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#オールタイムマイベスト #オールタイム日本映画 #オールタイム外国映画 | |||||
フェイスブックで受け取ったバトン | |||||
高校時分の映画部の部長から下記ルールによる選出の用命を受けて試みてみたら、難儀の極みだった。手元のリストに記録されている再見も含めた6,879本(外国映画4,129本、日本映画2,750本)のなかから、思いつくままに拾い出していたら収拾がつかなくなった。 そこで、1980年度から残しているマイベストテンの第1位作品からの選出に改めるとともに、已む無くドキュメンタリー映画とアニメーション作品を除くことにしたうえで、1984年10月から始めた映画日誌を綴っているスクリーン観賞した映画から、それぞれ10作品に絞ってみた。したがって、'80年度マイベスト『旅芸人の記録』『祭りの準備』、'81年度『ある結婚の風景』『ラブレター』、'82年度『黄昏』『泥の河』、'83年度『ガンジー』『天城越え』などは、その選出時点での映画日誌がないので、潔く除外した。 マイベストテンを毎年とせずに毎年度としているのは、年度のほうが3月下旬生まれの僕の年齢と区切りがちょうど重なるからだ。また、映画は基本的に“同時代性のメディア”だと思っていることから、マイベストテンの選出に際しては、クラシック作品は上位に置かないようにしてきた。何を以てクラシックとするかは、音楽と同様に難題でもあるけれど、僕のなかでは十年一昔ではないけれど、十年以上前の作品というような区分けで臨んできたような感覚がある。 示されたルールは、以下の通り。 ①トータル10本の映画をランダムに1日1本あげてください。思い出や感想付き歓迎。 ②ポスターやパンレットの写真を付けてくださるとなお歓迎です。 ③最終の日にベストワンを上げてください。 ④ベストワンは3ポイント、他の作品は1ポイントとして集計します。 ⑤出来れば初日にお一人リレーをつないでください。 ⑥日本映画だけ。外国映画だけ、両方参加どれでもOKです。両方参加の方は一度に両方上げてください。 ⑦頭に上の端の#以下を選んで付けてください。 それでは、初日。 外国映画は、'90. 6. 1.に日比谷シャンテ・シネ1で観た『ドゥ・ザ・ライト・シング』(スパイク・リー監督)。 日本映画は、'85. 6.14.に第二劇場で観た『瀬降り物語』(中島貞夫監督)。 ルール③よるものを除いて、単に若い時期に観た順に繰り出すこととしたのだが、図らずも差別について深く考えさせてくれる二作品を選んだ形になった。 二日目。 外国映画は、'91. 4.25.に高知松竹で観た『シェルタリング・スカイ』(ベルナルド・ベルトルッチ監督)。 日本映画は、'87. 2.27.に名画座で観た『海と毒薬』(熊井 啓監督)。 両作とも人間の強さと弱さ、そして、孤独について考えさせられる映画だったように思う。 三日目。 外国映画は、'96.10.10.に県民文化ホール・グリーンで観た『アンダーグラウンド』(エミール・クストリッツァ監督)。 日本映画は、'92. 6.28.にシアター・トップスで観た『三月のライオン』(矢崎仁司監督)。 両作とも、という括りで何を継ごうかハタと困ったが、そうだ!この二作はともに、強い作家性を感じさせる象徴性と抽象化のなかに身体性を感じさせてくれるところが相通じていた気がする。 四日目。 外国映画は、'00. 9. 7.に県民文化ホール・グリーンで観た『アメリカン・ヒストリーX』(トニー・ケイ監督)。 日本映画は、'02. 5.17.に県民文化ホール・グリーンで観た『まぶだち』(古厩智之監督)。 両作とも、人の“知り学ぶという営み”について深い示唆を秘めた作品だったように思う。 五日目。 外国映画は、'01.10. 7.に美術館ホールで上映した『ディル・セ 心から』(マニ・ラトナム監督)。 日本映画は、'04.11.15.にあたご劇場で観た『東京原発』(山川 元監督)。 両作ともポリティカルなメッセージを完璧なまでのエンターテインメント作品のフォーマットで描き出したうえで、その政治的メッセージのほうが前面に出てくる造りを果たし得ていることに畏れ入った覚えがある。