本土最東端に位置する街、根室。細長く突き出た半島が太平洋とオホーツク海を分けている。その最東端に当たるのが納沙布岬。ここから北方領土・歯舞諸島の貝殻島までは、わずか3,7km、晴れていれば肉眼でも見ることができる。発哺領土返還は、昭和20年12月に連合国軍総司令官・マッカーサー元帥あてに陳情書を提出したのがはじまりとされている。北方領土返還運動原点の地根室では、発哺領土返還復帰実現に向けて取り組みが続いている。
北方領土とは、歯舞諸島、(はぼまいしょとう)、色丹島(しこたんとう)、国後島(くなしりとう)、択捉島(えとろふとう)の四島のこと。2月7日を「北方領土の日」と定め、全国で毎年「北方領土の日」関連の記念行事が行われている。
わが国有数の水産基地。北方領土問題では、「返せ!北方領土」キャンペーンを展開し、日本一早い日の出の見える納沙布岬に、返還祈念シンボル像《四島のかけ橋》がある。風蓮湖と根室湾を区切るように伸びる、海に浮かぶ森のような春国岱の中に入ると、国内最大級のハマナスの大群落、原生花園、原生林など貴重な自然が広がり、数多くの野鳥の楽園地。残された自然や多くの景勝地が人々の感動を呼んでいる。
根室市観光協会 。
◆根室駅
開業日は、1921(大正10)年8 月5 日。有人駅舎としては日本最東端の駅。ホーム内に「日本最東端有人の駅」、「根室本線終点」の看板がある。1965 年9 月までは根室港への貨物支線があったほか、1959 年9 月まで根室拓殖鉄道が歯舞駅まで線路を延ばしていた。2018年(平成30年)6月1日から、花咲線区間での「ご当地弁当」を楽しむ取り組みとして、根室駅を発着する一部列車で、ホームまでさんまそば、さんま丼などの駅弁を届けて販売するサービスを実施している。
◇住所:根室市光和町2。
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根室駅(2023年9月撮影)
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◆車石
ここが海底だったことを物語る枕状溶岩の塊。「車輪」を思わせるような玄武岩の放射状節理で、直径は6m。海底火山が噴火すると、その熱いドロドロの溶岩が海水で冷やされる。この溶岩は今から約6000万年前に冷えて固まったと推定され、国の天然記念物に指定されている。
根室車石は、放射状節理の構造をしたアルカリ粗粒玄武岩で、球状の岩体をしており、その奇観と大きさは世界でも類を見ないことから、国の天然記念物に指定られている。砂岩および頁岩(けつがん)を主とする海成白亜紀層の沈積中、あるいはその直後に、地層間に整合的に岩床として迸入(へいにゅう)し、あるいは海底に溶岩流として噴出したものである。
今から約6500万年程前に海底の割れ目から流れ出た溶岩は海底に厚く積もった泥や細かい砂の中に押し入り、または溶岩流として海底に流れ出て、急激に冷やされて、ちぎれ押し合い、枕状、俵状、楕円体状または円柱状となって固結し、枕状溶岩(Pillow Lava)となり、その枕状体の周辺からさらに冷やされたため、中心に向かう放射状の柱状節理ができたと考えられている。
この背面では直径7.5mにも及ぶ車石がみられ、また足もと付近には直径1〜3mの車石が多く見受けられ、個々の枕状体の形成に働いた力が独特の表面構造を作っているのが観察できる。これら車石がつくり上げた独特の奇観は私達が暮らす地球の生い立ちを身近に感じさせてくれる。(現地の立て看板から)
◇住所:根室市花咲(はなさき)港。
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車石(2022年4月撮影)
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◆花咲灯台(花咲岬)
花咲岬の先端に花咲灯台があり、車石と呼ばれる奇岩は、花咲灯台下の断崖付近にある。国の天然記念物で、「日本の灯台50選」である。
◇住所:根室市花咲港。
◇電話:0153-24-3104。
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花咲灯台(2022年4月撮影)
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◆風蓮湖・春国岱(しゅんくにたい)
オオハクチョウが飛来する風蓮湖。湖水面積57.5平方km、周囲96km、根室市と別海町をまたぐ気水湖(淡水と海水が混ざった塩分の低い水をたたえる湖で、砂州によって海と隔てられた潟であることが多い)である。周囲には広大な湿原、森林、砂丘など変化に富んだ自然が広がり、日本で見ることのできる野鳥の半数以上約330種が観察できる。
