あれは十数年前の事、今のボロアパートに引っ越してきた頃の事です。当時、仕事が忙しく、帰ってきたら寝るだけの生活でした。だからぐっすり寝ます。寝たら目覚ましが鳴るまで起きれないです。目覚ましが鳴っても夢の中で鳴り響いていて、なかなか夢から戻れないほどです。
そんなある晩、真夜中に目が覚めました。何かが部屋に居ると感じるのです。ちょっと恐怖を感じました。眼を開けても、幽霊とかそういうのは見えません。でもそう感じるのです。
そして壁のほうに目を向けた時、何かが動きました。
なんと手首です。白い手首だけがゆっくりと壁を歩いているのです。
一瞬、恐怖に襲われましたが、技術者としての興味がもたげてきました。
実際に手首が壁を歩いている。これは、目に見えている。厳然とした物理現象だ。
よし!捕まえよう!!手首を!!!
そう決心して、電灯をつけた瞬間!!その手首はピタッと歩みを止めました。。
それは。。なんとアシダカグモでした(^^!。しかしデカい。。手首を広げたより大きい。。ここまで大きいのは今現在でも見たことが無いです。
このアパートに住んでいるアシダカは白っぽく夜中の外からの街頭の光を浴びると白さが浮き立ちます。おそらく、私の上を歩いたので、目が覚めたのでしょう。私にとってアシダカグモは家の守り神です。手でそっと隙間に追いやりました。
怪談に出てくる這い回る手首の幽霊の正体は、そのほとんどが大きなアシダカグモだとこの時確信しました。でも正体が分かるまではビビりました(^^!。
ところで検証技術者にとって、バグ(不具合)取りは仕事です。なのでバグ(虫)を捕まえるクモは技術者の守り神なのです(^^!
その後、2年に2,3回ペースでアシダカグモに出会います。
アシダカグモは隙間に潜み、灯りの下に出てこないので、めったにお目にかかれないそうです。
お目にかかれた日は吉日扱いで、気分よく一日を過ごしています。
(2013/8/10 記)
価格:1,512円 |