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小林正明相模原市議会議員 トップ >> 平成21年9月30日 平成20年度一般会計決算反対討論


平成20年度一般会計決算反対討論


相模原市議会議員 小 林 正 明


1番小林であります。


私は、平成20年度相模原市一般会計歳入歳出決算の認定に反対の立場から、討論を行いますので暫くのご清聴を宜しくお願い致します。


本決算書及び付属書類によれば、平成20年度は、政令市関連では、政令市移行準備経費として、庁舎等整備費・情報システム経費の約1億200万円、政令市推進費として、約2900万円、線引関連では、区域区分等設定関連事業として、約4800万円の予算が執行されております。


勿論、議会の議決を経て合法的に予算執行されていることは承知の上で、しかし、その予算執行の結果としての行政効果に対する評価の視点から、疑義や問題提起を含む討論を行うものであります。


ここで、平成20年度を若干振りかえりみれば、富士のすそ野にぞではありませんが、政令市と線引の2つの議論に尽きると言っても過言ではないと思います。


政令市関連では、政令市移行意見書・住民投票条例をめぐり、議員同士の白熱した議論による午前議会・深夜議会の出現、市民からも報道機関からも注目される事態となったことは、今や昔とは言えない今も新鮮な記憶であります。


討論をしながら今でも若い、若くありたいと思っておりますが、若かりし頃の学生時代に読んだ石川啄木の詩を思い出していました。


確か、「はてしなき議論の後」という題と記憶していますが、「ロウソクの灯は三度も取りかえられ、飲み物の茶碗には虫の死骸が浮かんでいる、されど、誰一人拳でテーブルをたたいて、フ・ナロード(人民の中へ)と叫びいずるものなし」という詩が浮かんできていました。


余談はさておき、議論を進めますが、平成20年度は、政令市移行に関する市民説明会が開催され「職員体制・施設関係の準備状況」の中で、県からの移譲事務に従事する政令市移行の職員増を150人と認めつつも、全体的な職員削減で対応するから、結果的に人件費増は生じないから財政収支見通しの歳出に人件費の支出増を計上しない、よって、「全体を通じての財政見通しの中では、政令市移行20年間の財政収支は歳入と歳出の均衡を保つ中で、諸事業を行うことが出来、新たな市民負担は生じることが無く、今後、市が総合計画の中で定め実施していく事業縮小や市民サービスの低下を招くこともありません」と市当局は市民や議会に説明しておりました。

政令市移行によるミス相模原・ミスの多発


しかし、現実は如何なる小説よりも奇であります。


4月以降の積算ミスが15件、選管ミスは、誤誘導・誤配布・投票用紙紛失、公表されていないものでは津久井の第3開票所での比例区と小選挙区の開票立会人の誤誘導、先日の議案の保育園面積の誤記等が続出している状況であります。


勿論、人は誰でもミスをしますし、全くミスをしない完全無欠の人はあり得ないものです。


しかし、ミスも重なればマスコミの餌食となるのは必定で、事実、9月13日の神奈川新聞で報道され、更に、24日には社説にも掲載され、これでは、広域交流拠点都市・政令市相模原の発信どころではなく、ミス相模原の発信が先行してミス多発政令市の出現となることが、現実味を帯びて危惧されるのであります。


神奈川新聞の社説では、政令市そのものに対する批判ではありませんが、政令市移行の機構改革である職員定数削減が通常業務に支障をきたしているのではないかとの視点から、本市に政令市移行の体制の検証を求めています。


議員諸兄ご存じのとおり、本市ではメンタル疾患を抱えている職員の増加が顕著になり、議会でも議論されるような実態がある中で、政令市移行の職員増・人件費増を全体的な職員削減で対応する方針の下、今年の4月から75人の職員定数削減を断行し、市の方針では更に今後も、75人の削減が予定されています。


市は、市民説明会で政令市移行の職員増・人件費増は通常の職員削減で対応可能であるから財政的負担はなく市民負担は生じないと説明した本市の論理の帰結は、ミスの出現により現実的には無理な論理、仮に市の方針を貫徹すれば、職員にシワ寄せが生じ、受注者である業者の円滑な入札に悪影響となることが、現実のものになっています。

行政不信を招いた区域区分

区域区分関連では、都市計画法上、あり得ないものを恰もあり得るかのような「1市2制度論」の間違った合併協議時の虚偽の説明による議会・住民懐柔策問題点が建設委員会で判明しました。


旧津久井3町の対象地区の市民からの区域区分(線引)凍結・留保・反対陳情は、全く正論で合理的なものであり、旧3町の市民の行政不信のマグマは噴出寸前・極限に達している状況であります。


市当局は、旧3町の市民の反発を恐れて今回の線引の必要性を「合併後の一体的な町づくり」と称して、都市計画法上の要請である「政令市移行の為の線引」とは決していわずに、旧3町市民の線引という犠牲を伴ってしか政令市が実現できないという本質論を回避するのに躍起となっています。

国直轄事業負担金の回避を

私はこの場で民主党の宣伝をするのではありませんが、政権交代を果たした民主党のマニフェスト・政策各論(P19)には、地域主権の具体策で「道路・河川・ダム等の全ての国直轄事業における負担金制度をなくす。」とあります。


選挙前なら格別、政権交代が実現した今、負担金制度の廃止の時期を見据えて、本市が目指している平成21年4月の移行時期について抜本的に検討する必要があるのではないでしょうか。


総合計画との整合性・同時スタート等の課題よりも、国直轄負担金の廃止時期の推移に焦点を当て、知恵を絞って対応することこそが賢明であり、既定方針に拘ることなく、柔軟かつ合理的な判断が求められています。


この視点は、昨年12月の議員提案「政令市移行に関する意見書に関する議論の中でも指摘された、平成22年4月の移行に拘らなければ、回避できるはずの圏央道に関する国直轄負担金74億円(平成22年から24年まで)の論点であります。


既定方針を市自ら変更することは、自己否定になりますから行政的には県や国との関係で困難を伴うでしょう。


しかし、議会の主体的な判断が背景にあれば、困難は克服できないことはないと思います。


私は、今からでも遅くはないと思いますし、拙速移行であえて火中の栗「理不尽な負担金」を拾う必要はなく、寧ろ回避することこそが必要であり、賢明な選択しであります。


国直轄負担金が廃止された後世の市民から、2回に亘る理不尽な負担金回避のチャンスに敢えて背を向けた議会の姿勢が問われることを強く危惧するものであります。


まとめ

まとめに入ります。


私は、拙速な政令市移行が決して市民の「幸せ」ではなく、市民に政令市の「しわ寄せ」を招くことの行政効果しかなく、現に人件費の極度の削減がミスの多発という現実を招き、旧3町市民を愚弄する行政対応により線引が強行されようとしていることの危惧がある以上、この政令市と区域区分関連の予算執行による行政効果を否定する立場から、平成20年度一般会計決算の認定に反対することを表明して、私の反対討論と致します。ご清聴有難うございました。

相模原市議会議員 小林正明 Mail:masaaki@kuh.biglobe.ne.jp 相模原市緑区町屋4-16-9 TEL:042-782-5969