春国岱は、第一砂丘、第二砂丘、第三砂丘の3つの砂州からなり、長さ約8km、最大幅1.3km、面積約6,000haもある。第一砂丘は、1,000〜1,500年前、第三砂丘の列は3,000年前にできたとされている。第一砂丘には国内最大級のハマナスの大群落があり、第二砂丘には砂丘上に生まれた珍しいアカエゾマツの純林、第三砂丘には巨木が生い茂り、原生の森を思わせる。
◇住所:根室市酪陽1。
◇電話:0153-24-3104。
◆風蓮湖
別海町と根室市にまたがる湖で周囲約65km、面積約56k?u、汽水湖としては日本で5番目に大きな湖。広大なエリア一帯は、質の高い湿原と森林を持ち、手付かずの自然が残っている。このため、数多くの野生動物や植物が生息し、ラムサール条約登録湿地に登録されている。風蓮湖の由来は、アイヌ語の「フーレ・ペッ」-「赤い・川」からきている。川筋には”やち”が多く、赤いやち水が流れているという意味で、湖名もその名を付けて風蓮湖と呼んだそうである。
◇住所:根室市酪陽1。
◇電話:0153-24-3104。
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根室市と別海町にまたがる風蓮湖(2022年4月撮影)
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◆温根沼(おんねとう)
風蓮湖と並んで、根室を代表する湖沼が温根沼。 温根沼は、うっそうと茂るエゾマツの森に囲まれた周囲15kmの汽水湖で、根室湾につながっている。 干潮時には沖合いまで砂州となり、アサリやホッキ貝などの潮干狩りで賑わう。
◇住所:〒087-0035 根室市温根沼。
◇電話:0153-24-3104。
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温根沼にかかる国道44号の温根沼大橋(2023年9月撮影)
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◆明治公園
納沙布岬の基点にあるのが明治公園。北海道で2番目に古い、1875年(明治8年)に国が創設した牧場の跡地を利用した公園で、1932年(昭和7年)と11年に建てられた、3基のレンガ造りのサイロがシンボル。2006年(平成18年)10月、「根室十景の明治公園」は、地域に個性や魅力をもたらす優れた公園として、都市公園法施行50周年記念事業実行委員会が実施した「日本の歴史公園百選」に選ばれた。
◇住所:根室市牧の内。
◇電話:0153-24-3104。
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明治公園(2023年9月撮影)
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道の駅・スワン44ねむろ
街の玄関口となる国道44号沿い。施設に入ると全面ガラス張りになっており、日本有数の野鳥の宝庫・風蓮湖や春国岱が一望でき、タンチョウ、オオハクチョウなどの鳥たちとの出会いの場である。
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道の駅・スワン44ねむろから望む風連湖(2023年9月撮影)
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◆風蓮湖
別海町と根室市にまたがる湖で周囲約65km、面積約56k?u、汽水湖としては日本で5番目に大きな湖。広大なエリア一帯は、質の高い湿原と森林を持ち、手付かずの自然が残っている。このため、数多くの野生動物や植物が生息し、ラムサール条約登録湿地に登録されている。風蓮湖の由来は、アイヌ語の「フーレ・ペッ」-「赤い・川」からきている。川筋には”やち”が多く、赤いやち水が流れているという意味で、湖名もその名を付けて風蓮湖と呼んだそうである。
◇住所:根室市酪陽1。
◇電話:0153-74-9254。
◆春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター
オホーツク海と風蓮湖との間にある東西方向に長細い砂洲である春国岱のほど近くに設けられた自然学習施設。 春国岱は、ラムサール条約にも登録された世界的にも重要な湿地の一つで、これまでに300種類以上もの野鳥の生息が確認されていることから、その保全と活用のために1995年(平成7年)にネイチャーセンターが設けられた。
◇住所:〒086-0074 根室市東梅103。
