vol 114:安らぎ





アフガニスタンから帰国してからの俺は、
ひたすら仕事に追われてたんや。

「カンさーん、こっち確認お願いしま~す!。」

「・・・はーい!。」

「カンさん、この服の色なんすけどぉ、。」

「あ、ちょっと待ってて~!。」

俺のネットで流してた小説を業界の社長さんが気に入ったらしくて、
アニメ化になることが決まった。
小説がアニメ化するっちゅーことは、
漫画家に絵を描いてもらわなあかん。
あいにく俺に絵心はないんよ。
絵を見るんは好きやねんけど。

「どうっすかね?。」

「あー・・・うん、こんでえぇと思うけど、
髪の毛もうちょっと長めかなぁ。」

「長め・・・了解っす。」

俺は社長がこの本の話をもってきたとき、
俺に全てのことを決めさせてくれ!
なんか言うたもんやから、
キャラクターデザイン、アニメ用シナリオ、
声優選び、勿論俺は素人で、この業界の事も知らん。
ただこの本は俺の体験談。
他人に全てを任せて、
変な読み取りされるんが嫌やった。
小説は文章、
でもアニメは映像や。
より多くの人に文章よりも簡単に伝えられる。
一番解ってる俺がやらな・・・。

「えー、この本の作者のカンです。
今回アニメ化にしていただける事となり、
素人ではありますが、皆さんに関わらせていただく事となりました。」

「主人公やけど、俺自分でやるわ。」

それぞれのプロの中に全く知識のない俺が入り込んでる。
普通は素人が!って嫌がられるもんやのに、
ここの関係者は親切に受け入れてくれてる。

「カンさん、ここの言葉なんですが、。」

「え?どこどこ?。」

「ここって・・・のが良く伝わると思うんです。」

「あ、ホンマやな。ほんなら、その言葉に変えて。」

「はい。」

俺は頭えぇ方やない。
文章力もない。
だからいろんな奴が見て、あ!って気付いた事の方が、
俺が言葉で伝えられんかった事やったりする。

「お疲れ様でしたー。」

「お先で~す。」

最近寝不足や・・・。
帰っても、今度は小説の方書かな。

「カンちゃん、今帰り?。」

女の子に声もかけられる。

「帰るで?。」

「一緒にご飯でもど?。」

超可愛く美人な女のお誘い。
行きたい気持ちは山々で、
でも、体は早く家に帰りたがってて、

「ごめーん、帰っても仕事や。」

お断り。

「そっか~、残念。じゃ、また付き合ってね。」

「お疲れさん。」

駅に向かって新幹線に1時間ちょい。
地元の駅に着いたらもう、

「23時やん・・・。」

大樹に電話して駅まで迎えに来てもらう。
今日はまだ早めに帰ってるだけで、
いつもは1時2時で、また朝の新幹線で東京へ。

迎えに来てくれる大樹はいつも俺の体を心配してる。

「カン・・・向こうでホテル取りなよ?
倒れちゃうよ。」

「はは、大丈夫やって。まぁ、今のが終わってな、
声優の作業に入ったら、ちょっとは俺の仕事も減るやろ。」

逆に増えるんや。

「カン、俺は、。」

「それに!、それに俺がぐっすり寝られるんは、
・・・。」

ほんまの事でも口に出すのには未だ慣れん。
真っ赤になった俺に大樹も頬を赤らめた。

「最近、学校の方はどうなん?。」

世間話し。

「ん~、相変わらずかな。
この間なんかね?、。」

大樹は俺や弥勒以外と飲みにやら遊びにやら、
昔から行ってるんみたことない。
俺もそうやけど、
俺らは同世代は勿論、人付き合いが苦手。
何より、話しが合わん。

「で、その生徒の死んだお婆さんでね、
すごく孫を心配してたんだ。」

だって、俺ら生きてるもんより、
死んでるもんとの方が話しが合うんやもん。

「阿弥陀に?。」

「うん。お願いしてお婆さんの話しを聞いてもらったんだ。」

世間一般が飲みに行ったり遊びに行く事は、
俺らにしたらあの世に行く事。

「あ、阿弥陀如来が言ってたよ?。」

「え!なんて・・・?。」

「さすがカンだって。」

「ぶっ!。」

家に着く間の車内での安らぎ。











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