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平成25年1月24日

議会報告

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下水道が議会のチェック不能に

相模原市議会議員 小 林 正 明


 昨年の12月議会で、「相模原市下水道事業の設置等に関する条例」の制定が提案され、私はこれに反対する立場から討論を行いました。この条例は下水道事業の会計方式を、現在の地方財政法に基づく「公営企業」から、地方公営企業法を適用して、民間企業のような「企業会計方式」を導入しようとするものです。ここで重要なことは、企業会計方式になると法律の定めにより市議会の議決権行使ができなくなり、議会の議決を経なくても請負契約が可能になる、つまり民意が届かなくなる!≠ニ私は思ったのです。そこで私が主張したのは、「企業会計システムの活用と議会の議決権行使の両立」でした。


市の考え方

 市は制度変更の理由として、@「独立採算の原則」及び「雨水公費・汚水私費の原則」を明確化すること、A現行は「必要に応じて必要な額」を一般会計から繰入していたものを、今後は国(総務省)の繰出基準を基本に公費・私費の区分の明確化を図るとしています。

 難しい表現なので、少し噛み砕いて言うと次のように要約できます。

 @の前段は、下水道事業は地方財政法上の「公営企業」と位置づけられているので、「その事業の収入で、その事業の支出を賄う」という独立採算が義務づけられている。後段は、「自然現象で生ずる雨水の排水は市税で負担するが、生活排水等の汚れた水を処理する費用は、利用者が負担する下水道使用料でまかなう」ことを原則とする、というものです。

 Aは、従来は下水道事業で不足額が発生したら、それを一般会計から繰り入れていたが、今後は総務省が定める基準で処理する、というものです。


条例の問題点

 この条例案で私が懸念したことを幾つか挙げてみます。

 @「独立採算の原則」が本当に正しいのか?

 最近話題になった「電気料金値上げ」を例に考えてみましょう。いま多くの方が電気料金の値上げに疑問を持っておられます。電力会社は本当に経営努力をしたのか?

 原価計算がおかしくないのか?ムダはないのか?これから先も値上げが…等々の疑問です。

 値上げ反対運動に参加されている方もいますが、多くの方々は納得できないままの泣き寝入り≠セと思います。市の下水道料金でも、こんなことが起きないのでしょうか?私は「独立採算制」を否定するのではありません。公営≠ナあっても、採算性を考慮する経営は重要です。

 しかし公営≠フ場合、多くは競争企業が存在しないのです。現に市の下水道事業も電気事業と同じようにライバル企業がありません。これでは、真の企業努力が図られたのかどうかは分かりません。だから「市議会のチェックが必要だ」と言っているのです。だから市議会の議決参加の権利を奪うやり方に反対しているのです。

 今までなら市議会で疑問を解き、ダメなら契約を否決することもできました。でも、これからはできなくなります。

 A下水処理には公共的視点が必要

 汚水処理費用を利用者が負担することには、原則として異論はありません。しかし公共用水域の水質保全は、公益的な側面も無視できないはずです。水源地を選挙区とする議員としては極めて重要なことで、すべてを私費≠フみで片付けることには議論の余地が残ります。こうしたことを考えると、市議会で十分な議論の上「政策的判断」を下す必要があると思うのです。


私の主張

 @独立採算制を導入し、議会でチェックする

 市の提案である独立採算制を導入しつつ一方で、議会で議論して議決する方式を残すべきだと考えます。

 今後、市長が契約内容を議会に報告する条例が必要です。

 A1億円を投じたシステムは活用する

 市は、平成22年から3年間で1億円を投じ、企業会計導入のための調査やシステム開発を行い、新システムは既に稼働しています。

 この企業会計システムは大いに活用すればいいと思います。言わばみなし企業会計≠実施し、他方では地方財政法上の「公営企業」として、議会のチェック機会を残す、という発想です。

 要は、硬直的でなく柔軟性をもって対応することが、市民にとってのメリットにつながると確信しています。



「原宿グラウンド」の使用継続に危機!

 私は旧城山町時代から借りて使用している「原宿グラウンド」は、原宿公園と一体利用することが重要で、地主の言い値の倍額を支払ってでも購入すべき隣地と考えていました。もみじ祭りや各種行事に不可欠な場所であることから、粘り強く交渉すべきであると市議会で主張しましたがどうやら他に売られるようで、使用継続は厳しい情勢です。「原宿グラウンド」を愛用されていたスポーツ愛好団体の方には申し訳なく、お詫びしなければなりません。合併前には小さな町の大きな問題≠ナあったテーマが、合併後には大きい市の小さな問題≠ノなってしまったようです。ここにも「合併の弊害」が現れていると思うと、非常に残念です。



 私は、城山町議初挑戦から、「台所のつぶやきを議会に届ける」ことをモットーとしてきました。今回の条例が「契約議決の排除」に直結するものだったので、私は反対を貫きました。皆さんのご意見をお聞かせください。

相模原市議会議員 小林正明 Mail:masaaki@kuh.biglobe.ne.jp 相模原市緑区町屋4-16-9 TEL:042-782-5969