◇電話:0153-25-3047。
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春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター(2009年5月撮影)
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◆望郷の岬公園(四島のかけ橋)
納沙布岬を訪れると所々に北方領土関連の建物が目に付く。その中に北方領土返還記念シンボル像の「四島のかけ橋」がある。北方領土の返還を実現することは日本国民の心からの願いであるので、返還実現への固い決意を象徴するために建立されたのがこのモニュメント。像の下には「祈りの火」があり、この公園の北方館の開館時間に合わせて燃え続けている。
◇住所:根室市納沙布。
◇電話:0153-24-3104。
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北方領土返還祈念シンボル像「四島のかけ橋」・「祈りの火」(2009年4月撮影)
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北方領土返還祈念シンボル像「四島のかけ橋」・「祈りの火」(2023年9月撮影)
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◆納沙布岬(のさっぷみさき)
納沙布岬は、北海道根室市にある岬である。離島を除けば日本の本土最東端にあたる。根室半島の先端(東経145°49′、北緯43°22′)に位置する。読み方が似ているが、野寒布岬(のしゃっぷみさき)は、稚内市にある岬であり、納沙布岬とは違う。
◇住所:〒087-0165 根室市納沙布。
◇電話:0153-24-3104。
◆納沙布岬灯台
納沙布岬に建つ灯台。北海道で最古の灯台。日本最東端の灯台(北方領土を除く)。現在の灯台は、昭和5年に建てられた。「日本の灯台50選」にも選定。明治7年に《灯台の父》といわれるR.H.ブラントンが建てた八角形の木造洋式灯台がルーツ。
◇住所:〒087-0165 根室市納沙布。
◇電話:0153-24-3104。
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納沙布岬と納沙布岬灯台(2023年9月撮影)
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国内では唯一、ここ根室だけで水揚げされる花咲ガニ。
漁の期間は夏から9月ころと規制されており、漁獲量は大変少なく貴重な海の幸といえる。花咲ガニならではの身のやわらかさ、独特の甘みとコクをぜひ味わってほしい。花咲ガニの脚をぶつ切りにして、みそ汁仕立てにした名物・てっぽう汁は天下一品。そのほか昆布、ホタテ貝、アサリ、ホッキ貝などおいしい海産物が豊富。(Nの風から)
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花咲ガニ(2023年9月撮影)
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◆AB-MOBIT(エービーモビット)とフットパス
AB-MOBITとは、厚床から別当賀の地域に点在する5人の酪農家グループの名称。牧草自給率100%の根室が誇る酪農地帯の景観や癒しの空間を皆で共有し、農業を身近に感じてほしいと活動している。2001年から取り組んできたフットパスの整備も進み、今はそれをどう生かすか模索している。ここ数年では、地元住民の夢を実現する場として、フットパスのルート上にある自然の恵みを活用した木工ワークショップやフラワーアレンジメント教室が展開されている。
◇電話:0153-26-2181(明郷伊藤牧場)
◇住所:根室市明郷101番地。
◆厚床(あつとこ)パス 10.5km。徒歩約4時間。かつて牛乳を入れた輸送缶を運んだ植民軌道跡や、JR標津線跡を歩けば、大正・昭和の厚床ヘタイムスリップ。晴れた日は家族や友だちと“もの思いにふける丘”ヘピクニツクに行こう。晴れていれば知床連山や国後島が一望できる。 牧草の中で寝転んで過ごすのもおすすめ。
◇電話:0153-26-2181。
◆初田牛(はったうし)パス 13.5km。徒歩約4時間。トラクターが行き交う舗装農道はサイクリングにも最適。 美しく蛇行する別当賀川のせせらぎを楽しみながら、大正時代の現役鉄道橋や秘境駅として人気の初田牛駅を回り、アップダウンを滑走しよう。体験を予約して食多楽でランチにするのもオススメ!
