災害時の納税猶予等
堀内勤志税理士事務所
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掲載(更新)日: 2015年11月12日
 災害を受けたときの納税の猶予
 納税者の方が災害により被害を受けた場合には、一定の国税について納税の猶予を受けることができます。
 この制度には、災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予と災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予があります。
  1. 災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予
    この納税の猶予を受けられる方は、災害により全積極財産のおおむね20%以上の損失を受けた方です。
    また、納税の猶予を受けられる国税は、次のようなもので、その損失を受けた日以後1年以内に納付すべきものです。
    1. 災害がやんだ日以前に課税期間の満了した所得税又は法人税や災害がやんだ日以前に取得した財産に係る相続税又は贈与税で、納期限がその損失を受けた日以後に到来するもののうち、猶予申請の日以前に納付すべき税額の確定したもの
    2. 災害がやんだ日の属する月の末日以前に支払われた給与等の源泉所得税等で法定納期限がまだ到来していないもの
    3. 災害がやんだ日以前に課税期間が経過した消費税で、納期限が損失を受けた日以後に到来するもののうち、猶予申請の日以前に納付すべき税額の確定したもの
    4. 予定納税に係る所得税並びに中間申告に係る法人税及び消費税
     納税の猶予期間は、損失の程度により、納期限から1年以内の期間となります。
     なお、この納税の猶予を受けるためには、災害のやんだ日から2ヶ月以内に、「納税の猶予申請書」及び「被災明細書」を提出する必要があります。
  2. 災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予
     災害その他やむを得ない理由に基づき、国税を一時に納付することができないと認められる場合には、税務署長に申請をすることにより、納税の猶予を受けることができます。
     また、納税の猶予を受けられる国税は、災害等により被害を受けたことに基づき、一時に納付することができないと認められる国税です。
     納税の猶予期間は、原則として1年以内の期間に限りますが、猶予の期間内に納付ができないやむを得ない理由がある場合は、既に認められている猶予期間と合わせて2年を超えない期間内で、申請により納税の猶予期間の延長を受けることができます。
     よって、同一の災害を理由として、災害により相当な損失を受けた場合の納税の猶予と災害等を受けたことにより納付が困難な場合の納税の猶予及びその猶予期限の延長により、最長3年間の猶予を受けることができます。
     この納税の猶予を受けるためには、「納税の猶予申請書」の提出が必要ですが、上記1.の災害によ相当な損失を受けた場合の納税の猶予と異なり原則として猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供が必要です。また、この納税の猶予は、申請に対する期間制限がありませんが、すみやかに申請してください。
                           
(通法11、46、通令13、14、15、通基46-2)
                               [平成23年6月30日現在法令等]
 サラリーマン、公的年金受給者が災害を受けたときの源泉所得税の徴収猶予及ぴ還付
 災害を受けたサラリ一マン、公的年金受給者の方の災害による損害金額が、往宅スは家財の価額の2分の1以上で、かつ、その年分の合計所得金額の見積額が1000万円以下である場合には、所得金額の見積額に応じて、源泉所得税額の全部又は一部について徴収猶予や還付を受けることができます。この場合の住宅又は家財とは、自己又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族でその年の総所得金額等が38万円以下である者が所有する常時起居する往宅又は目常生活に通常必要な家具、じゆう器、衣服、書籍その他の家庭用動産をいいますが、別荘や貴金属類、書両、骨とう、美術工芸晶等で1個又は1組の価格が30万円を超えるものは含まれません。
 また、災害による住宅や家財の損害金額がこれちの価額の2分の1未満、又は、その年の合計所得金額の見積額が1000万円を超える場合で、災害による損害金額について雑損控除の適用が受けられると認められるときには、徴収猶予限度額に達するまでの金額について、源泉所得税の徴収猶予を受けることができます。
 なお、徴収猶予や還付を受けようとする方は、給与又は公的年金等の支払者を経由して、災害を受けた方の納税地の所轄税務署長(注)(還付を受けようとする方は直接納税地の所轄税務署長)に「源泉所得税の徴収猶予・還付申請書士等の書類を提出する必要があります。
  (注)支払者の源泉所得税の納税地の所轄税務署長に提出してもかまいません(この揚合でも、申請者  の名宛人は、災害を受けた方の納税地の所轄税務署長としてください)。
 サラリーマンがこの源泉所得税の徴収猶予又は還付を受けた場合は年末調整がされませんので、確定申告により所得税を精算することになります。
(災免法3、災免令3の2、4、5、6、9、10、昭27・7直所1-101)
[平成23年6月30日現在法令等]
 災害を受けたときの予定納税の減額申請
 所得税の予定納税をされる方が、災害により損失を受けたときは、次により、減額申請をすることで予定納税額の軽減免除を受けることができます。
  1. 6月30日までに災害を受けた方で、6月30日の現況によって見積もったその年分の所得税の額が予定納税基準額に満たないときは、その年の7月15日までに予定納税の減額申請をすることで第一期分及び第二期分の予定納税額が軽減免除されます。
  2. 7月1日以後に災害を受けた方で、災害減免法による所得税の軽減免除の適用を受けることのできる方で、災害を受けた日において見積もったその年分の所得税の額が予定納税基準額に満たないときは、災害にあった日から2か月以内に、第一期分又は第二期分の予定納税額の減額を申請することができます。
  3. 7月1日以後10月31日までの間に災害を受けた方で、(2)の適用を受けない方でも10月31日の現況によりその年の申告納税額を見積り、11月15日までに第二期分の予定納税額の減額申請をすることができます。
(所法111、災免法3、災免令3)
                              [平成23年6月30日現在法令等]
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