この数年間で制作したステッキも随分沢山になりました。古い制作記録を見ると、進歩と合理化と功罪半ばする思いです。
真っ直ぐで節が多い竹を選んだ
ホームセンターに行って、ステッキを作る真竹を買ってきました。
少し太めで、切り口がやや楕円気味ですが、真っ直ぐで節が詰んでいる1本を選びました。
今日は風がなかったので、卓上コンロを使って火入れをしました。
太めの桿に合わせた布袋竹の柄
桿が太いので柄にする真竹がありません。在庫を探すと、釣り竿用に取っておいた布袋竹の根元部分が見つかったので、これを使うことにしました。
桿の切り口が楕円気味なのも幸いして、長軸方向に合わせてピッタリの太さでした。
下げ緒を付ける金具には、釣りのマツバサルカンを使いました。
柄のすげ込み穴を隠すように、桿の上端まで糸を巻いてしまうことにしましたが、竹節の凹みがひどいので錆漆を盛り付けて丸くしました。
しかし温度が低くて錆漆が乾きません。表面の錆漆の皺を拭きとったところ、また凹みが出てしまったのです。
三つ編みにした革の提げ緒と紐の提げ緒。
布袋竹の柄と相まって太めのガッチリしたスタイルに出来たので、下げ緒は東急ハンズの既製品では一寸弱い感じがします。
そこで以前兄に貰った革紐を三つ編みにして、東急ハンズでようやく探し当てた金具で、その革紐を絞めて下げ緒を作りました。ステッキに付けてみると、まあ人によって好みはありましょうが、私には絶妙の組み合わせと思われました。
この杖を作ってから早くも5年が経ちました。その間、経験を積んで金覆輪が一般仕様になり、最近は絹糸巻きの上に朱漆を掛けたり、金緑粉や金朱粉で加飾するようになりました。
この杖は、布袋竹の柄で提げ緒も革紐という、またと出来ないユニークな作りなので、この際更に加飾することを思い立ちました。
思いついたが吉日、早速午後から仕事に掛かりました。
1)始めに加飾する部分に養生テープを巻いて位置や幅を確認したウッドエポキシの盛り上がりを削り、カッターナイフで平らに成形しました。
1)中央の白い部分が充填したウッドエポキシ梨子地漆をベースにプラスチック金粉を練り込み、その金粉漆を筆塗りしました。
乾くとプラスチック金粉が光っているのが見えます。
昨日の金漆は漆に比してプラ金粉の量が少なめだったので、もう一度木地呂漆とプラ金粉で金粉漆を作って塗りました。ところが今度は漆に対してプラ金粉が多すぎて、ボテボテの金漆になってしまいました。
プラ金粉の混合比が多過ぎて滑らかに塗れず、塊になってしまいました。
朝、サンドペーパー#1000でプラ金粉漆の上を研ぎ出し、梨子地漆で留め漆を掛けておきました。
1)留め漆を掛けてから養生テープを剥がした予定通りに金覆輪がうまく描けました。これで加飾を完了とします。
しっかり磨き上げて、完成です。