◇電話:0153-24-3180。
◆別当賀(べっとが)パス 18.5km。徒歩約4時間。手つかずの森を抜け、平地で咲き誇る高山植物の花々を楽しみながら歩こう。波の音を聞きながら高台に上がれば、太平洋と海岸線が延々と続く絶景が待っている。放牧馬のいる風景もここならではの魅力。
◇住所: 0153-26-2181。
◆落石(おちいし)岬(落石岬灯台)
根室半島の付根で太平洋に突き出す落石岬。海岸線は断崖ですが海岸段丘の上は台地となっていて落石湿原や草原、低い灌木が広がり散策、自然観察にも絶好。駐車場に車を入れ落石岬湿原に設けられた615mの木道を歩くと「日本の灯台50選」選定の落石岬灯台にたどり着く。
◇住所:根室市落石西。
◆落石シーサイドウェイ・落石岬パス
歴史に名を残す旧落石無線電信局と北米航路の指針を照らす落石岬灯台。海霧に包まれ、密やかに育まれた独特の自然は、アカエゾマツの神秘的な森と、日本ではここだけに咲くサカイツツジの花の在りか。知らなければただの荒涼とした不毛の地だが、この岬の歴史と自然の良さは、歩いた人だけにわかる特別なもの。
◇住所:〒088-1781 根室市395-2。
◆落石シーサイドウェイ・浜松パス
イギリスが発祥の歩行者専用の道・フットパスは、それぞれが自分の考え・思い・楽しみを持って歩くことができる場所で、その歴史や自然、生活・風土にも触れることができるもの。この海に迫る新たな道も、飾らない自然とその海に暮らす人たちの、豊かで興味深いつながりを語るであろう。歩くことで感じる、それが落石シーサイドウェイ・浜松パスである。岬ルート約5km、集落ルート役3km。
◇住所:〒088-1782 根室市落石東。
◇電話:0153-27-2121。
1.名称は「根室さんまロール寿司」とする
棹前昆布は、1年のうち、わずか40日ほどしか採取できない貴重なもので、まさしく「幻の昆布」。現代人に不足しがちなミネラルが豊富で、海の栄養がギュッと詰まっている。
根室は、さんまの水揚げが日本一の町として今や、全国にその名を知られている。さらにそのおいしさも、脂ののり具合から「トロサンマ」と呼ばれるほどの人気。
<誠鮨(まことずし)>
2.根室産の棹前昆布で巻く昆布ロール寿司である
3.昆布は、甘酢(酢1、水1、砂糖1の割合)で味付けする
4.シャリは北海道産「ななつぼし」を使う
5.具材は、根室産のさんま、北海道産の大葉とねぎ、白ごまを使用する
6.大きさは、縦3cm×横4cm×長さ18〜20cmを目安とする
7.シャリの量は、100g程度とし、シャリと具材のバランスは1対1とする
8.醤油は、「はぼまい昆布しょうゆ」を使用する
9.価格は、1本840円(税込)、1カン105円(税込)とする
10.定食やランチなどで提供する場合、内容や料金は自由とする。
この二つが合体してできたのが「根室さんまロール寿司」。根室さんまロールの定義は、「食べる昆布」の食習慣を北海道でも普及・定着させようという思いで開発した、根室産のさんまを根室産の棹前昆布で巻いた「昆布ロール寿司」である。
◇電話:0153-24-6913
<すし善(すしぜん)>
◇電話:0153-22-3938
<お食事処辰政(たつまさ)>
◇電話:0153-23-2366
<村さ来(むらさき)>
◇電話:0153-24-6830
<すしと魚貝料理の魚河岸浜作(はまさく)>
◇電話:0153-24-5876
<和ダイニングすしもと>
◇電話:0153-24-1148
<酪農喫茶Grassy Hill(グラッシーヒル)>
◇電話:0153-26-2181
<居酒屋ゆうすけ>
◇電話:0153-24-4208
◆清隆寺の千島桜
〜北方領土を未来につなぐふるさとの花〜
毎春、桜前線が北上し、最後に咲く桜として多くの人に親しまれている千島桜。 かつて北方領土に住んでいた人々には、<ふるさとの花>として親しまれている。根室市の清隆寺にある千島桜は、国後島から持ち帰り移植され、道内の多くの千島桜の源流と伝えられるなど、千島桜と北方領土との結びつきは深い。また、千島桜は、北海道の植樹用の樹種として選ばれることが多く、官・民による地域づくりの資源の一つとして、次の世代へ継承したい花である。平成30年(2018)11月1日に北海道遺産に選定された。
◇住所:〒087-0044 根室市松本町2-2。
◇電話:0153-23-2942。
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清隆寺の千島桜(2019年5月撮影)
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北方四島
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別海町は、北海道の東部、根室管内の中央部に位置し、東はオホーツク海に面し、根室市、標津町、中標津町、標茶町、厚岸町、浜中町の6市町と接している。北海道らしい大平原が広がる牧歌的な風景が見られる一方、東部には日本最大の砂嘴(さし)である野付半島、南部には風蓮湖があり、3市町(根室市、別海町、標津町)にまたがって野付風蓮道立自然公園を形成する。幻想的なトドワラ、夏の風物詩尾岱沼(おだいとう)の《えび打瀬舟》、白鳥の飛来など観光客を魅了する。
