購入当日に召し上がらず保存する場合、2~3日であれば冷蔵庫で保存して下さい。3日以上の保存は、冷凍庫で保存して下さい。
焼売を温める場合、蒸し器で蒸すことをお薦めします。蒸し器で蒸し上げますとふっくら仕上がります。電子レンジでの加熱は、ふっくら感が出ず硬めの仕上がりになります。
冷蔵保存時の加熱時間は10分程度、冷凍保存時は12~3分程度蒸して下さい。召し上がる際、まだ冷たいときは、さらに2~3分温めて下さい。
・店内飲食は【コース料理の予約】のみ対応中。(←【】内部クリックで詳細へ)
購入当日に召し上がらず保存する場合、2~3日であれば冷蔵庫で保存して下さい。3日以上の保存は、冷凍庫で保存して下さい。
焼売を温める場合、蒸し器で蒸すことをお薦めします。蒸し器で蒸し上げますとふっくら仕上がります。電子レンジでの加熱は、ふっくら感が出ず硬めの仕上がりになります。
冷蔵保存時の加熱時間は10分程度、冷凍保存時は12~3分程度蒸して下さい。召し上がる際、まだ冷たいときは、さらに2~3分温めて下さい。
質問内容:焼売に使う香辛料と練り具合は三代目のオリジナルなのか。
1.香辛料について
海員閣の焼売に使う香辛料(薬味含む)は、【長ネギ】・【コショウ】・【ごま油】になります。海員閣のレシピでは香辛料の分量が挽肉何kgに対して何gという明確なものはありません。先代から教えていただいた時は「見ておけ、この位な。」で終わりました。ですので分量は作り手の好みが反映されていると思われます。先代社長はコショウたっぷり。先代鍋振りは塩味バッチリ。というのが私の印象です。
私の場合、香辛料の量はその日の肉の状態(新鮮さ)で調整しています。鮮度が良くないと香辛料を多めに使用しがちです。なのでその日その日で分量が異なっています。
2.練り具合について
練り方は作り手ひとりひとり異なりますし、その時の挽肉の状態でも変えます。先代鍋振りから教わったのは【包むときに手にまとわりつかない練りあがり】・【皮がはがれない練りあがり】といったあいまいなものですので、正直今でも練りあがりの正解を正しく把握出来ているかというと答えにくいです。ですが、今出している焼売は先代鍋振りの作品に近いと思っています。
ちなみに練りあがりの状態を左右する三大要素は【挽肉に使う部位の割合】・【肉の挽き方】・【練り方】だと思っています。海員閣のレシピは【調理理論】に基づいたものではなく【経験則】に基づいているようなので調理理論からは逸脱しているかもしれませんがご容赦下さい。
使用している挽肉の部位の割合によって【ふんわり焼売(ハンバーグのような食感)】になったり【しっかり焼売(ウインナーのような食感)】になったりします。
肉の挽き方は肉屋次第なのですが、肉の粒をつぶしてしまった挽き方では、いくら練り方を工夫しても皮はがれ焼売になる傾向にあります。
練り方については練りが足りないと纏まりが悪い焼売になり、練りすぎると皮がくっつかない焼売になります。程よい練りが理想となりますが、これを体現するには経験値を積むしかありません。
※今回はざっくり書いてこのボリュームです。仕込みも営業も私一人で調理せねばならない状況故、この辺でご容赦願います。
コース料理で提供するお料理の説明:【巻き揚げ】編
花油鶏巻=【鶏の巻き揚げ】
花油蟹巻=【蟹肉の巻き揚げ】
巻き揚げは、豚や牛の内臓を包んでいる薄い脂【網脂(あみあぶら)】で食材を巻いて、油で揚げた料理の総称です。(海員閣では豚の網脂を使用しております。)
網脂は網目の様な模様が入っているのでそのように呼ばれます。また、網目が咲いた花にも見えるので【花脂(はなあぶら)】とも呼ばれます。
この網脂は西洋料理でも用いられており、淡白な仔牛・子羊の肉に巻いてソテーした料理等があります。
海員閣では香辛料をまぶした鶏肉を具材として巻いております。この巻き揚げはリニューアル前にはコース料理のみに提供されていました。2023年1月のコースでは特別にカニ肉を使った巻き揚げをご提供致します。リニューアル前にもほとんどお客様に出されることはなかった巻き揚げです。この機会に是非ご堪能下さいませ。
※カニ肉の巻き揚げは2023年1、2月に提供しておりました。
コース料理で提供するお料理の説明:【福建炒飯】編
福建炒飯=【ふっけんチャーハン】
広東料理なのに「福建炒飯」って?
