豆盆栽用の飾り棚です。布袋竹の柱がよく利いています。ここに飾れる豆盆栽は、棚に負けないような高度な鉢が要求されます。
切り込みが終わった素材
以前からこの形の飾り棚のイメージがあり、材料の紫檀板を始め、柱にする黒竹なども昨年から準備が出来ていました。しかし柱を切って地板を通す所で工法がまとまらず長い間放置していたのです。それは柱として使うと黒竹の根節が台の下になり、その面白さが見えなくなるので決心が付かなかったのです。
たまたま柱を通さずに板の隅で外付けにすれば一挙に解決すると思い付き、早速工作を始めました。切り込みは一晩で出来上がりました。中板を支える短柱が斜めで短くなってしまったので、中柱に腕木を付けて中板の安定を良くするようにして短さを補う工夫をしました。
切り込みが終わった紫檀板
平滑な板に漆を塗るのは竹に塗るよりもずっと難しいものです。まずゴミが目立ってしまう・ムラがはっきり判ってしまう・表裏四辺と6方の塗りがあり手間がかかる等々で、つい仕掛かりが後回しになっていましたが、今日は久々に作業を再開しました。
切り込みが終わった布袋竹
布袋竹の柱の節陰は極端に濃淡が出ましたが、サンドペーパーで軽く研ぎ出し、布袋竹全体に一様に漆を塗れば綺麗に暈かせると思います。
黒竹の柱には節陰を付けないので、今回は触っていません。
太い桿のほぞと天板のほぞ穴
3本の桿にほぞ(芯継ぎ棒)を入れ、天板にもほぞ穴を開けて差し込みを決めました。
黒竹2桿のほぞと天板のほぞ穴
中柱の幅木と中板の裏側
中板と中柱との接続部は1点保持なので、薄い板に短いほぞを入れてもどうも不安定な感じがします。
そこで、板の方に少し凹みを付けて幅木を入れ、ウッドエポキシで外れないように固定することにしました。どのくらい効果があるか疑問ですが、何も手を付けないよりはマシだろうということです。
前回は漆をあまりに薄く塗ったので、後で磨きを掛けたら拭きムラが出てしまいました。そこで今回はあまり漆を延ばさずにタップリ目に塗ってあります。
磨き終わった部材
今日の磨きでは、呂色磨き粉に植物油を少々入れて練って使ってみました。最初は板の表面に油分が付着して驚きましたが、呂色磨き粉だけを布に取って磨いたら直ぐに落ちました。
油入りの呂色磨き粉で拭くと、板の表面には意外に多くのゴミが現れて、塗りの際の注意が足りないことがよく分かりました。ゴミは油砥の粉で強く磨いたところ殆ど取れたのですが、あまり局地的に拭くと逆に表面の漆が1層だけ剥げて艶のムラが出てしまうようです。
仮組み立て
漆は汚いものだと聞いていますが、梨子地漆自体に相当ゴミが入っているようで、板の表裏で試してみると、濾し紙で濾過して使うのはかなり有効です。
磨いた後は素晴らしくよい艶が出ました。
部品の塗りはこれで終わり、組み立てに入ります。
仮に組んでみると捻れも無くカッチリと立っています。
白くはみ出ているのはウッドエポキシ
27日夕食後、電気が明るいテーブルの上で組み立てました。
順序をよく考えながら、木工糊とウッドエポキシを使い分けて接着をします。
接着剤の不足やはみ出しがあり、組み立ての途中で2度倒してやり直しました。
中板の刳り穴を埋めた
捻れを無くすために布袋竹の1本柱を地板で左右にずらして調節しました。
その結果中板が大分前に出て刳り穴が2ミリ余りも空いてしまいました。
中柱は矢張り随分傾斜しているのでウッドエポキシを空いたところに押し込みました。それが1本柱の隙間を一層大きくしてしまったようです。
組み立て後の硬化を待つ
1日乾燥させて、29日に隙間などに錆漆を詰めました。錆漆は始めて作ったのですが、砥の粉を多めに入れたのが丁度よい固さに出来ました。結果的には量的にも過不足がありませんでした。
隙間に押し込むのはかなり難しかったのですが、爪楊枝と竹串で何とか出来ました。しかし周囲に漆が付くのは避けられないことです。
錆漆を入れ終わってから、綿棒にテレピン油を付けて拭いたら容易に綺麗になりました。ただ乾燥後には艶が消えてしまうと想像出来ます。組み立て後にどのくらい磨けるか、艶を出せるかが心配ですが、過ぎたるは及ばざるがごとしであまり無理をしないようにしておきます。
太い布袋竹の柱廻りのはみ出しを削っていたら台板が動いてしまいました。まだ漆がしっかり固まってはいなかったようです。
接着部に梨子地漆を塗る
錆漆はまだしっかり硬化していませんでした。カッターで突くと粘りがあり、刃先に錆漆が着いてきます。また若干体収縮していて表面が荒れています。
硬化してからも収縮しないウッドエポキシの方が使いやすいようです。
今日は、はみ出た錆漆を削った後、面相筆で梨子地漆を接着部に塗っておきましたが、乾燥後にどの程度ムラが出来るか心配と興味があります。
よく見ると濃くムラになったところもありますが、あまり気になりません。しかしまだ漆が付いていないところがあちこちにあるので、面相筆で書き足しておきました。矢張り中板の下側は、溢れた漆を削りにくいし、力を入れないと出来ない艶出しはもっと難しい作業です。
盆栽棚の初飾り
今は手持ちの適当な鉢が無くて、とりあえず松の代わりにヒバを置いてみました。
矢張り飾り棚には、あるべきものを載せないと引き立たないものです。
316w×113d×290h