源泉所得税
堀内勤志税理士事務所
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掲載(更新)日:2015年12月1日
源泉所得税
法人(会社、学校、官公庁など)や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税を差し引くことになっています。これを源泉徴収といい、この所得税を納める義務がある法人や個人を源泉徴収義務者といいます。
しかし、個人のうち次のいずれかに該当する人は、源泉徴収する必要はありません。
  1. 常時二人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人(この方たちは確定申告が必要となります。)
  2. 給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人
法人は常に源泉徴収義務者ということになります。
給与、退職金以外に源泉徴収すべき報酬・料金等には次のものがあります(他に配当所得等がありますが省略します。)。
源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲は、その報酬・料金等の支払を受ける者が、個人であるか法人であるかによって異なっています(平成25年1月1日以後の役務の提供等で、同日以後支払う場合には復興特別所得税を併せて徴収することが必要です(適用税率は、徴収所得税率×102.1%になります))。
  1. 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
    1. 原稿料や講演料など
       ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
    2. 弁護士、公認会計士、税理士、司法書士など、特定の資格を持つ人に支払う報酬・料金
    3. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
    4. プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
    5. 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
    6. ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
    7. プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
    8. 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
  2. 報酬・料金等の支払を受ける者が法人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
    1. 馬主である法人に支払う競馬の賞金
納付期限
納期限は、給与などを実際に支払った月の翌月10日となります。
 また、給与の支給人員が常時9人以下の場合は、半年分をまとめて納付できる特例があります。この場合の納付期限は7月10日と1月20日になります。対象は、給与・退職所得の所得税と上記2.の税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬の所得税に限られます
 ただし、この特例を受けるためには、事前に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出しなければなりません。
 なお、これらの納付期限が日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たる場合には、その休日明けの日になります。
 国外居住親族に係る扶養控除等の適用(平成28年1月1日以後適用)
給与等又は公的年金等の源泉徴収及び給与等の年末調整において、非居住者である親族(「国外居住親族」)に係る扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除(以下「扶養控除等」という。)の適用を受ける居住者は、その国外居住親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」(これらの書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含みます。)を源泉徴収義務者に提出し、又は提示しなければならないことになりました(確定申告についても添付、又は提出のさい提示しなければなりません)。
 親族関係書類とは、次のa又はbのいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族で あることを証するものをいう。
  1. 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類(原本)及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し
  2. 外国政府又は外国の地方公共団体(以下「外国政府等」といいます。)が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)
 送金関係書類とは、次の書類で、居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいう。
  1. 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外 居住親族に支払をしたことを明らかにする書類
  2. いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類(写しでもOK)
 非居住者等に対する源泉徴収
個人の納税義務者を「居住者」と「非居住者」に、法人を「内国法人」と「外国法人」とに区分し、「非居住者又は外国法人(「非居住者等」)」に対する課税の範囲を 「国内源泉所得」に限定しています。
非居住者等が「国内に国内に恒久的施設」を有する場合には、申告納税方式を原則としますが、その他の場合には源泉徴収のみで完結することになります。
よって、国内において源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払をする場合は、所得税の源泉徴収義務が生じます。
また、非居住者等に対して国内源泉所得を国外で支払う場合であっても、支払者が国内に住所若しくは居所又は事務所等を有するときは、国内での支払とみなして、源泉徴収することになります。
源泉徴収の対象となる主な国内源泉所得と25年1月1日以後の税率は次の通りです。
  1. 土地等の譲渡対価・・・・・・10.21%
     (ただし、土地等の譲渡対価が1億円以下で、その土地等を自己又はその親族の居住の用に供するために譲り受けた個人から支払われるものについては、源泉徴収は不要です。)
  2. 人的役務の提供事業の対価・・・・・・20.42%
  3. 不動産の賃貸料等・・・・・・20.42%
     (ただし、自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けた個人から支払われるものについては、源泉徴収は不要です。)
  4. 利子等・・・・・・15.315%(地方税の5%は適用されません)
  5. 配当等
    1. 上場株式等(公募証券投資信託(公社債投資信託及び特定株式投資信託を除きます。)の受益権及び特定投資法人の投資口も含む)・・・・・・7.147%(地方税の3%は適用されません)
      • 発行済株式又は出資の総数又は総額の5%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する非居住者が支払を受ける上場株式等の配当等は除く。
    2. 私募公社債等運用投資信託等の収益の分配・・・・・・15.315%
    3. 上記a及びb以外の配当・・・・・・20.42%
  6. 貸付金の利子・・・・・・20.42%
  7. 使用料等・・・・・・20.42%
  8. 非居住者に支払われる給与等人的役務の報酬等・・・・・・20.42%
源泉徴収の時期
所得税の源泉徴収をする時期は、原則として現実に源泉徴収の対象となる所得を支払う時です。ただし、実際に支払がなくても支払があったとみなして源泉徴収する場合がありますが、省略します。
源泉徴収税額の納付
源泉徴収した所得税は、原則として徴収した日の属する月の翌月10日までに「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書(納付書)」(割引債の償還差益、特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等及び源泉徴収選択口座内配当等については、これらの所得についての所得税徴収高計算書(納付書))で納付することになります。
❐ 源泉徴収関係書類の保管・提出
給与所得者の源泉徴収簿の保存期間は7年間でしたが、給与所得者の扶養控除等申告書等(下記の書類)は取扱いで7年間の保存とされ、法による規定がありませんでしたが、給与所得者の扶養控除等申告書等の提出を受けた給与等の支払者等は、
1. 当該申告書等をその提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日、つまり1月11日から7年間保管すること
2. また、税務署長が当該申告書等の提出を求めたときは、当該給与等の支払者等は当該申告書等を税務署長に提出すること
と規定されました(適用は25年1月1日以後提出する書類より適用)。
  • 給与所得者の扶養控除等申告書(個人番号導入後は、厳重な管理が必要となります)
  • 従たる給与についての扶養控除等申告書(個人番号導入後は、厳重な管理が必要となります)
  • 給与所得者の配偶者特別控除申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 退職所得の受給に関する申告書(個人番号導入後は、厳重な管理が必要となります)
  • 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
  • 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
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