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平成24年7月12日

議会報告

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政令市で市民負担増! 市長答弁を検証

相模原市議会議員 小 林 正 明


 この程、全国19の政令指定都市(以下政令市)で作る市長会・議長会がまとめた「大都市財政の実態に即応する財源の拡充についての要望」という文書が発行されました。この要望書は、24年度版として政府に対し提出したもので、相模原市長も署名しています。しかし、ここに記載されていることと、市長の説明は『真逆』なのです。これでは「市長は二枚舌」と言われても仕方がないと思います。市長は相模原市の政令市移行に際し、どのように説明してきたのでしょう?市長自身、1回目の市長選挙用マニフェストは「政令市になると財源が確保される」という論調で貫かれています。有権者は、これを判断材料にして市長の座を与えたのだと思います。さらに市長は、市議会や市民説明会では「移行しても市民負担は増えない」、「移行しても市民サービスの低下はない」と明言してきました。ここで私が3・6月議会で追及した点も含め、具体的に事実関係を検証してみましょう。


受益と負担のねじれ

 前述の要望書には「政令市の市民は、『行政サービスを政令市から受けるのに、県民税は今まで通り県に納付している』ので受益と負担のねじれがある」と書かれています。つまり、政令市移行に際し神奈川県から相模原市に、1114項目もの仕事が移管されたのに、相模原市民の納める県民税は今までと変わらないのです。「入が県」で「出が市」では勘定が合いません。

 私もまた政令市への拙速移行に疑問を持つ市民も、このねじれの為に市の財政が逼迫することを再三にわたり指摘。しかし市長は「移行しても市民負担は増えない」、「移行しても市民サービスの低下はない」と言い張ってきたのです。


厳しい政令市の財政事情

 要望書では@政令市の特例事務に係る税制上の措置不足、A多額の起債が必要、B税の配分の問題等、税財政制度が確立していないから政令市に合った税財政制度の構築が必要、と指摘。

 さらに@スケールメリットを上回る財政需要がある、A税収の割合が低く、多額の起債が必要になる、B税制上の措置不足から、一般財源からの持ち出しとなっている、C50万以上の政令市以外の市に比べて、政令市では財政状況が悪化している実態を、経常収支比率、実質公債費比率、人口一人当たり地方債現在高について明瞭に説明しています。

 少し難しいので、優しく言えば「財政面に関して言えば、政令市にはメリットはなく、デメリットが多い」と市長自身が言っていることになるのです。なのに、なぜ市長はこの明瞭な事実を市民に隠し通し「政令市になると良いことばかり」と言わんばかりの説明をしてきたのでしょう。最近の流行り言葉で言えば『真逆』の説明をしてきたのです。


県債償還金負担の議決

 次に要望書とは別の件を見てみます。

 平成20 年11月18日に神奈川県との間で「相模原市の政令市移行に係る事務移譲等に関する基本協定書」が交わされました。いわゆる「県市協定」です。この中で、平成15年分から7年間分の国県道に係る県債償還金を市が負担することを決め、この度その額が199億円と確定しました。

 市長は議会に対し、この債務負担行為を議決してほしいと提案。つまり議会に「連帯保証人になって欲しい」と言っているようなものです。 私は、この協定は県知事と市長の判断に基づくものであり、協定締結の当事者である市長のみを拘束するものと思っています。

 確かに、平成20年12月の暁の市議会では「政令市実現に関する意見書」が採択されました。しかし、その内容は、首都圏南西部の広域交流拠点都市として更なる発展が期待され、自律的先進的な都市の総合力を高め、一層の発展を目指す為に政令市になることが市民の強い願いであり、国及び県に対して政令市の指定を強く要望することを決議したものです。


債務負担行為に反対

 ですから意見書自体は、県債償還金の負担を容認する議決ではありませんでした。県債償還金の負担は合併特例政令市に特有の法的根拠のない負担であり、その負担の方法や範囲等、定められたルールなき負担・市民負担です。

 しかも、法的根拠がないだけではなく、地方財政法の負担転嫁の禁止に違反しています。私は、負担の法的根拠がなく、地方財政法に違反する県債償還金に関する債務負担行為の設定に反対しました。

 ここに掲げたのは問題点の一部ですが、これほど政令市移行には問題点が多かったのです。だから、私たちは、政令市移行は慎重に検討しようと言ったのです。そして「住民投票条例を制定して、民意を聞こう」と主張したのです。

 今となっては繰り言に聞こえますが、市と市民が信頼感を持ち合わさなければ、良いまちづくりは出来ないと信じて、これからも「市民の五感」で真相解明と主張をし続けます。


市長の答弁

 私の一般質問に対して市長は「収支が均衡しているから市民負担はない。年29億円は、中核市関係の財源不足であり、政令市関係の不足額はない」と答弁しました。まるで前述の国に提出された要望書の指摘事項は、相模原市に無関係と言わんばかりですが、これらは政令市に関する要望書であり、中核市に関する要望書でないことは明らかです。

相模原市議会議員 小林正明 Mail:masaaki@kuh.biglobe.ne.jp 相模原市緑区町屋4-16-9 TEL:042-782-5969