別海町観光協会 。
◆野付半島
別海十景の一つである野付半島は、潮流によって長い年月をかけ運ばれ、堆積した土砂によって形成された。根室海峡(オホーツク海)に突き出した形で全長は約26kmにもおよび日本最大の砂嘴(さし)になる。
野付半島の「野付」は、アイヌ語の「ノッケウ(あご)」からきている。
この由来には2つの説があり、「大きな鯨が流れ寄り、その下顎がこの埼(さき)になった」という説と「砂嘴の形状から名づけられた」という説。鯨の説の方が神秘的でワクワクするが、実際は後者の説のほうが正しいようである。
野付半島にはトドワラやナラワラのような奇観や原生花園などの原始的な自然が多く残っており、その豊かさからラムサール条約と北海道遺産に登録されている。
◇住所:〒086-1645 別海町野付。
◇電話:0153-82-1270(野付半島ネイチャーセンター)。
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野付半島の碑と野付半島ネイチャーセンター(2009年5月撮影)
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◆野付半島ネイチャーセンター
日本最大の砂嘴(さし)である野付半島の自然や歴史についての情報を提供している施設で、平成14年5月にOPENした。一階では観光案内や特産品の販売などのサービスを、二階では自然や歴史の展示、解説などを行っている。
◇住所:〒086-1645 野付郡別海町野付63。
◇電話:0153-82-1270。
岬や半島などの陸地から細長く海に突き出している砂礫(されき)の堆積地形で、対岸の陸地や島にまでは到達するに至っていないものをいう。対岸と連結しているものが砂州である。相反する方向からの沿岸流の働きによって突出した砂嘴は、三角形状の砂浜を形成することがあり、これを尖角岬(せんかくみさき)または尖角州という。東京湾の富津州(ふっつのす)はその事例にあたる。イギリスのドーバー海峡に面したダンジネス岬は巨大な尖角岬である。
一方向からの沿岸流が卓越する場合においては、砂嘴の先端部付近が陸側に曲がる傾向があり、これを鉤状砂嘴(こうじょうさし)という。砂嘴への砂礫の供給が増減したり、波や沿岸流が変化すると、先端部が何本も分岐し、複合鉤状砂嘴または分岐砂嘴とよぶ地形となる。北海道の野付(のつけ)崎は分岐砂嘴の好例である。(日本大百科全書ニッポニカ)
◆野付半島から国後島まで16km
野付半島から国後島まで距離にして何と16kmの近くて遠い島。
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国後島はすぐそこ(2022年10月撮影)
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野付半島ネイチャーセンターの海に面して立つ看板(2009年5月撮影)
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野付半島
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◆野付湾の打瀬舟
延長26kmにもおよぶ野付半島によって根室湾と隔てられた内湾である野付湾。湾内には天然のアマモ(海草)に覆われており、水深は浅いところで1m、深くても5mほどしかない。このアマモが北海シマエビの生息地となっている。ラムサール条約に湿地登録されている野付湾では多くの野鳥や、春と秋2回、真っ白な帆を立てた打瀬舟を見ることができる。夏の風物詩として、多くの観光客やカメラマンたちに愛されている。
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打瀬舟と北海シマエビ(2012年7月、2019年10月撮影)
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打瀬舟(2022年10月撮影)
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道の駅・おだいとう
道の駅・おだいとうは、国道244号沿い別海町尾岱沼中心から約3kmに位置する。冬から春にかけて数百羽の白鳥が飛来する白鳥台に隣接し、敷地内には北方領土返還を願い建設された叫びの像、別海北方展望塔がある。展望塔からは、打瀬舟による北海シマエビ漁など野付半島の豊かな自然や国後島を一望できる。
◆別海北方展望塔と「四島への道 叫び」の像
