所得税
災害に関する取扱 (事業所得)
堀内勤志税理士事務所
武蔵野市吉祥寺本町1-32-9
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掲載(更新)日: 2015年11月12日
災害に関する所得税法上の取扱
  1. 災害により滅失・損壊した資産等
    個人事業者の有する商品、店舗、事務所等の資産が災害により被害を受けた場合にその被災に伴い次のような損失又は費用が生じたときには、その損失又は費用の額は必要経費に算入されます。
    1. 商品や原材料等の棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失又は損壊した場合の損失の額
    2. 損壊した資産の取壊し又は除去のための費用の額
    3. 土砂その他の障害物の除去のための費用の額
    (必要経費)
    1. 所法第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
    2. 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
    (資産損失の必要経費算入)
    1. 所法第五十一条 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
    2. 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
    3. 災害又は盗難若しくは横領により居住者の有する山林について生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
    4. 居住者の不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(山林及び第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産を除く。)の損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額、資産の譲渡により又はこれに関連して生じたもの及び第一項若しくは第二項又は第七十二条第一項(雑損控除)に規定するものを除く。)は、それぞれ、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額(この項の規定を適用しないで計算したこれらの所得の金額とする。)を限度として、当該年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
    5. 第一項及び前二項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
  2. 復旧のために支出する費用
    事業者が、災害により被害を受けた固定資産(以下「被災資産」といいます。)について支出する次のよう な費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、次のとおりとなります。
    1. 被災資産についてその原状を回復するための費用は、修繕費となります。
    2. 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用について、修繕費とする経理をしているときは、この処理が認められます。
    3. 被災資産について支出する費用(ⅰ又はⅱに該当するものを除きます。)の額のうち、資本的支出か   修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出と   する経理をしているときは、この処理が認められます。
    (修繕費に含まれる費用)
    所基通37-11 業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常の維持管理のため、又は災害等によりき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められる部分の金額(当該金額に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項《資産損失の必要経費算入》又は第72条《雑損控除》の規定の適用を受けている場合には、当該金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)が修繕費となるのであるが、次に掲げるような金額は、修繕費に該当する。(昭55直所3-19、直法6-8追加、昭57直所3-1改正)
    1. 建物の移えい又は解体移築をした場合(移えい又は解体移築を予定して取得した建物についてした場合を除く。)におけるその移えい又は移築に要した費用の額。ただし、解体移築にあっては、旧資材の70%以上がその性質上再使用できる場合であって、当該旧資材をそのまま利用して従前の建物と同一の規模及び構造の建物を再建築するものに限る。
    2. 機械装置の移設(49-5の適用のある移設を除く。)に要した費用(解体費を含む。)の額
    3. 地盤沈下した土地を沈下前の状態(業務の用に供された時において既に沈下していた土地については、その業務の用に供された時の状態とする。)に回復するために行う地盛りに要した費用の額(その土地の沈下による損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該部分の金額のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)。
    4. 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額(当該費用に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該費用のうち、これらの規定に規定する損失の金額に算入された金額を除く。)。ただし、その床上工事等が従来の床面の構造、材質等を改良するものである等明らかに改良工事であると認められる場合のその改良部分に対応する金額を除く。
    5. 現に使用している土地の水はけを良くするなどのために行う砂利、砕石等の敷設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
    (災害の復旧費用の必要経費算入)
    所基通37-12の2 災害により被害を受けた固定資産(以下この項において「被災資産」という。)の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用の額(当該費用に係る損失につき法第51条第1項若しくは第4項又は第72条の規定の適用を受けている場合には、当該費用のうち、これらの規定に規定する損失の額に算入された金額を除く。)を修繕費の額として当該業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、37-10にかかわらず、これを認めるものとする。(平7課所4-16追加)
    (注)
    1. 被災資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産の取得又は特別の施設の設置は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得の対価及び付随費用となるのであるから、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。
    2. この取扱いは、令第140条《固定資産に準ずる資産の範囲》に規定する繰延資産につき、当該繰延資産の基因となる固定資産について損壊等の被害があった場合について準用する。
    (災害の場合の原状回復のための費用の特例)
    所基通37-14の2 災害により損壊した業務の用に供されている固定資産について支出した費用で、その費用の額を修繕その他の原状回復のために支出した部分の額とその他の部分の額とに区分することが困難なものについては、当該損壊により生じた損失につき法第72条の規定の適用を受ける場合を除き、その費用の額の30%相当額を原状回復のために支出した部分の額とし、残余の額を資本的支出の部分の額とすることができる。(昭55直所3-19、直法6-8、昭57直所3-1、平7課所4-16改正)
    (注) 当該損壊により生じた損失につき法第51条第1項又は第4項の規定の適用がある場合には、上記により計算された原状回復のために支出した費用の額であっても、51-3により必要経費に算入されないものがあることに留意する。
    
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