ソリューション データ:
末の息子Aが小学校に入学してから,
毎朝登校を嫌がるようになった。
私は,その4月から勤務先がわかり,子供達の登校より
30分程度早く家を出なければならない状況であったため,子供達を
送り出すことも出来ず…。
隣には,祖父母がいたが,ここで休ませては,この子が
乗り越えられないかも…と思い,
「じゃあ今日休んだら,皆が休みの日(土曜日)にAちゃんだけ
学校行くことになるよ。それでも良い?」
「やだぁ!」
「そうだよね.家族みんなと一緒に休みたいよね。じゃあ,今日は
頑張っていこうか」
という声掛けや,
「お母さんはお仕事に行くけど,心はいつもAちゃんのそばに居るよ。
Aちゃん頑張れっていつも見てるからね」
また,ある時は
「じゃあ,お母さんも一緒にAちゃんの学校に行って
教室で隣に座って勉強しようかなあ」
「やだ,恥ずかしいよ」
「じゃあ今日も頑張るか」
(Aは,人前で恥ずかしいことが嫌いな性格なので,
それを利用して脅す)
こんなことを何度もして,なんとか登校させていた。
そして帰宅させてすぐ,「今日もAちゃん頑張ったね」と言って,
なでたり抱きしめたりをした。
4月半ばより,目をぱちぱちさせるチック症状なども出てきて,
朝も大泣きするようになった。不登校の出来損ないにならないか
心配になり,担任の先生に相談しようかと考え,ちょうど家庭訪問
だったので様子を話し,学校では特に問題なく過ごしている
ようだが,少しだけ気にかけていただけるようお願いした。
このようなことをしていくうちに5月末くらいから,ピタッと,
登校しぶりが無くなった。
担任からも「どうですか!?」と連絡があり,親としても
心配してくださっていた先生の気持ちに感謝した。子供の中の
いろんな不安などが重なって,登校しぶりは起きていたと思う。
不登校もたくさんの子供を仕事で見てきたが,その子によって
原因は多種多様で,これが原因というものは限定できないと思う。
今回のわが子の例では,
朝はあっけらかんとしてあまり細かく面倒を見てくれない兄たちに
ひっぱたかれ,学校に行くのは"あたりまえ"という感じで
登校させられたこと。
本人は"遅れての登校"は,恥ずかしくて嫌と言うこと。
学校で泣いたりしたりするのは赤ちゃんみたいで恥ずかしいと
思っていて,平気な顔をして頑張ったこと。
下校すると祖父母の温かい優しさに包まれてリラックスできたこと。
大好きなウルトラマンを見てエネルギーを蓄えられたこと。
母との添い寝で甘えられたこと。
など,たくさんのことが重なりあって,本人が自分の環境の変化を
乗り越えられたのではないかと思う。
でも,これも,『偶然』ではないのだろうか。
同じ1年生で,同じ対応をして悪化することもあると思う。試行錯誤
を繰り返し,どうにもならない時は,専門家に助けを求めることも
必要ではと考える。
最後にもう1つ,目に見えない人の心って,思った以上に子供に
伝わっていると思う。例えば,担任の先生は,Aの登校しぶりを
聞いてから,それとなくAに気を配ってくれたと思う。
それがたとえ,眼差しのみであったとしても,子供には感じる力が
あるように思う。
私は親子でも大好きな気持ちを節々で伝えているが,子供の心を
芯の部分で支えていくのは,大人達のその子を想う気持ちでは
ないかと考えている。