となってしまうと思いますが、あんかけチャーハンのことを【福建炒飯(ふっけんチャーハン)】と呼びます。
コース料理の提供を始めてからチャーハンを食べたいとおっしゃるお客様が結構いらっしゃたので、普通にチャーハンを出しても変わり映えがしないと思い、今まで海員閣で出していなかった…というよりは海員閣では邪道扱いされていた「あんかけチャーハン」を出してみようと思い立ちました。
リニューアル前にも牛バラをチャーハンにかけたいといった要望をチラホラ耳にしていたので、あえて邪道に足を踏み入れちゃいます。
2024年3月のメニューではカニ肉を使った贅沢仕様でご提供させていただきます。この機会に是非お試し下さいませ。
コース料理で提供するお料理の説明:【干煎大蝦】編
干煎大蝦=【大海老の殻煮(からに)】
殻煮は大粒のエビを高温の油で揚げ、「ニンニク」・「生姜」・「醤油」で香り付けした一品です。
食べ方は殻を剥いて、剥き身にタレをちょこんと付けて召し上がっていただくのが基本です。ただ、高温の油で揚げているので殻ごとでも美味しく召し上がれます。エビフライを食すとき、尻尾も一緒に召し上がるのを好まれる方は、是非殻ごと召し上がってみて下さい。
また、この殻煮のタレとライス(白飯)との相性が抜群で、ライスにタレを少しかけると、風味の良いガーリックライスの出来上がりです。お腹の余裕と相談しながら試してみて下さい。
※コース料理にはライス(白飯)を無料で提供しておりますので、ご希望の際にはお声掛け願います。
コース料理で提供するお料理の説明:【炒鮑魚】編
炒鮑魚=【鮑のうま煮】
リニューアル前の海員閣のメニューにはしばしば【うま煮】という単語が登場します。
「うま煮」というのは調理法のお名前で、「食材を軽く炒めて、スープを煮含める調理法」を指します。
このネーミングも「殻煮(からに)」同様、初代の長女が苦慮の末に付けたものだと想像します。残念ながら命名の際の話を伺おうとすると「もう昔のこと過ぎて忘れちゃったわよ」の一言で片付けられてしますので真相は闇の中ですが…。
こちらは過去のコース料理のメニューアーカイブとなります。メニューページに最新のメニューが掲載されるタイミングで過去メニューはこちらに移動します。当月メニューがメニューページにない場合は、こちらを参照下さい。
10,000円コース 2024年12月版
前菜 | 燒賣 | シューマイ |
スープ | 蟹肉魚翅 | カニ肉入りフカヒレスープ |
温菜海鮮 | 干煎大蝦 | 大海老の殻煮 |
温菜肉類 | 花油雞巻 | 鶏の巻き揚げ |
温菜海鮮 | 糖醋鮮魚 | 白身魚の甘酢餡かけ |
温菜肉類 | 東坡扣肉 | 豚バラの煮込み |
デザート | 杏仁豆腐 | あんにんとうふ |
7,000円コース 2024年12月版
前菜 | 燒賣 | シューマイ |
スープ | 雞蓉粟米 | 玉子入りコーンスープ |
温菜海鮮 | 干煎大蝦 | 大海老の殻煮 |
温菜海鮮 | 糖醋鮮魚 | 白身魚の甘酢餡かけ |
温菜肉類 | 東坡扣肉 | 豚バラの煮込み |
デザート | 杏仁豆腐 | あんにんとうふ |
コース料理で提供するお料理の説明:【菜扒牛腩】編
菜扒牛腩=【牛バラの煮込み】
海員閣の「牛バラの煮込み」は香辛料の香りが特徴的なお料理です。(牛腩は牛のバラ肉の意)
使用している香辛料は【桂皮(シナモン)】・【八角(スターアニス)】・【茴香(フェンネル)】・【花山椒】の4種です。また、隠し味として【紅腐乳】・【味噌】を使用しています。これらの食材で独特な風味を作り出しています。
コース料理で提供するお料理の説明:【東坡扣肉】編
東坡扣肉=【豚バラの煮込み】
海員閣ではリニューアル前からメニュー上、「豚バラの煮込み」を【東坡扣肉】と記しています。(扣肉は豚バラ肉の蒸し物の意)
中華料理に【東坡肉(トンポーロー)】という料理があります。東坡肉=豚バラの煮込みの様なイメージがついていますが、本場の東坡肉は豚バラ肉を紹興酒や中国醤油、香辛料と共に煮たり蒸したりして調理する風味のパンチが効いた料理です。
