2018年

2017年後半から2018年の一年半、以前のようには読書をしない日々が続きました。
読むことで自分が疲れる気がして、そもそも本を手に取らなかったことが一番の理由。
加えて、評判がいいので読んでみようと思って購入したみた本も自分にはあわなくて、
数頁だけ読んで続けて読む気にならないで止める、これも何回か続きました。

それでも2冊ほど、物語にも入り込んで読み終えて、ここにも書いておこうと思ったことがありました。一冊は、物語の中の一つの言葉が何日も私にエコーのようにしばらく響きました。もう一冊は、家族に話して感動を共有するほど心が動いた短編でした。
でもこの2冊についてこのノートに書きそびれた今となっては、今さら読後感を書くのも、という気がして止めることにします。

 

久しぶりに記すのは、平成の終わり、あと2日になって読んだ本です。書評がよいので買ってみました。
平成30年12月30日
Eleanor Oliphant is Completely Fine (Gali Honeman)☀☀


30歳、独身、大学を卒業後、同じ会社の経理部で一度も欠勤することなく働いて9年、そんなエレノアの物語。恋人はおろか、友達もいなければ、同じ課の同僚達とも親しくはない、いわば親しい人間関係というものを持たない彼女は、毎日、毎週、判で押したような同じ日々を過ごしていく。たった一人の肉親である母親との週一回の電話での会話も心温まるものとは程遠い。エレノアはそうした自分の孤独な日々と希薄な人間関係をきちんと認識し分析できるほどに「賢い」女性でもある。物語は、単なる一人の付き合い下手の独身女性の日々を描くという範疇を超えており、エレノアの壮絶な過去がミステリー仕立てで読者に少しずつ知らされていく。でも、終わりを確かめたいと私に思わせたのは、そのミステリーの全貌を知りたいからではなく、自分自身にも完全には直視できずにある種のミステリーになっているといえる過去を持つ中、自分の人生をともかく生きていこうとしている、まさに「懸命で賢明な」、両方をもったエレノアに自然に感情移入をしたから。過去の出来事からくるトラウマと今も続く恐怖、そのために引き起こされている現在の孤独な日々と葛藤、それでも何がしか期待をして起こしてしまう行為。それを全て含めて、エレノアという女性の、今に、将来に、希望を見たくて、最後まで一気に読んだ。読み終えて、本のタイトルが納得。“People don’t like these facts, but I can’t help that. If someone asks you how you are, you are meant to say FINE. You are not meant to say that you cried yourself to sleep last night because you hadn’t spoken to another person for two consecutive days. FINE is what you say.” (p.270) 
Eleanor Oliphant is COMPLETELY FINE!!!! そう信じて本を置きました。

“Hugely original, a funny and sad tale of a survivor who tackles the challenges of emotional reconnection with grave courage. Unmissable’ (Sunday Express)