別海北方展望塔(道の駅・おだいとう)は、「北方領土返還要求運動」の正しい理解と国民世論の高揚のため、昭和54年(1979年)に建設された。また、施設隣の「四島への道 叫び」の像は、昭和57年(1982年)8月7日に建立されたもので、「島を返せ」と叫び続ける国民の総意を、老女と孫に託している。野付半島から国後島までの距離は16km。この距離にちなみ、「四島」に見立てた四本の柱と、「叫びの像」の間は16mとなっている。展望塔からは、オホーツク海に浮かぶ北方領土の国後島や野付半島を一望できる。
◇住所:野付郡別海町尾岱沼5-27。
◇電話:0153-86-2449(道の駅おだいとう)。
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「四島への道 叫び」の像(2019年7月、2022年10月・11月撮影)
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根室支庁にある分岐砂嘴(ぶんきさし)、野付崎に抱かれた野付湾のことをいう。湾西岸にある別海町の漁業集落の尾岱沼は、沿岸・沖合漁業の基地で、湾内のエビ打瀬網、カレイ刺網、湾外のホタテガイ・イカ漁などが行われる。夏から秋にかけて三角帆の打瀬舟によるエビ漁が行われる。(世界大百科事典 第2版の解説)
北海道東部、別海町(べつかいちょう)の野付湾(のつけわん)に臨む地区。漁港と青少年旅行村がある。また、野付崎に囲まれた野付湾をさす場合もある。野付崎にはトドマツが立ち枯れた風景が奇観を呈するトドワラがあり、尾岱沼港とトドワラの間は夏期に観光船が連絡している。(日本大百科全書(ニッポニカ)の解説)
◆野付半島原生花園
野付半島の先端、野付崎灯台を中心とした竜神崎一帯に広がる花園は四季折々、ハマナスやオレンジ色のエゾカンゾウ、別海町の花に指定されているセンダイハギなど短い夏をさまざまな花々が競うように咲き誇る。また、海流が造り上げた天然のボッコ沼付近にはタンチョウの営巣地があり、秋には優雅な舞や飛び立つ姿を見ることができる。野付崎灯台までは、ネイチャーセンターから徒歩で約45分程度。
◇住所:〒086-1645野付郡別海町野付。
◇電話:0153-82-1270(野付半島ネイチャーセンター)。
◆トドワラ
トドマツの森が海水に侵され、風化した白い木肌の巨木が乱立する奇観を生み出した。現在も海水による侵食が進んでおり、いずれはこの光景も見られなくなるだろう。野付半島ネイチャーセンターから木道の散策路があり、一周約15分で見て回ることができる。
◇住所:〒086-1645 野付郡別海町野付。
◇電話:0153-75-2111。
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野付半島−トドワラ(2009年5月撮影)
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◆ナラワラ
フラワーロードと呼ばれている野付半島の道道950線のほぼ中央に、海水で浸食され、風化したミズナラなどの木々が立ち枯れたまま林をつくっている。これまた絶景である。
◇住所:〒086-1645 野付郡別海町野付。
◇電話:0153-75-2111。
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野付半島―ナラワラ(2011年7月、2022年10月撮影)
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◆白鳥台
国道244号線(知床ノサップライン)沿いの別海北方展望塔がある春別川河口が『白鳥台』と呼ばれ、毎年12月〜3月にかけてオオハクチョウが飛来し集まるポイントになっている。2月の第2日曜には白鳥まつりが開催されるほか、厳寒の朝にごく稀に見られる『四角い太陽』の撮影場所として多くのカメラマンが訪れている。
◇住所:〒086-1641 野付郡別海町尾岱沼。
◇電話:0153-75-2111。
◆風蓮湖
別海町と根室市にまたがる湖で周囲約65km、面積約56k?u、汽水湖としては日本で5番目に大きな湖。広大なエリア一帯は、質の高い湿原と森林を持ち、手付かずの自然が残っている。このため、数多くの野生動物や植物が生息し、ラムサール条約登録湿地に登録されている。風蓮湖の由来は、アイヌ語の「フーレ・ペッ」-「赤い・川」からきている。川筋には”やち”が多く、赤いやち水が流れているという意味で、湖名もその名を付けて風蓮湖と呼んだそうである。
◇住所:根室市酪陽1。
◇電話:0153-74-9254。
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根室市と別海町にまたがる風蓮湖(2022年4月撮影)
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◆新楽農村展望台