これは東坡肉の名前の由来に関係します。東坡肉は中国の宋代の詩人【蘇東坡(ソ トンポー)】が杭州の長官として赴任したときに民衆を指導し西湖の浚渫工事を行ったお礼に民衆から「豚肉」と「紹興酒」を贈られ、それを一緒に煮込んで生まれた料理が【東坡肉】=「東坡さんが好きな肉料理」と呼ばれました。
ですから本場の東坡肉は、独特な風味が特徴なお料理です。しかし、海員閣の「豚バラの煮込み」は、塩・砂糖・醤油のみで味付けしているので本場の東坡肉とは若干異なります。
ここからは余談となりますが、海員閣の「豚バラの煮込み」を食して、八角の風味が薄れたという意見をたまに耳にします。もともと豚バラの煮込みには香辛料を使っていないので、八角の風味がするはずはないのですが、調理工程上「牛バラの煮込み」を調理した後で「豚バラの煮込み」を調理することが多々あったので、牛バラに使っていた香辛料の風味が調理工程で豚バラに移ったのではないかと想像しております。あくまでも余談です。
コース料理で提供するお料理の説明:【杏仁豆腐】編
杏仁豆腐=【あんにんとうふ】
当店の杏仁豆腐は、杏子の種の中の可食部「仁」をミキシングして、絞った汁でお作りしております。杏仁豆腐の上には「シロップ」と「枸杞(クコ)の実」をトッピングしております。
シロップは香り付けに「桂花陳酒(ケイカチンシュ)」を使用しております。桂花陳酒とは「金木犀(キンモクセイ)」を白ワインに漬けて作られたリキュールです。
このシロップを口に含みますとハチミツの様な香りが感じられます。シロップを作る際に煮きってアルコール分は飛ばしておりますので、アルコールが苦手なお客様・お子様にも安心して召し上がっていただけます。
また、シロップを添えるのは、甘味が苦手な方への配慮として、杏仁豆腐自体の甘味は抑え、シロップで甘みを補うスタイルをとっているからです。
枸杞の実をトッピングするのは、元々杏仁自体が薬膳の食材ということで、同じ薬膳の食材の枸杞の実トッピングしております。余談となりますが、薬膳では杏仁は「喉に良い」とされており、枸杞の実は「滋養強壮に良い」とされています。
更に余談となりますが、枸杞の実の名の由来は、中国の古書に「枸橘(カラタチ)のようなとげがあり、杞柳(コリヤナギ)のように枝がしなやかに伸びるので、枸杞と名付けられた」との記述があります。
だいぶ脱線してしまったので、杏仁豆腐についての話に戻ります。杏仁豆腐の材料として用いられる「杏仁」ですが、大きく分けて「北杏(ホッキョウ)」と「南杏(ナンキョウ)」の二種類に分類されます。
「北杏」は中国の北方でとれる「シベリア杏子」・「マンシュウ杏子」から作られ、「苦杏(クキョウ)」とも呼ばれ、香り高く苦みが強いのが特徴で、主に薬用として用いられます。「南杏」中国の南方でとれる「ホン杏子」から作られ、「甜杏(テンキョウ)」とも呼ばれ、香りは北杏ほど強くはないのですが、苦みが殆どないので、主に食用として用いられます。
当店の杏仁豆腐は「南杏」を100%用いて作ります。杏仁豆腐の作り方は各店それぞれですので、お気に入りの杏仁豆腐を探すというテーマで中華街を回るのもまた一興かと思います。
コース料理で提供するお料理の説明:【白切鶏】編
白切鶏=【ゆでどり】
【白鶏】は「茹でた鶏」・「蒸した鶏」を意味します。これは鶏肉を加熱すると白くなることが由来です。
白切鶏は読んで字のごとく「ブツ切りにした白鶏」という料理です。中華料理の冷菜では王道の料理です。当店では親鳥を丸のまま中華スープの鍋に入れ、茹で上げます。リニューアル前はこの丸鶏を骨付きのまま(中国では骨付きの状態が好まれるので)ブツ切りにして提供していましたが、2023年9月のメニューでは丁寧にバラし、骨を抜いてご提供致します。
また、2023年9月のメニューではこの「ゆでどり」に特性の【生姜タレ】を添えてご提供致します。この生姜タレ、白米のお供としてもグーです!
