上を特に強くこすって拭いた。結果はたっぷりと入れた錘の重量感と相俟って大変よい見事な質感が出て来た。
125×105×270h cm)
完成までの詳細は W33『孟宗竹の花活け』 を参照▲TOP▲
真っ直ぐで斑入りの竹があったので結界にしようと考えた。
しかし、茶道具としての実物を知らないので意匠に悩んだが、なるべく単純にしておいた。
完成後あちこち持ち歩いたりしていたため、沢山傷が付いてしまった。
結局、竹肌が出る程まで漆を落とし、すっかり仕上げ直しをした。綺麗にはなったが素材の斑が殆ど消えてしまった。
完成までの詳細は W34『斑入り竹の結界』 を参照▲TOP▲
香合の試作品。蓋がうまく切り取れるか否かが第1の難関、次に身と蓋の噛み合わせをどうするかが問題だった。脚は中央に小さく付けた。蓋の真ん中に煙出しの穴を開けた。
ところが香合と香炉とを混同して考えていた。これは香合のつもりなので蓋に穴は要らなかった。そこでこの穴に取っ手を付けることにした。
香合にしては深すぎて箸で香を取り難いというアドバイスを貰ったので、香木を置く中子を入れることにした。
中子の底は錆漆で滑り難くしておいた。しかしこの試作で勉強は出来たが、遂に実用にはならなかった。▲TOP▲
端午の節句の柏餅の葉に漆を塗って菓子皿を作ることにした。
ところが、葉の表面は滑らかだが、裏面は葉脈と密生した絨毛があり漆が乗りにくい。葉の周辺にはうねった凹凸がある。更に片面に塗った漆が乾くと葉が丸まってしまう。ある程度漆を塗り重ねると葉が撓うとき、バリッと割れて「乾漆」状に剥がれてしまう。等々多くの困難があった。
これらの問題点をひとつずつ潰していってどうやら形が出来てきたが、菓子皿なら洗う必要もあり強度が足りない。
また菓子皿なら1組5客が必要だが、これは3枚しかない。
これらのことで仕事が停滞してしまった。
W98「柏葉菓子皿」と統合して工程を進めることにした。▲TOP▲
棚板は紫檀、柱は布袋竹の根元と黒竹の根節2本を用意した。
黒竹の根節の面白さを見せるために板の隅で外付けにした。
黒檀の平面研ぎ出しは慎重に磨いた。漆を塗ると埃が乗っているのが目立ち、取り扱いの難しさがよく判った。
細い黒竹を薄い紫檀板に組み付けるのに苦心した。
完成までの詳細は W43『三桿阿蘇形飾棚』 を参照▲TOP▲
2004年に着手したのだが、小さいので他の仕事の残り漆を使うことになりつい忘れたりして、長く掛かってしまった。2011年末に亀甲竹一輪挿し(W143)の地板として贈ることになり、漸く完成の機運になった。簡単に組み立てられると考えていたが、ほぞ穴の位置決めなど小さいだけに工作が難しく案外と手間取った。 13×6 cm▲TOP▲
1ヶ所鋸傷が付いているが太い竹の節があった。これで一輪挿しの花活けを作ることにした。
竹の節は尖ったものが強く当たると穴が開くのでウッドエポキシを詰めて補強した。ついでに花活けとして安定するように、ウッドエポキシに川釣り用の錘(ガン玉)を練り込んで「重し」にしておいた。
10回くらい漆を塗り重ねてところで、何かにぶつかったのか漆が剥げた箇所を見つけた。爪を立てると簡単に剥けてくる。内側は剥げないので、竹の表面の油分で漆が乗らないらしい。
サンドペーパーで竹の表皮まですっかり磨き、地塗りからやり直した。怪我の功名というか鋸傷も分からなくなった。
唯一の景色となる節影をしっかりと付けて仕上げた。▲TOP▲
真竹で一節切り花活けを作ることにした。
しかし、細めで倒れやすい。そこで底には釣り用60号の錘を半分に切り、太い方を叩き潰して入れておく。
上下の節が平行ではないところを活かして、真っ直ぐに立つ方を底にした。従って活け口はやや斜めになり、自ずと正面が決まった。
小振りなのに上に節があるので、ちょっと固い感じになったようだ。▲TOP▲
丸竹を斜めに切るのは難しい。鋸で粗挽きしたあと切出しで修正し、斜めの角度はサンドペーパーで決めた。
茶の葉を掬う部分に節を使い柄の部分との境界とした。節は落として穏やかな感じにする。柄の竹の穴は、清潔を保つように別の竹節で栓を付けて塞いでおく。
