中華おこわについて
コース料理で提供するお料理の説明:【瑶柱糯米飯】編
瑶柱糯米飯=【中華おこわ 】
8月、9月と2ヶ月続けて締めの一品が麺類だったので、次はご飯物と思っていたのですが、令和の米騒動真っ只中…
どうしたものかと頭を抱え、考えを巡らせて出した答えが「おこわ」です。今回はオーソドックスなおこわを目指し、具材に干し貝柱・干しエビ・干しシイタケ・たけのこ・鶏肉を使い、香港の飲茶(ヤムチャ)に出てくる中華粽(ちまき)風に仕上げます。もち米に乾物の旨味をしっかり吸わせたおこわをお楽しみ下さい。
ここからは少し脱線して、”おこわ”にまつわる話を綴ります。「おこわ」とはもち米を炊いたり、蒸したりして作るご飯料理の総称です。日本では「ハレの日(特別な日)」に作られるお料理です。例えば、お赤飯をイメージするとピンと来るかと思います。(ちなみにハレの日以外の日は「ソの日(普通の日)」と言います。トリビア(ムダ知識)ブッ込んでおきます。)
中国では端午の節句(新暦よりも旧暦の5月5日)に粽を作って家族にふるまいます。中華粽ももち米でつくるので日本式にいうと”おこわ”に含まれます。メニューに「中華粽」と載せても良かったのですが、なんとなく粽は端午の節句と括りついている印象か強いので、今回はあえて「中華おこわ」と記させてもらいました。
脱線ついでに海員閣での粽の思い出を少し。改装前、端午の節句が近付くと先代の社長が張家の親類縁者に配るために粽を作ります。1年に一度の大仕事です。なぜなら、改装前の海員閣は調理場を自由に使える時間が乏しい(週一休みで休みの日も店舗メンテナンスや仕込みが発生するので)為、端午の節句に近い日を選び、営業が終了してから次の日の営業までの時間を利用し、徹夜して先代社長が一人(初代から粽の作り方を教わった?のは先代社長だけだからです。)で粽を作るのです。
時間との格闘の末に出来上がる粽は、海員閣の豚バラ等を贅沢に忍ばせた具沢山メガ盛り粽でした。私の幼少期は、この粽を食べるのが楽しみで仕方ありませんでした。今はもう作られなくなってしまった粽のお話でした。