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平成24年3月8日

議会報告

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5億円 公金のムダ使い!

相模原市議会議員 小 林 正 明


 昨年12月、相模原市議会で「企業誘致に絡む公金不当支出疑惑」を追及しました。条例に従えば、市が誘致企業に支給できる奨励金は約2千万円なのに、25倍の約5億2千万円支給するという巨額の公金ムダ使いが行われようとしていたからです。しかも市は奨励金の認定審査会で新・旧条例の運用を巧妙に取りつくろい、市民の目をごまかそうとしていたのです。税金のムダ使いが問題視される昨今、市民の皆様に「腐敗一掃の為の監視」を一層強めて頂く為に、その概略を報告します。

何の奨励金? 

相模原市には、工場や研究所を誘致する為、一定の条件を満たした新設企業に奨励金を支給する「産業集積促進条例」があります。

 この条例は、平成22年3月末を期限とする時限立法でした。そこで同3月議会で内容を一部改正し新しい条例を制定。ここに、疑惑のタネが仕込まれたのです。


巨額の公金不当支出

 某・外資系会社は、奨励金「5億2千万円」の認定を受ける為の申請書を、平成22年3月10日、市に提出しました。結果は外資系会社が受ける奨励金は約2千万円のはずが、なんと約5億2千万円も支給されることになったのです。

 これは、改正前の旧条例なら約5億2千万円、改正後の新条例では約2千万円という制度の違いがあったからです。申請した外資系会社に悪意はなくとも、条例を正しく適用しない、市による「公金の不当支出」であることは明らかです。


資格がない理由

 もし外資系会社が「旧条例の条件」を満たしていれば、約5億2千万円の奨励金を受給する資格がありました。しかし工場を建設しようとした当麻地区は調整区域で、その上特別な指定がある土地の為、申請当時も現在も、そのままでは工場建設が不可能だったのです。工場建設を可能とする為には、都市計画決定・区画整理事業の手続きが必要でしたが、区画整理組合はもちろんその設立準備会さえありませんでした。申請受付を拒否すべきだった

 市は平成21年12月8日までは、この会社に対し「@法的に工場建設が可能なこと、A適法に開発許可が得られること」が申請受付の条件と説明をしてきました。にもかかわらず3ヶ月後には条件の整っていない申請を受け付けたのです。この間何があったのでしょう?


ウソの上塗り!

 平成22年6月15日、外資系会社の申請を審査する市の認定審査会が開催。ここで上映されたスライドでは、平成21年度の区画整理の欄に「組合設立準備委員会設立」の文字がありました。影も形もないはずの準備会が前年度に「設立された?」ことになっていたのです。私が調べた処、この年度に設立されていた「組合設立準備委員会」は、区画整理組合ではなく「まちづくり事業」だったのです。全くの同名の組織名を借用したとは驚きです。


改正後の新条例だけでは

 私は合併後に市議会議員になったので、平成17年に制定された旧条例のことはあまり知りませんでした。今回の事案の究明の為、新旧条例の比較をして初めて問題点が浮き彫りになったのです。改正後の新条例だけを見ていたら、この問題を見失うところでした。


条例違反を強行

 別表を見て下さい。

 旧条例では奨励金は5億2000万円、しかし認定に条件を付けることはできません。しかも、工場建設もできない調整地域です。

 そこで市長は、奨励金5億2000万円の支出をする為に、敢えて条例に違反して、条件付認定を強行しました。


市は条例を守れ!

 この件に対し市長は、「附款(ふかん)」という行政の裁量権を持ち出し、支給額を正当化しようとしました。 市の条例は国に置き換えれば法律です。法を行政官が勝手に歪めて良いはずがありません。市長も市職員も、法治国家としての原理原則を守るべきです。議会が定めた条例を侵すのは市議会に対する侮辱であり、市民に対する裏切りです。

 そして何よりも、市民の血税をムダ使いする行為は許せません。市長は、公金の不当支出が、住民監査請求・住民訴訟の対象であることを覚悟すべきです。


県と異なる対応?

 神奈川県にも「インベスト神奈川」という企業誘致の制度がありますが、この外資系会社には適用されませんでした。条件が満たされていないのですから当然です。ここからも、相模原市の対応が、異常であることが読み取れます。


相模原市議会議員 小林正明 Mail:masaaki@kuh.biglobe.ne.jp 相模原市緑区町屋4-16-9 TEL:042-782-5969