中塗りを終わってから底を平面に削った。しかし斜めの切り口と平行に底を付けるのは難しくて、再三修正しているうちに予定より削りすぎた。
横に置いても縦に立てても安定するように、底栓の節の片隅に添わせて重さが不均等になるようにしてウッドエポキシ錘を隠して埋め込んだ。余り強くは差が付かない程度に節陰を付けた。丁度よい具合に古色が付いた。▲TOP▲
素材箱の中に残っていた竹で花活けを作った。半分に切った鉛錘もあったので底にウッドエポキシで埋め込んだ。
表皮はしっかり磨いて取り除いたので漆の乗りもよく、構造も簡単で順調に仕上がった。もう少し太ければ湯呑みのようだ。▲TOP▲
斜めに挿して香を焚く受け皿を、竹で作ってみたいと思っていた。竹の節を使って線香を斜めに挿し込むようにすればよいと思い付き、有り合わせの竹で試作してみることとした。
裏底面は転がらぬように平面を付けた。
線香を挿す穴には鉛玉を入れることとした。節に穴を開け鉛玉に合わせて丸く削り、裏からウッドエポキシで固めた。鉛玉が重しになってピタッと止まる。鉛玉が見えている竹の穴は他の竹の節を切って差し込んで塞いだ。
火を付けた線香を1、2本実験してみたが、焦げるなどの問題はなかった。しかし風が当たると灰が長細い受け皿からこぼれるかも知れない。
火を扱うのに竹では不安があるし、需要も無さそうな道具だから本番を作る気にもならなかった。▲TOP▲
孟宗竹林で太い竹の切り株が目に入った。
何かになりそうだと思い、周囲に密生して泥で固まっている髭根を1本づつ根気よく落としていった。
次に固く詰まっている竹の肉を苦心して刳り抜いた。
完成までの詳細は W50『孟宗竹の根で作った花器 或は 建水』 を参照▲TOP▲
孟宗竹林で肌の汚れ具合が綺麗な竹を見つけた。叩いてみると根元の方までしっかりした音がしているので、これを花活けに仕立てることにした。
表皮の胡麻斑を残すように浅めにサンドペーパーで研ぎ出した。底には錘を入れて別の竹から取った節板を載せ、ウッドエポキシで固めた。
地塗りで真っ黒くなってしまったが、研ぎ出してみると胡麻斑も残っていて、古色を出せそうだ。
内側は呂色漆(黒漆)で仕上げた。外側は胡麻斑が出るように節影を淡めにして梨子地漆で拭き漆した。
12φ×30h cm▲TOP▲
倒れやすい一輪挿しを自立させるように、太い孟宗竹を斜めに切った台に立たせることにした。丸い竹を斜めに切るのは難しかったが、何とか切った。しかしどうも一輪挿しの竹とそぐわないので、手が進まずそのまま放置していた。
その後切り口が楕円状になった太い孟宗偏竹が手に入りこれで花活け(W99)を作ることにした。たまたまその短径が放置してあった斜めの竹に適したので、W57は廃番とし、偏竹の脚に転用することにした。▲TOP▲
蓋付きの竹製徳利を作ることにした。
手持ち素材の中に丁度よい太さ、長さの一節を見つけた。しかも一方の節は水平なのに、他方の節が斜めになっていて徳利を作るのには恰好である。
注ぎ口をしっかりと固定して、酒が口から垂れないように工作するのに苦心した。
茶道具の花活けにもいろいろあるが、釉薬を使わずに焼き締めた伊賀焼きなどの「蹲る」に野の草を挿して、柱にそっと掛けてあるのが一番好きだ。しかし、竹は真っ直ぐで「蹲る」型は出来ないと思っていた。ところがある朝ふと根元から曲がった竹を使って試してみようと思いついた。手許にある素材の中からこの条件によく合う一本を選び仕掛かり始めた。
完成までの詳細は W67『竹の蹲る型花器』 を参照▲TOP▲
1本で、町なかのステッキにも登山用のトレッキングストックにもなる多目的杖を作った。新規の工夫が沢山盛り込まれて、良い経験になった記念品である。しかし、実用的にはどうも「虻蜂取らず」に終わったようだ。
完成までの詳細は W72『竹の登山杖』 を参照▲TOP▲
孟宗竹の根を深く掘り取って髭根を活かして作った、どっしりとして重厚な大振りの花器。(約15φ×35h cm)
採取後2年ほどの乾燥中に株のひび割れが大きくなったが、樹脂を充填して補修した。
節板は周囲をジグで慎重に突いて、割れないように刳り抜いた。この節板は別途底板として利用する。
