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vol 97:知らない国
飛行機も長時間乗ってると、腰やら背中やらが痛くなる。
アナウンスの声にそろそろ到着らしい。
「弥勒、ほら、着くで?。」
爆睡している弥勒を起してやり飛行機が着陸する。
空港で入国手続きを済ませる。
滞在期間とかは弥勒に合わせて答えて、
この国は昼になってた。
俺達は適当に昼食を空港内で済ませる事に。
レストランに入って喫煙席に座る。
「あー、ただ乗ってるだけやのに疲れたぁ~。」
煙草を咥えて一服。
ずっと禁煙状態の飛行機の中は苦痛そのものや。
そういや・・・。
「なぁ、ホテルの手配とか、
そんなんは出来とるんやんなぁ?。」
行く場所だけを聞かされてただけで、
予定もなんも聞いてなかった。
弥勒は頼んだコーヒーを飲みながら、
「手配してない。帰りのチケットだけ。」
「え?してないって・・・いや、ホテルは?。」
「さぁ?。」
俺は顔を青褪めて咄嗟に立ち上がり、
「さぁっておまっ、どないすんねん!。」
張り上げた声に店内の外国人が驚いてる。
「カン、いいから座れって。
あんまり目立つな。」
苦笑しながら言う弥勒にムカつきながらも椅子に座り、
「知らん国で、言葉も通じへんとこで、
どないして安全なホテル探すねん。」
不貞腐れる俺に弥勒はなんの躊躇もなく、
逆に笑んで、
「まぁ、お楽しみが待ってる。」
お楽しみ?。
何がお楽しみやねん。
この状況でそないな雰囲気ゼロやないか。
とりあえず、飯食ってからレストランを出て、
空港から外に出る。
「なぁ~、地図もないやぁ~ん。
どないするん!どこ行くん!。」
肩に大きなバッグを掛けている為に、
重さにノロノロと弥勒の真後ろを歩く。
「いった!。」
いきなり弥勒が立ち止ったから、
俺は弥勒の背中にぶつかった。
「なんやねん!もう!。」
「・・・カン、構えろ!。」
「は?。」
構えろって・・・、
その数秒後、大きな爆発音と共に、
もの凄い熱風が吹き荒れた。
何が起こった?。
ぎゅっと瞑った目を開けるも、砂埃りの中で、
沢山の人の悲鳴が聞こえる。
「み、弥勒!。」
「カン、自爆テロだ。」
「じ、ばく、。」
弥勒の言葉に目を見開いた。
目の前の少し離れた通りの店が燃えてる。
あちこちに何人かの人が倒れて・・・。
その光景は映画でも見てるようなもんでもなく、
体中に悪寒が走る。
「カン、行くぞ!。」
「行くって、おい、弥勒!。」
弥勒は直ぐに路上に飛ばされて倒れている人の元へ走り、
何語か理解出来ない言葉で話しかけながら、
怪我人を安全な場所に運ぶ。
俺は、とにかくこの光景に唖然となって、
ただ見てるだけやった。
(たすけて。)
「え?。」
(た、すけて。)
悲鳴の中聞こえる声。
霊か。
感じる気を元に視線を向けると、
道路の真ん中に男の子が血だらけで倒れてる。
死んだんか。
「ぁ・・・。」
俺の目に飛び込んで来たのは、
死んでると思ってた血だらけで倒れてる男の子の瞼が震え、
口をパクパクして、あって小さな声を出してる。
「い、生きとる!。」
声を発した時には走り出してて、
車を両手を差し出して止まるようにジェスチャーで伝えては、
道路の真ん中で倒れる子供にしゃがみ込んで、
「大丈夫か!。」
「ぁ・・・ぁ・・・。」
駆け寄って日本語で話しかける俺に、
虚ろなその子の目は俺を見て、
小さく、あと言う。
今にも、消えそうな声であと言う。
「待っとけ?今、病院に連れてったる。」
皮膚はただれて傷だらけの手足に破れた服。
血だらけの体をゆっくり脇と膝裏に片手づついれて抱き上げて、
道路から弥勒の居る店の前に移動した。
「み、弥勒!この子、まだ生きとる!。」
弥勒が俺の前に立って子供の顔を見た。
「はよう病院にっ、。」
「カン・・・死んでる。」
俺は直ぐに子供の顔へと目を向ける。
男の子の目は半開きのまま口を開け死んでた。
「お、おい・・・ちょ、嘘やろ?
今なんか言うとったやん・・・か・・・。」
子供の体を揺するも手足は下を向け、
「カン、こっちに連れて来てくれ。」
弥勒が何歩か歩く先には、
年老いたじいさん、ばあさん、男に女、
小さな女の子、赤ん坊が横たわって並んでる。
手足がなかったり、顔が半分なかったり、
足や手だけが転がってたり。
死人が並んでる。
たった今、死んだ人達。
俺と同じ人間。
「カン!取り乱すな!。」
弥勒の怒鳴り声に俺の目からは大粒の涙が溢れて、
「カン、こんなものはまだ序の口に過ぎないんだ。」
そう言って俺の腕から子供を抱き上げて死人の中に並べる。
自分の両手、手のひらを見ると、
服も手も血だらけになってた。
同じ人間の血。
「あの、おねいさん?。」
綺麗な発音の日本語で後ろから声を掛けられた。
振り向くと、黒人の男の子。
「あ・・・ごめんなさい。
女の人だと思って。」
綺麗な金色の髪に黒い肌。
妙に目を引く。
「お兄さん、ここに居ると危ないですから。
こっちへ。」
俺の手を掴んだ瞬間、知ってる気がした。
『おい、イエス!何をしている、そこは危ない!。』
『はい!父さん!今行きます!。』
イ・エス・・。
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