昭和48年から国家的大事業として953億円を投入、新規入植94戸を含む222戸を整備し、世界に例のない近代的な大規模酪農村を建設した。昭和54年に移設した高さ10mの展望台からは、あたり一面に広がる緑の大平原にのんびりと草を食べる牛たち・どこまでも真っ直ぐ伸びる道路と、北海道らしい風景が広がっている。晴れた日には風蓮湖や阿寒、知床連山も望むことができる人気スポット。
◇住所:野付郡別海町別海396-7。
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新酪農村(2009年5月撮影)
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牧草地の梱包サイレージ(2011年7月撮影)
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◆別海町指定文化財・本別海一本松
1874年(明治7年)、東北各地から漁夫百十数人を募集し、西別川で漁労に従事せしめた番屋の横に植生していたもの。当時は2・3本あったが、現在まで130年間、厳しい風雪に耐えてきたものはこの1本のみ。 本別海は別海町の発祥の地であり、一本松は別海町の歴史を物語る貴重な文化遺産である。
◇住所:野付郡別海町本別海3番地23先。
◇電話:0153-75-0802。
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別海町指定文化財・本別海一本松(2022年10月撮影)
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<べっかい乳業興社>
◇住所:別海132-2。
◇電話:0153-75-2160。
◇開店:9:00〜17:00。日曜休み。
チーズは、低温熟成で苦味をおさえたまろやかな昧の「ゴーダチーズ」と、生乳を成分調整せず湯もみ、手延べして造る「さけーるチーズ」の2 種類。 その他各種乳製品もそろえている。地方発送もできる。
<河ア牧場チーズ工房>
◇住所:別海406-139。
◇電話:0153-75-8032。
自家生乳100%で作る牧場のチーズ。放牧牛の生乳を、無調整のまま保存料等を一切使わずに製造している。訪問の際は事前に連絡を。
<なかやまミルク工房>
◇住所:中春別307-37。
◇電話:0153-76-3777。
◇開店:9:00〜18:00。日曜休み。
牧場直営チーズ工房。別海町の冬の風物詩「四角い太陽」にちなんだ「四角いモツツァレラ」「四角いゴ ーダ」やカチョ力バ口、根室の地酒「北の勝」の酒粕を使ったユニークな「酒粕ちーず」など種類豊富。道の駅おだいとうなどで購入できる。
◆公衆浴場・浜の湯
尾岱沼港前の国道224号線の一本内側にある民営の大衆浴場。一本内側にあるだけに、最初は見つけることができなかった。大衆浴場といっても温泉で、ナトリウム−塩化物泉とアルカリ性単純温泉の2つの源泉掛け流しである。内風呂、露天風呂とも泉質別に湯船を分けている。10月中旬に入浴したが、特に露天風呂に風情があり、冷えた身体の芯まで温まることができた。シャワーもナトリウム−塩化物泉とアルカリ性単純温泉が別に用意されているからすごい。それは私には気づかなかった。ただちょっとしょっぱい味がすると思った。帰り際に「いい湯でした」と番台のおばさんに声をかけると「ありがとう」と言葉が返ってきた。2度、いい気持ちになって後にした。大人450円。石けん、シャンプーなどはない。
◇住所:〒086-1643 野付郡別海町尾岱沼港町235-5。
◇電話:0153-86-2600。
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公衆浴場・浜の湯(2022年10月撮影)
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根室管内の中部に位置する。根室振興局管内では根室市に次ぐ人口を擁し、管内中部の中核となる町で、酪農・商業が盛ん。
2005年(平成17年)から北海道庁による移住促進事業のパートナー市町村として、道外からの移住を推進している。分村により誕生した1946年(昭和21年)から2010年(平成22年)の国勢調査まで、人口は増加傾向を見せている。2005年年(平成17年)の国勢調査では、釧路・根室地方で唯一人口が増加した。釧路市から北東に約100km、根室市から北西に約80kmに位置する。南部は丘陵(根釧台地)が広がり、北部は知床半島から連なる山岳地帯を挟んで清里町に接する。土地は主に泥炭地と火山灰地であり、稲作・畑作などには向かない。
市街北西の地球が丸く見える《開陽台》からは、根釧原野が一望でき、カムイヌプリ(摩周岳)、さらには国後島までも見渡せる。中標津空港の東京直行便が1997年から2便就航し、道東の観光の拠点として脚光を浴びている。
<中標津町の乳用牛>
乳用牛飼育戸数306戸、乳用牛飼養頭数39,500頭(2014年=平成26年現在)。
なかしべつ観光協会 。
◆開陽台
