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vol 101:現実?
『さぁ、みんな、中に入って!。』
シスターが子供達に叫ぶように告げる。
子供達は、それぞれのペースで建物の中へと入って行く。
俺の隣にはチーが居て、
俺を挟むように逆側の隣に、口から顎にかけて、
半分無い男の子が立ってた。
俺の目線は見たらアカンと思ってても、
その子のグロテスクな口に目がいく。
(慣れてるから。)
「え?。」
頭に響く声。
隣のその子は俺を見つめる。
(もう、腐ってるんだって。
だから痛みもないんだ。)
「お前・・・。」
(うん。自分の口ではもう話せない。
他の人にこうやって話しかけても誰も気付いてくれないんだけど、
チーは気付いてくれる。
お兄さんも聞こえてるんだね。)
「・・・あぁ。」
俺はその子から弥勒に視線を移す。
弥勒はゆっくり頷いた。
この子の命は長くない。
チーの命も。
あの世に近い人間程、霊に近付く場合も多い。
死が迫ると、霊に似た力を使う。
「お前、名前は?。」
(ラドゥン。)
「俺はカン。こっちは弥勒。」
『ラドゥン、早く入らないとシスターに叩かれる。』
(あぁ、そうだね。チー。
お仕置きは嫌だ。行こう、チー。)
ラドゥンがチーの側に行って、手を繋いで建物に歩きだした。
俺は勿論、ラドゥンの声しか解らない。
「お仕置き?。」
弥勒は腕を組み、
「シスターに叩かれるとチーは言ってた。」
直ぐに頭に浮かんだもの。
虐待。
「でも、まさか・・・シスターなんやろ?。」
弥勒が建物を見つめる俺の肩に手を置いて、
「シスターも人間だ。
実態を暴いてみるか。」
俺達にジムが近付いてきた。
『カン、弥勒。今夜はこの施設で泊まる。
君達はどうする?。』
弥勒はニッコリとジムに笑み、
『迷惑でなければ是非。』
『そうか。では、部屋を用意しよう。』
『どうも。』
弥勒に泊まると聞かされてジムについて行き建物の中へ。
サタンが俺の隣に立った。
「なんやねん。」
「忠告しといてあげようと思って。」
「忠告?。」
サタンは変わらぬ満面の笑みを見せ、
「そ。ここで出された食事と飲み物には手をつけないほうがいい。」
「どういう事や。」
「とにかく、爆睡したいのなら別だけど。
そうでないなら、僕の言う事は聞いておきなよ。」
俺はピンときた。
サタンの胸倉を掴み上げ、
「お前、まさか・・・ホンマに毒でも、。」
「ちょっと待ってよ。ストップ!
僕は客だよ?厨房にも入れない。
僕が手を下さなくても、人間が勝手にやってくれる。
・・・僕の指示なしでねぇ。」
弥勒が俺のサタンを掴む手を掴み離させる。
「なぁ、イエス。
頼むから、コイツにちょっかい出さないでくれ。」
サタンは眉尻下げて乱れた服を直しながら、
「なに、それ。僕は傷つくよ。
カンと会うのをとても楽しみにしていたのに。
カンも楽しみにしてたはずなのに。
なんの証拠もないのに僕を疑ってばかり。」
俺はカッとくる。
「こんな人達見て、何が楽しみじゃ!
お前が戦争を招いたんやろうがっ!。」
サタンは無表情に俺を見た。
「僕は手を下してはいない。
これは勝手に人間共がやっている事。
聖戦として。
神の戦いだってねぇ。
全てが全てを闇の者のせいにするのはやめてくれない?
それに、
君達はそんな人間を助けるんだろう?
ククク・・・無力の子供達をこんな風にした人間を。」
サタンは歩きだし、
「まぁ、せいぜい現実を見るといいよぉ。
そうすれば、君は僕達の味方になる。」
俺を見ないまま話して部屋に入っていった。
「・・・嘘や。」
俯いて自分に言い聞かせる。
弥勒は俺の手を引いて案内された部屋へと歩き出す。
「カン、お前は冷静を失ってる。
真実も見えなくなるぞ。今のままだと。」
弥勒は思ってるんかな。
俺を連れて来た事への後悔。
用意された部屋はベッドが2つ以外何もない部屋やった。
窓はガラスがない。
ここも一度、食糧強奪されかかって、
その時に窓ガラスを割られたんやって。
殆どの部屋がそんな部屋やって聞いた。
夕飯まで時間がある。
でも、部屋の外には出たくなかった。
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