杏仁豆腐について
コース料理で提供するお料理の説明:【杏仁豆腐】編
当店の杏仁豆腐は、杏子の種の中の可食部「仁」をミキシングして、絞った汁でお作りしております。杏仁豆腐の上には「シロップ」と「枸杞(クコ)の実」をトッピングしております。
シロップは香り付けに「桂花陳酒(ケイカチンシュ)」を使用しております。桂花陳酒とは「金木犀(キンモクセイ)」を白ワインに漬けて作られたリキュールです。
このシロップを口に含みますとハチミツの様な香りが感じられます。シロップを作る際に煮きってアルコール分は飛ばしておりますので、アルコールが苦手なお客様・お子様にも安心して召し上がっていただけます。
また、シロップを添えるのは、甘味が苦手な方への配慮として、杏仁豆腐自体の甘味は抑え、シロップで甘みを補うスタイルをとっているからです。
枸杞の実をトッピングするのは、元々杏仁自体が薬膳の食材ということで、同じ薬膳の食材の枸杞の実トッピングしております。余談となりますが、薬膳では杏仁は「喉に良い」とされており、枸杞の実は「滋養強壮に良い」とされています。
更に余談となりますが、枸杞の実の名の由来は、中国の古書に「枸橘(カラタチ)のようなとげがあり、杞柳(コリヤナギ)のように枝がしなやかに伸びるので、枸杞と名付けられた」との記述があります。
だいぶ脱線してしまったので、杏仁豆腐についての話に戻ります。杏仁豆腐の材料として用いられる「杏仁」ですが、大きく分けて「北杏(ホッキョウ)」と「南杏(ナンキョウ)」の二種類に分類されます。
「北杏」は中国の北方でとれる「シベリア杏子」・「マンシュウ杏子」から作られ、「苦杏(クキョウ)」とも呼ばれ、香り高く苦みが強いのが特徴で、主に薬用として用いられます。「南杏」中国の南方でとれる「ホン杏子」から作られ、「甜杏(テンキョウ)」とも呼ばれ、香りは北杏ほど強くはないのですが、苦みが殆どないので、主に食用として用いられます。
当店の杏仁豆腐は「南杏」を100%用いて作ります。杏仁豆腐の作り方は各店それぞれですので、お気に入りの杏仁豆腐を探すというテーマで中華街を回るのもまた一興かと思います。