底には大きな鉛錘を埋め込んであるので、大きな花材を活けても倒れることはなかろう。
完成までの詳細は W91『孟宗竹の根株の花器』 を参照▲TOP▲
2005年に採取した孟宗変成竹があった。これがとても太くて変成した部分に稍扁平になった部分があったので、これを使って菓子皿を作れば狭い茶室での話題を盛り上げるのではと思った。
なるべく竹の形を残す反面、使い易さと派手さも表現したかった。
完成までの詳細は W92『竹の菓子皿』 を参照▲TOP▲
前項の和菓子皿(W92)と同じ竹の同じ節から切り取って作った和洋に使える盛り器。黒竹の根元を曲げた取っ手が付いて、3人までの茶席の座興に手頃だと思う。
底になっている竹の節には麻布を着せて強化してある。
底の立ち上がりが高さがずれているのが面白いが、実は平らに切るつもりの鋸が曲がってしまって偶然に出来たのだ。
黒竹の弦を受けている台の部分も、黒竹の太い根元と細い穂先に合わせて、幅も高さも大きく変えているので、全体として対象的なところは全くない。職人では思いつかない意匠だ。
完成までの詳細は W93『孟宗竹の節の盛り器』 を参照▲TOP▲
卓上に置いてアクセサリにもなるように作った醤油差しだが、実際に使ってみると倒れやすいのでもっと太い竹を使うなど改良が必要であった。
完成までの詳細は W96『竹の醤油差し』 を参照▲TOP▲
(W35「柏葉銘々皿」参照)柏餅の葉で銘々皿を作ろうとして2004年に仕掛かり始めたが、難しくて放棄していた。
今回再挑戦したが、柏葉の表面を活かすことが出来ず、皿としての強度を持たせるために色漆の厚塗りになってしまった。
また漆を塗ると葉が丸く反ったり、塗った漆がバリッと割れたり、等々、始めて経験する多くの困難があった。
結局2つのロット合わせても3枚しか完成品が出来なかった。
完成までの詳細は W98『柏葉菓子皿』 を参照▲TOP▲
誰が切ったのか珍しい扁平な径の孟宗竹の根が、道路に落ちて車に轢かれ簓(ささら)のように割れていた。これを拾って来て洗ってみるとひげ根をきちんと切り落としてあり、何かの素材になりそうだった。
かなり長いので、まず上の2節を使って花活けを作ることにした。切ってみると桿がバラバラになり、一見使い物になりそうもなかったが、絹糸巻きの手法で復元させる自信があった。
かなり背が高いので倒れないように、作り掛けのままになっていた斜めに切った孟宗竹(W57)の上に載せることにした。▲TOP▲
根元が扁平に潰れた孟宗竹の一節を切って断面の卵形を活かした片口を作った。節を切ったときはバラバラで底にする節板も無かったが絹糸を巻いて締め底板も貼って本体の形は出来た。問題は注口部の取り付けだった。注口部にする添えた竹の下端は本体に溝を切って噛み合わせ、上端にはくさびを入れて本体に固定した。本体の胴割れの継ぎ目は金接ぎの手法で強調し景色とした。
完成までの詳細は W100『割竹金継片口酒器』 を参照▲TOP▲
和菓子器セット(W92)(W93)専用の取り箸として作った。先がボートのオール状になっていて、箸を持ったときにそのオール面がうまく合うように竹箸を削ってある。梨子地漆・呂色漆・朱漆の4面3色塗りである。また、オールの内面は菓子器や菓子皿に合わせて布着せしてある。▲TOP▲
「一節切丸竹一輪挿し」(W23)と同じ物が欲しいという注文だが、材料がないのでこれで代用とした。下部3個の節に呂色漆で芽書きをし「遊び」で朱漆を着けた中に金ペレットを入れ込んだ。
雲竜文三足地板(W31)とセットにして納品する。▲TOP▲
2007年末に買ったスポンジケーキが入っていた厚紙を貼り合わせた容器が、穏やかな形で気に入ったので蔵って置いた。これを盛り器にしようと生漆を塗った。布着せにしようかとも考えたが、貼り合わせた紙の様子も景色になるので紙胎で仕上げることにした。他の仕事の残り漆などいろんな漆を何回も塗ったし、暫く放り出して忘れていたりしたので、随分日にちが経ってしまった。何回も重ね塗りしたので盛り器としても十分に堅くなった。
底寸法:11×7・外形寸法:17×15×7h cm▲TOP▲
