「翠簾洞漆工集」制作の部 漆工索引 翠簾洞ホームページ入口に跳ぶ

ステッキ 9号 W19

加飾後展示

2003〜4年 制作  /2004.02.17 納品  /2009.07.08 加飾   加飾に跳ぶ


拭き漆工房   翠簾洞 素舟齋

この数年間で制作したステッキも随分沢山になりました。古い制作記録を見ると、進歩と合理化と功罪半ばする思いです。

2003年9月17日

選ばれた真竹
真っ直ぐで節が多い竹を選んだ

ホームセンターに行って、ステッキを作る真竹を買ってきました。

少し太めで、切り口がやや楕円気味ですが、真っ直ぐで節が詰んでいる1本を選びました。

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10月4日

今日は風がなかったので、卓上コンロを使って火入れをしました。

太めの桿に合わせた柄
太めの桿に合わせた布袋竹の柄
布袋竹の柄

桿が太いので柄にする真竹がありません。在庫を探すと、釣り竿用に取っておいた布袋竹の根元部分が見つかったので、これを使うことにしました。

桿の切り口が楕円気味なのも幸いして、長軸方向に合わせてピッタリの太さでした。

下げ緒を付ける金具には、釣りのマツバサルカンを使いました。

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12月27日

柄のすげ込み穴を隠すように、桿の上端まで糸を巻いてしまうことにしましたが、竹節の凹みがひどいので錆漆を盛り付けて丸くしました。

しかし温度が低くて錆漆が乾きません。表面の錆漆の皺を拭きとったところ、また凹みが出てしまったのです。

素材
三つ編みにした革の提げ緒と紐の提げ緒。

布袋竹の柄と相まって太めのガッチリしたスタイルに出来たので、下げ緒は東急ハンズの既製品では一寸弱い感じがします。

そこで以前兄に貰った革紐を三つ編みにして、東急ハンズでようやく探し当てた金具で、その革紐を絞めて下げ緒を作りました。ステッキに付けてみると、まあ人によって好みはありましょうが、私には絶妙の組み合わせと思われました。

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2004年2月17日

革の提げ緒で完成

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桿を加飾する

この杖を作ってから早くも5年が経ちました。その間、経験を積んで金覆輪が一般仕様になり、最近は絹糸巻きの上に朱漆を掛けたり、金緑粉や金朱粉で加飾するようになりました。

この杖は、布袋竹の柄で提げ緒も革紐という、またと出来ないユニークな作りなので、この際更に加飾することを思い立ちました。

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2009年6月27日

思いついたが吉日、早速午後から仕事に掛かりました。

1)始めに加飾する部分に養生テープを巻いて位置や幅を確認した

バランスをみる

2)決めた位置の両端を刻んでキサギ範囲のマークをつけた

加飾の位置を刻む

3)キサギ範囲の両端を養生テープで保護しておく

キサギの養生

4)キサギが終わった

キサギを終わった

5)節の凹みにはキサギが利かない

ウッドエポキシの成形

6)樹脂を充填して丸くするのだが 樹脂が馴染むように傷を付けておく

ウッドエポキシの成形

7)傷を付けた節の凹みにウッドエポキシを充填した

ウッドエポキシの成形

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6月28日

ウッドエポキシの盛り上がりを削り、カッターナイフで平らに成形しました。

1)中央の白い部分が充填したウッドエポキシ

ウッドエポキシの成形

2)続けて赤絹糸を巻いた

赤絹糸巻き

3)更に赤絹糸の両端に養生テープも巻いた

養生テープ巻き

4)巻いた赤絹糸の上に生漆を掛けて絹糸に漆を染み込ませる

生漆を掛ける

5)翌日、乾いた生漆の上に梨子地漆を塗った

梨子地漆で中塗りをする

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7月5日

梨子地漆をベースにプラスチック金粉を練り込み、その金粉漆を筆塗りしました。

乾くとプラスチック金粉が光っているのが見えます。

金漆塗り

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7月6日

昨日の金漆は漆に比してプラ金粉の量が少なめだったので、もう一度木地呂漆とプラ金粉で金粉漆を作って塗りました。ところが今度は漆に対してプラ金粉が多すぎて、ボテボテの金漆になってしまいました。

金漆が乾いた

プラ金粉の混合比が多過ぎて滑らかに塗れず、塊になってしまいました。

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7月7日

朝、サンドペーパー#1000でプラ金粉漆の上を研ぎ出し、梨子地漆で留め漆を掛けておきました。

1)留め漆を掛けてから養生テープを剥がした

留め漆を掛けてから養生テープを剥がした

2)乾き具合をみて、午後3時頃に覆輪を描き、金泥を蒔いた

金泥蒔き

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7月8日

予定通りに金覆輪がうまく描けました。これで加飾を完了とします。

うまく描けた

うまく描けた

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7月9日

しっかり磨き上げて、完成です。

出来た

2009/08/10 作成・2009/10/17 改訂・2010/01/06 三訂・2010.01.16 四訂・2010.09.27 五訂/掲上