贈与税
堀内勤志税理士事務所
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掲載(更新)日: 2015年12月22日
贈与税の仕組み
 課税の方法
贈与税には、暦年課税と相続時精算課税があります。
  1. 暦年課税とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産に対する課税です。
  2. 相続時精算課税とは、贈与時に贈与財産に対する贈与税を支払い、相続時に贈与財産と相続財産を合算し、相続税を計算し、既に支払済みの贈与税を控除して納税するというものです。110万円の基礎控除はありませんが、2,500万円の特別控除があります。ただし贈与を受ける者(「受贈者」といいます)と贈与をする者(「贈与者}といいます)に次の要件があります。
    • 受贈者は、贈与者の推定相続人である直系尊属のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の子(平成27年1月1日以後の贈与の場合は、孫も対象となります)
    • 贈与者は、贈与をした年の1月1日において65歳以上である者(平成27年1月1日以後は60歳)。ただし、住宅取得等資金の贈与の場合には一定の要件を満たせば65歳未満でも可。
なお、相続時精算課税制度を一度選択、届出をすると、途中で取りやめることはできません。
また、相続時精算課税を選択した受贈者が、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた場合には、暦年課税になります。
 贈与の時期
贈与の時期は、
  1. 書面による贈与については、その贈与契約の効力が発生した時
  2. 口頭による贈与については、その贈与の履行があった時
  3. 停止条件付の贈与については、その条件が成就した時
  4. 農地及び採草放校地の贈与については、農地法の規定による農業委員会又は都道府県知事の許可のあった日又は届出の効力が生じた日後に贈与があったと認められるものを除き、 その許可のあった日又はその届出の効力の生じた日
上記1~3で贈与の日が明確でない場合は、所有権等の登記又は登録の目的となる財産は登記又は登録があった時になります。
 課税財産
Ⅰ. 本来の贈与財産
財産とは、金銭で見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいい、
  1. 土地、立木、現金の所有権などの物権
  2. 貸付金、売掛金などの債権
  3. 著作権、商標権などの無体財産権
  4. 信託受益権など法律の根拠を有する権利
  5. 営業権のような法律の根拠を有しないものであっても経済的価値の認められるもの
Ⅱ. みなし贈与財産
  1. 生命保険金等・・・保険料を負担していない人が、満期や解約又は被保険者の死亡により、生命保険金を受け取った場合
  2. 定期金に関する権利
  3. 財産の低額譲受による利益
  4. 債務免除等による利益
  5. 信託に関する権利
  6. 特別の法人(持分の定めのない法人)から受ける特別の利益
  7. その他の利益の享受・・・対価を支払わないで又は著しく低い価額の対価で利益を受ける場合には、その利益を受けた者が、その時に、その利益の価額に相当する金額を、その利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなされます。
    例、
    • 同族会社に対する財産の無償提供などにより株式や出資の価額が増加した場合
    • 同族会社の増資に際し、新株の変則的な割当てがあった場合
    • 無利子の金銭の貸与等があった場合
    • 婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお過当であると認 められる場合におけるその過当である部分や離婚を手段として贈与税若しくは相続税のほ脱を図ると認められる場合におけるその離婚により取得した財産
    • 共働き夫婦が住宅等を購入した場合に、夫と妻の収入に応じた負担額によらないで、夫(妻)だけの財産として登記した場合
 非課税財産
  1. 法人からの贈与(ただし、所得税(一時所得等)になります。)
  2. 扶養義務者間の通常必要とする生活費又は教育費(所得税も非課税)
    生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかります。 (平成25年12月にQ&Aが公表されています。
  3. 公益事業を行う者がその事業の用に供するため取得した財産
  4. 特定公益信託で財務大臣の指定するものから交付される特定の金品
  5. 地方公共団体の条例による心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
  6. 公職選挙法の適用を受ける公職の候補者が選挙運動に開し贈与を受けた金品で、同法の規定により報告がされたもの
  7. 特別障害者が特別障害者扶養信託契約に基づいて受ける信託受益権
  8. 相続又は遺贈により財産を取得した者が相続開始の年に取得した被相続人からの贈与財産(ただし、相続税の課税価格に算入する。)
  9. 直系尊属からの住宅取得等資金の贈与のうち一定の金額(下記参照)
  10. 社交上の香典や贈答品などで社会通念上相当と認められるもの
  11. 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの(下記参照
  12. 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税を課さない。( 下記参照
 財産の評価
 贈与のあった日の「時価」になります。
時価とは、「課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」とされています。よって、土地・家屋等は相続税の評価額をいうものではありませんが、相続税法の評価を提要してよい事になっています。
相続税法では、地上権及び永小作権、定期金に関する権利、及び立木の評価方法以外は評価方法を定めていませんので、 実務上は「財産評価基本通達」に基づいて評価することになります。
 申告が必要な場合
  • その年中に110万円を超える財産の贈与を受けた場合
  • 財産の贈与を受けた方で、相続時精算課税制度(特別控除額2,500万円)の適用を受ける場合
     相続時精算課税の適用を受けている方は、暦年課税の基礎控除額110万円の控除はありませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告が必要です。
  • 財産の贈与を受けた方で、住宅取得等資金の非課税制度(平成31年6月まで延長)を適用する場合
     東日本大震災により住宅用家屋が滅失等をした者(当該住宅用家屋が原発警戒区域内に所在する者を含みます)が非課税制度(平成31年6月まで延長)を適用する場合。
  • 財産の贈与を受けた方で、配偶者控除の特例(配偶者控除額2,000万円)の適用を受ける場合
  • 受贈者(30 歳未満の者に限る。)の教育資金に充てるためにその直系尊属(配偶者の直系尊属は除く)が金銭等を拠出し、金融機関(信託会社(信託銀行を含む。)、銀行等及び金 融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る。)をいう。)に信託 等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者 1人につき1,500万円(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成25年 4月1日から平成27年12月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととされました。
    この内容については、文部科学省のこちらのページに詳細が掲載されています。参考にしてください。
  • 個人(20歳以上50歳未満の者に限る。以下「受贈者」という。)の結婚・子育て資金の支払に充てるためにその直系尊属(以下「贈与者」という。)が金銭等を拠出し、金融機関(信託会社(信託銀行を含む。)、銀行等及び金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る。)をいう。)に信託等をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者1人につき1,000万円(結婚に際して支出する費用については300万円を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととする。
    ※ 受贈者は、本特例の適用を受けようとする旨等を記載した非課税申告書を、金融機関を経由し受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならないことになります。
〔参考〕
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