節間が詰まっていて男性向けのグリップにするのに適した竹があったので、これに合わせて太くて丈夫そうな桿を選んでステッキを作った。下げ緒も既製品ではなく竹の節近くを利用したオリジナルの紐を作った。なかなか雄勁な感じの立派な杖ができた。
完成までの詳細は W106『雄勁な杖』 を参照▲TOP▲
「中央の凹みを笹舟に、芽節を船頭に見立てて、銘「笹舟」としよう」などとすっかり蓋置きが出来たつもりで居たが、「これでは蓋は乗せられず、箸置きには大きすぎるから、結局使い道がない」ということになった。▲TOP▲
2008年6月に裁断して丁度3年後に完成した。
桿が潰れたようになっているので口が狭く手が入らないが、節は下まで割れている。
壁面に漆を塗れる範囲の4段目の節を底として、その下には溶かした膠に川砂を混ぜて流しこんだ。このためとても重量があり、長い花材を活けても安定するだろう。膠の上には合板を切って落とし蓋とした。
桿の上端の割れて食い違っている個所を合わせて接着剤で留め、リボンを巻いて締め付けてある。
「破れ偏竹花活け」(W109)はこの桿の上部で作った姉妹品である。▲TOP▲
このステッキは桿も柄も太いし節も8節入っていて頑丈そうだし、いかにも男らしいので、自分で使いたくなった。しかし寸法が約5cm短いので、石突き部に別な竹で印籠継ぎした。
出来上がりは大層気に入ったので、里見八犬伝の名犬に因んで「八房」と銘を付け、朱漆で落款も入れた。
余りに堂々たるステッキなので、これを使うのに相応しい体格と肩書きを持つ偉丈夫に進呈した。
完成までの詳細は W112豪壮なステッキ 銘『八房』 を参照▲TOP▲
杖掛けを作った。偶々杖が3本あったので制作を急ぎ、僅か1週間で完成させた。
初めは割竹の木地のままと思っていたが、表面に細かいキズが目立ったので漆を塗ったところ、結局全体が本漆拭き漆塗りの豪華版になってしまった。▲TOP▲
2009年秋に京都東福寺の門前市で求めた素材。表面の地図模様を活かすためには表皮を剥ぎ取れないので、サンドペーパーの使い方に気をつけた。また文様を活かすために節陰も薄めにした。
図面竹(紋竹)を初めて扱った試作品である。
11.5φ×20h cm
完成までの詳細は W142『図面竹の花活け』 を参照
▲TOP▲
2010年秋、京都東福寺門前の露店で買った亀甲竹を仕上げた。奇形の皺があってそれが面白いのだが、その内側は凹凸が激しい。また、節が斜めになっていて上下から節が寄ったところに水漏れする穴があった。ウッドエポキシで水漏れの穴を塞ぎ凹凸を均して、サンドペーパーで研ぎ出した。内径が細くて指に力が入らず研ぎ出しに苦労した。表面には胡麻斑もあったので漆は薄めに拭き漆を掛けた。時間とともに漆が透いてくれば引き立つだろう。
4.5φ×11.4h cm
完成までの詳細は W143『亀甲竹の花活け』 を参照
▲TOP▲
広がり過ぎた庭の南天を切って雨曝しにしていたが3年経っても腐食しない。瀬〆漆で地塗りをしてみると、丈夫で弾力もあり、良い素材になりそうだ。
適度に曲がっているのが面白く、まだ作ったことがない台子にしようと思いついた。1本では足りないのでまた切り足して4本柱とし、上下は合成板の本堅地にしよう。▲TOP▲
縦長の方が品があると思って、長いままで中塗りを終わり実際に花器として使ってみると深過ぎてとても使いにくかった。
そこで上の一節を切り取ることにした。
上縁を厚くしちょっと陶器の感覚にしたかったので、水平に切らずにやや斜めだが節に沿って切り落とした。
並の高さになったが、殊に下端の髭根の部分は艶が良く、とても綺麗だ。
10φ×21.5h cm ▲TOP▲
上は接合前
完成までの詳細は
W147
『孟宗竹巻帯花活け』
を参照
一度は完成直前まで進んだのだが、高さが低くて興趣が湧かない。
たまたま同じ節の下側が筒状に残っていたので、接着して背を高くし、若竹色漆に塗った帯を巻いて継ぎ目を隠した。
8.5φ×19h cm
▲TOP▲
活け込み口に節を置いた珍しい作品。