コース料理で提供するお料理の説明:【具なし汁そば】編
具なし汁そばを提供しようと思った経緯についてですが、当店では「豚バラそば」・「牛バラそば」が人気メニューだったので、コース料理でも「豚バラ/牛バラそば」が食べたいという要望が多かったことに起因しています。
具なし汁そばのご提供は、基本「豚バラの煮込み」・「牛バラの煮込み」の提供時とさせていただいております。また、具なし汁そばの提供には【追加料金】が発生します。【1玉(約100g)を500円(税込)】で提供させていただきます。
当店の想定としては、1玉をお二人で分けていただく(1人半玉)のがベストな量と想定しております。ご注文は1玉以上から半玉単位でお受け致します。具なし汁そば提供前にお腹の満たされ具合をお聞きします。その際に注文量を確定していただきます。
可能であれば、コース料理のご予約時に「ご要望」として「具なし汁そば希望」のひと言を添えて下さい。ご来店当日の「豚バラ/牛バラの煮込み」ご提供前にもお伺いをたてますが、仕入・仕込みの都合上、事前にご注文いただけると欠品・品切れを防ぐことが出来ます。
食べ方は自由です。「豚バラ/牛バラの煮込み」と「具なし汁そば」を別々の器でご提供致します。当店の想定としてはお取り分けようのお椀に麺とスープを取り分け、その上から「豚バラ/牛バラの煮込み」をのせて、【ミニ豚バラ/牛バラそば】を作って召し上がっていただければと思います。
また、その際に小ライスをご注文下されば【ミニ豚バラ/牛バラ飯】も一緒に楽しめます。一粒で二度おいしい的な楽しみ方も出来ます。(昭和な言い回しでゴメンなさい)
コース料理で提供するお料理の説明:【凉拌麺】編
凉拌麺=【冷やしそば】
店舗の設備等の理由で避けてきた「冷やしそば」を2024年8月のコース料理で初登場させます。食欲が減退する暑い夏でもスルッと食べられる一品となっております。
冷やしそばにかけるスープは、「干し貝柱」と「干し椎茸」の戻し汁をベースにあっさり醤油味に仕上げました。乾物の旨味を存分に味わえるスープとなっております。
冷やしそばにのせる具材は、7,000円コースが細切りネギと細切り叉焼にアツアツの油をかけて和えた【ネギ叉焼(チャーシュー)】、10,000円コースが細切りネギと薄切り豚バラにアツアツの油をかけて和えた【ネギ豚バラ】となります。
そばと具材を混ぜ合わせて食べるもよし。そばの上に具材をのせて食べるもよし。お好きな形で召し上がり下さい。
コース料理で提供するお料理の説明:【瑶柱糯米飯】編
瑶柱糯米飯=【中華おこわ 】
8月、9月と2ヶ月続けて締めの一品が麺類だったので、次はご飯物と思っていたのですが、令和の米騒動真っ只中…
どうしたものかと頭を抱え、考えを巡らせて出した答えが「おこわ」です。今回はオーソドックスなおこわを目指し、具材に干し貝柱・干しエビ・干しシイタケ・たけのこ・鶏肉を使い、香港の飲茶(ヤムチャ)に出てくる中華粽(ちまき)風に仕上げます。もち米に乾物の旨味をしっかり吸わせたおこわをお楽しみ下さい。
ここからは少し脱線して、”おこわ”にまつわる話を綴ります。「おこわ」とはもち米を炊いたり、蒸したりして作るご飯料理の総称です。日本では「ハレの日(特別な日)」に作られるお料理です。例えば、お赤飯をイメージするとピンと来るかと思います。(ちなみにハレの日以外の日は「ソの日(普通の日)」と言います。トリビア(ムダ知識)ブッ込んでおきます。)
中国では端午の節句(新暦よりも旧暦の5月5日)に粽を作って家族にふるまいます。中華粽ももち米でつくるので日本式にいうと”おこわ”に含まれます。メニューに「中華粽」と載せても良かったのですが、なんとなく粽は端午の節句と括りついている印象か強いので、今回はあえて「中華おこわ」と記させてもらいました。