こんな映画が作れるんだ!と、その創造力の見事さに感銘を受けた。 六日目。 外国映画は、'02. 9.11.に県民文化ホール・グリーンで観た『ノー・マンズ・ランド』(ダニス・タノヴィッチ監督)。 日本映画は、'06. 4. 7.に美術館ホールで観た『運命じゃない人』(内田けんじ監督)。 両作とも、作り手の人間観とユーモアセンスに感服した映画だったように思う。なかなかこういう映画は作れないと感じるとともに、そのアイデアを作品化した完成度の高さが御見事だった。 七日目。 外国映画は、'09. 6. 5.に梅田ピカデリー3で観た『グラン・トリノ』(クリント・イーストウッド監督)。 日本映画は、'09. 1.17.に自由民権記念館で観た『接吻』(万田邦敏監督)。 両作とも、おいそれとは共感しにくいほどに切迫した人の感情の綾を描き出して、思わず人の何たるかを考えさせてくれるだけの力を持った秀作だったように思う。初めて同じ年に観た作品が並んだ(笑)。 八日目。 外国映画は、'11. 9. 3.にTOHOシネマズシャンテで観た『未来を生きる君たちへ』(スサンネ・ビア監督)。 日本映画は、'10. 9.18.にTOHOシネマズ3で観た『悪人』(李 相日監督)。 両作とも、“悪”とは何か“正しさ”とは何なのか、という根源的な命題に真摯に取り組んだ力作だったように思う。 九日目。 外国映画は、'18.11. 2.にシネマート新宿で観た『判決、ふたつの希望』(ジアド・ドゥエイリ監督)。 日本映画は、'18. 6.10.にTOHOシネマズ3で観た『友罪』(瀬々敬久監督)。 両作とも、表立った行為の是非を判じるのは易くても、その行為を行った人の赦責を判じることの難しさを描き出すとともに、罪の持つ社会的意味と社会を構成する人々の罪への向かい方をも問い掛ける深みを確かな人間観に基づいて綴った秀作だったように思う。 最終日。ベストワン。 ◎外国映画は、'88. 8.15.に高新文化会館で観た『炎628』(エレム・クリモフ監督)。 ◎日本映画は、'00.11.26.に美術館ホールで上映した『肉弾』(岡本喜八監督)。 両作とも、反戦映画として個人的に最もインパクトを受けた傑作。 『炎628』は、今は亡き西森茂夫平和資料館・草の家館長が「君はこういうものを書き続けてください」と映画日誌を激賞してくれた思い出のある作品でもある。西森館長は、僕の母校の向陽新聞に「シネ鑑賞」を寄稿('73年96号)してくれたり、座談会企画「土佐校と学生生活」に参加('74年99号)してくれ、後に拙著の出版記念パーティを友人たちが企画してくれた際には横断幕を揮毫してくれた母校の恩師だ。 『肉弾』は、映画サイト「チネチッタ高知」の主宰者である、お茶屋さんと交わしたネットでのメール談義が忘れられない作品でもある。彼女は、僕をネットの世界に誘い込み、今に至る映画の楽しみの間口を飛躍的に広げてくれた、僕にとってはネット界三恩人の一人。 ちなみに「已む無く除いたドキュメンタリー映画とアニメーション作品」でマイベストテンの1位に選出した映画は、 '06. 6.11.の県立美術館ホール『忘却のバグダッド』、 '14. 1.23.の県立美術館ホール『標的の村』、 '17.11.26.の地上波録画『731部隊の真実~エリート医学者と人体実験~』、 '19. 6.22.の自由民権記念館ホール『沖縄スパイ戦史』、 '98. 6.22.の県民文化ホール・グリーン『パーフェクト・ブルー』、 '07.11.14.の県立美術館ホール『秒速5センチメートル』、 '12.12.12.と'12.12.14.のTOHOシネマズ『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語&[後編]永遠の物語』、 '16.11.27.のTOHOシネマズ3『この世界の片隅に』。 参照テクスト:十五年前に受け取った映画のバトン(往復書簡編集採録) | |||||
by ヤマ 20. 5. 8.~ 5.16. | |||||
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