徳利型を模して、節板をもっと残し口を小さくしようと企画したのだが、節板は割れやすいので使っているときに割れる虞もあり、結局大きな口になってしまった。
8.8φ×18h cm ▲TOP▲
金の3段巻きで、覆輪には輝石を入れた朱泥を木地呂漆で練って描いてある。輝石がゴツゴツしているので剥げないように、上から更に輝石を入れない朱漆を面相筆で塗っておいた。
W151と姉妹品である。▲TOP▲
金の3段巻きで、覆輪には輝石を入れた朱泥を木地呂漆で練って描いてある。輝石がゴツゴツしているので剥げないように、上から更に輝石を入れない朱漆を面相筆で塗っておいた。
W88 および W149と姉妹品である。▲TOP▲
筍が10月頃に出るという珍しい四方竹の林がこの市内にあると聞き、早速出掛けて沢山切って貰ってきた。
節ごとにある根のような突起や、桿の表面の小さな突起をサンドペーパーで落とし、漆がよく乗るように木地を作った。
完成までの詳細は W152『四方竹 重層花活け』 を参照▲TOP▲
珍しい四方竹の一輪挿しの試作品。
四方竹は節ごとに生えかかった根のような突起や、桿の表面に小さな突起が沢山付いているので、この特徴を生かすたには表面を研ぎ出せない。従って漆が染みこめないから固いものにぶつかると剥げ落ちるかも知れない。完成したところでは勿論傷は見あたらないが、使っているうちに問題が出るかもしれない。
活け込み口には金泥を塗って、アクセントにしている。▲TOP▲
採取した時に虫喰いの痕があり、水が漏れるほどの穴が2個所開いていた。
門松のように斜めに切って、この虫喰いの坑道を景色に見立てた一輪挿しを作った。
割れやすい節板の一部をブリッジにして奥の方に穴を開ける工作に気を使った。
高さ 11センチ、外径 4センチの小品である。▲TOP▲
この第13ロットはなるべく節を残して竹らしさを出すようにした。女性用として箍巻に始めて黄色漆を使い、赤覆輪を描いた。しかし、覆輪を幅広くしようとして覆輪筆に赤漆を多く付けたので縮緬皺が出てしまった。やむなく覆輪を描き直した。覆輪筆の糸の太さと漆の溶き具合が結果に大きく影響することを経験した。
完成までの詳細は W156『ステッキ 13B』 を参照▲TOP▲
3本セットの第14ロットは第13ロットの素材を取った上の節の晒し竹から作ったので、細身で軽くできた。これはその中のAで、女性用とし、箍巻の幅を変えて装飾性を高めた朱色の3段巻きである。またこのロットは桿と柄の組立後に新工法が生まれて鮮明な金覆輪を描くことが出来た。▲TOP▲
柏葉の菓子皿(W98)に合わせた楊枝を作ってみた。はじめに、形を決めるのに試作をした。この試作品は、よく使われているクロモジの楊枝では細すぎると思い、持ちやすくしようとしたため大きくなり過ぎ不細工になってしまった。たまたま市販の水羊羹に付いていた使い捨ての樹脂製ナイフがあり、寸法的には丁度よいと思って、これを見本として本番に掛かった。
完成までの詳細は W161『竹の菓子用ナイフ』 を参照▲TOP▲
町田天神の祭礼に行った時テント張りの古道具屋で目に止まり、形が面白いと思って何にするという目当てもなく東南アジア産という古くて大きな鉈豆を1個買ってきた。艶がある濃黒茶色でズシリと重くとても固いものである。ある日ペンダントにしようと思い付き、梨子地漆を数回塗り重ねたが、塗った甲斐もなくもともとの色はまったく変わらなかった。同色のリボンを通し、趣味材料店で買った金具を付けて完成とした。
44×49×19 mm
完成までの詳細は W162『鉈豆ペンダント』 を参照▲TOP▲
この根の部分にひび割れと鋸キズがあったが、既にウッドエポキシで埋め込んである。 ここに来て此の仕込み杖を自分用に仕上げる気になった。されば、桿が割れずに鉄芯を叩き込めるかどうかが先決問題だ。今迄桿の節抜きように使っていた鉄芯はもう要らなくなると考え、これを叩き込んで活用することにした。結果うまく鉄芯が入って桿も割れずに済んだ。 細い石突きも東急ハンズで購入出来た。下げ緒は移動式でよいがちょうど黒いゴム紐のリングがあったのでこれを応用することにした。
完成までの詳細は W163『仕込み杖-2』を参照▲TOP▲