脱線ついでに海員閣での粽の思い出を少し。改装前、端午の節句が近付くと先代の社長が張家の親類縁者に配るために粽を作ります。1年に一度の大仕事です。なぜなら、改装前の海員閣は調理場を自由に使える時間が乏しい(週一休みで休みの日も店舗メンテナンスや仕込みが発生するので)為、端午の節句に近い日を選び、営業が終了してから次の日の営業までの時間を利用し、徹夜して先代社長が一人(初代から粽の作り方を教わった?のは先代社長だけだからです。)で粽を作るのです。
時間との格闘の末に出来上がる粽は、海員閣の豚バラ等を贅沢に忍ばせた具沢山メガ盛り粽でした。私の幼少期は、この粽を食べるのが楽しみで仕方ありませんでした。今はもう作られなくなってしまった粽のお話でした。
コース料理で提供するお料理の説明:【鍋煎滑蛋蟹肉】編
鍋煎滑蛋蟹肉=【蟹肉の玉子煮】
「玉子煮(たまごに)」。耳慣れない料理名だと思いますが、改装前の海員閣のメニューには【滑蛋蝦仁(エビの玉子煮)】としてしっかりと載っていましたし、ちゃんと提供もされていました。豚バラの煮込みや海老の殻煮の様に店の代名詞的な立ち位置という印象ではありませんが、雑誌にも取り上げられたことのあるクラシカルなお料理です。
「玉子煮」?「煮卵」?はて?どんな料理でしょう?となると思いますが、今風に言い換えると「オムレツ」や「スクランブルエッグ」にあたるのかと思います。イメージ的には具の入った”とろとろオムレツ(スクランブルエッグ)”を思い描いていただければと思います。
改装前に提供していた「エビの玉子煮」は、小エビ・叉焼(チャーシュー)・長ネギを具材として使用していました。今回はコース料理用に具材を贅沢仕様にしてリメイクします。使用する具材は蟹肉・干し貝柱・叉焼・長ネギです。お口に入れると玉子の香りが広がり、噛みしめると具材のうまみが口いっぱいに満たされます。ぜひお試し下さい。
コース料理で提供するお料理の説明:【雞蓉粟米】編
雞蓉粟米=【玉子入りコーンスープ】
玉子入りなのに…。
海員閣のメニューの「スープの部」に載っている料理名で【玉子入り××】と書かれたスープが出されると初めてのお客様は少し驚かれると思います。
なぜなら「玉子入り」と書かれているのにスープの具材にブツ切りの「小エビ」が使われていて、メニュー名になっている玉子よりも存在感を放っているからです。ちなみに時折具材に蟹肉を使用するグレードアップ版のコーンスープをメニューに採用することもあります。
海員閣の料理の特徴は、スバリ「旨味の足し算」です。ひとつの料理に色んな旨味を足して複雑みを出す手法が多く使われています。一例として「鮑のうま煮」を挙げます。少し専門的な物言いになりますが、鮑のうま煮には「鮑(貝類)から【コハク酸】」・「自家製チャーシュー(肉類)から【イノシン酸】」・「干し椎茸(きのこ類)から【グアニル酸】」といった旨味成分を足し込んでいます。
それと同じ原理でコーンスープにも海鮮系の旨味を足す意味で小エビ等を具材に使用しています。
脱線ついでに仏語で「ポタージュ」はスープ類の総称で、クリアなコンソメスープも濃厚なコーンスープもスープなので「ポタージュ」となります。仏語で「コーンポタージュ」は「クレーム・ド・マイス」と表現するようです。仏語は範疇外なので間違っていたらごめんなさい。
脱線し過ぎたのでコーンスープに話題を戻します。コーンスープという単語を耳にすると洋食の「コーンポタージュ」を連想する方も少なくないと思いますが、中華料理でもコーンスープはスタンダードなスープとして存在しています。
最近の中華料理では、洋食のコーンポタージュに近い作り方のコーンスープも見受けられますが、海員閣のコーンスープは自店の中華スープをメインに味わっていただくクラシカルなスタイルに仕上げております。
コース料理で提供するお料理の説明:【雞蓉魚翅】編
雞蓉魚翅=【玉子入りフカヒレスープ】
蟹肉魚翅=【カニ肉入りフカヒレスープ】
玉子入りなのにスープの具材にブツ切りの「小エビ」が使われているのは玉子入りコーンスープと同じ理由なので、詳細は「コーンスープについて」を参照下さい。
フカヒレには、姿煮に使われる「排翅(パイチー)」と予めほぐしたものを固めた「散翅(サンチー)」があります。海員閣がベースとしている広東料理では散翅を使う傾向にあります。
そして、フカヒレが高価なのは、乾燥したフカヒレを食せる状態にするまでに相当な手間暇を要することが理由に挙げられます。海員閣では使用している散翅を仕込む(食せる状態にする)のに3時間弱の時間を要します。この3時間はフカヒレに付きっきりになる為、他の作業には一切手を付けられません。
散翅の仕込み方法については、また後日ホームページの修正作業に時間が避けそうなときに加筆させていただきます。
コース料理で提供するお料理の説明:【糖醋鮮魚】編
糖醋鮮魚=【白身魚の甘酢餡かけ】
改装前の海員閣のメニュー(お品書き)には「海鮮の部」という項目はあったものの魚を使った料理を載せることは少なかったように思います。
私がメニュー(お品書き)の印字に携わるようになってから(30年ほど前)は魚を使った料理の提供はほぼ皆無だったと記憶しています。さらに時代を遡って海員閣の魚料理で記憶に鮮明に残っているのは、コース料理の締めとして提供していた「鯉の丸揚げ」です。記憶に残っている理由は、海員閣の調理場で「鯉の丸揚げ」の仕込み風景を目にしていたからです。大きめのバケツいっぱいに〆た鯉が入っていて、その鯉を次から次へと油の煮えたぎった鍋に放り込んでいく光景が目に焼き付いています。
しかし、鯉ヘルペスの流行で鯉の丸揚げの提供はなくなり、コース料理の締めは酢豚に取って代わったと記憶しています。ちなみに海員閣の歴代メニュー(お品書き)を見るに「鯉の丸揚げ」が単品メニューとして載っていた時期もあり、「鯉の丸揚げ」以外にも「魚のスープ」・「魚のうま煮」等の料理も提供していたようです。
前置きが長くなってしまいましたが、今回のメニューでは、衣を付けて揚げた白身魚に「鯉の丸揚げ」で使用していた甘酢餡をかけてご提供いたします。「鯉の丸揚げ」に使用していた甘酢餡はなかなか独創的で餡の具材に「紅ショウガ」・「ラッキョウ」・「絹さや」・「長ネギ」・「干しシイタケ」を用いた複雑味に富んだ仕上がりとなっています。
コース料理で提供するお料理の説明:【咕咾肉】編
咕咾肉=【酢豚】
【咕咾肉】は「古くからある肉料理」を意味します。広東で古くから作られている肉料理です。
海員閣の酢豚はシンプルに「お酢」と「ケチャップ」で酸味を演出しております。初代が鍋をふるっていた頃はケチャップはハイカラな材料としてもてはやされていたのではないかと想像します。だいぶ前にはなりますが海老のケッチャップ煮や牛タンのケチャップ煮といったお料理もメニューに載っていました。
少し変わっていると思われるであろう箇所は具材に「キュウリ」を使用しているところです。中国ではその昔、上水道が整備されておらず水が悪かったので、野菜を生で食すことはせず、加熱して食していました。その時からの名残で海員閣の酢豚にはキュウリが入っています。私の幼少のころの記憶ですが、海員閣の賄いで「キュウリと海老のうま煮」といった加熱したキュウリが食卓に上っていました。
ちなみに余談ですが、改装前の海員閣のコース料理でお出ししていた酢豚の具材にはパイナップルも使われていました。一品料理としてお出ししていた酢豚にはパイナップルは使われていませんでした。