中標津町北部にある標高270mの丘にある展望台。夏の北海道を旅するライダーたちの間で「聖地」と呼ばれている。中標津町市街から開陽台に至る数キロの道のりは「ミルクロード」の愛称で親しまれ、広大な牧草地の間を通り抜ける道である。起伏のある直線が続き、見渡す限りどこまでも続くかのように見える風景は、雄大な北海道を実感させる。眼下には格子状防風林と草を食む乳牛の群れを見ることができ、天気の良い日には数十キロ離れた根室半島を見渡すこともできる。
◇住所:〒086-1272 標津郡中標津町開陽。
◇電話:0153-73-3111。
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開陽台(2011年7月撮影)
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開陽台から望む格子状防風林(北海道遺産)(2011年7月撮影)
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◆格子状防風林(北海道遺産認定)
林帯の幅180m、一辺の長さ3kmの格子が続く格子状防風林、その最長直線距離は約27km、総延長は約648km。そんな巨大な格子状防風林は、この地域独自の風景をつくり出している。この格子状防風林は、大正末期から昭和初期にかけて本格的な造林が行われた。当時、開拓使が採用した「殖民区画」は、縦・横300間(約550m)四方の区画を単位として、北海道の農地や道路を整備するもの。中でも特にこの地方では、1,800間(3,300m)ごとに、100間(約180m)幅の防風林が設定された。これは、アメリカ人の開拓顧問ホーレス・ケプロンの提唱によるものであった。開拓時代から続く、産業道路、自然遺産でもある格子状防風林がつくり出す風景を、開陽台から見ることができる。
◇住所:標津郡中標津町字俣落2256-17。
◇電話:0153-73-3111。
◆裏摩周展望台
神秘の湖「摩周湖」は、弟子屈側からのアクセスがスタンダードだが、斜里町と中標津町の境にある裏摩周展望台は裏手からも観光できる絶景ポイント。養老牛温泉から車で20分ほどで裏摩周展望台に行ける。弟子屈より標高が低いため、比較的霧が少ない場合が多い。
◇住所:斜里郡清里町清泉。
◇電話:0152-25-4111(きよさと観光協会)。
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裏摩周(2005年8月、2012年7月撮影)
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◆根室中標津空港
定期路線を就航している全日空グループでは根室中標津空港の名称を使用し、空港ビル運営会社名も根室中標津空港ビル株式会社である。中標津空港は、北海道かつ日本最東端の民間機が発着する飛行場で、中標津町市街から北西約4 km(バスで約10分)の平坦な牧草地に位置する。
JR北海道標津線廃止後の交通空白を埋める空港として、根室管内の玄関口としての役割を担ってきた。ただし、空港建設の経緯が他の道内空港と異なり、周辺は酪農地帯に立地する。根室振興局が置かれる根室市中心部へは80 km以上離れている。当空港から100 km圏内で摩周湖や、世界自然遺産の知床など自然景観に恵まれた観光地が多数あることから、観光需要の利用が根強い。札幌市や東京への時間距離が長いこの地域において、高速交通手段として航空の果たす役割は非常に大きい。日本の空港ビル唯一の集成材を利用した木造建築(一部鉄筋コンクリート造を併用)である。(jawp)
◇住所:標津郡中標津町北中16-9。
◇電話:0153-73-5601。
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根室中標津空港(2022年10月撮影)
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北海道の最東端、根室支庁管内の中心部に位置。本町を中心にちょうど両腕を出すように、左手に日本最後の秘境といわれる知床半島が、右手にはノサップ岬を先端とする根室半島が延びている。正面はオホーツク海に面し、洋上わずか24km先には近くて遠い島・国後島が、その大きな姿を見せている。 また、日本一の砂嘴(海岸から沖に出た砂の陸地)野付半島が本町を基部として延びているほか、背後に広大な牧場が広がる根釧原野を擁するなど、本町は風光明媚な地である。
秋鮭の水揚げ日本一を誇る。その象徴のサーモン科学館では、世界中のサケの仲間たちが展示されている。また、海では根室海峡をクジラやイルカなどと出会いながらクルージングする観光船が人気を集めている。
標津町観光協会 。
◆標津サーモンパーク
”サケ”の水族館。世界に生息しているサケの仲間18種30種類以上を展示、サケ科魚類展示数は全国一。サケの誕生から産卵まで観察することができる。
◇住所:標津郡標津町北1条西6丁目1番1-1号。
◇電話:0153-82-1141。
◆ポー川自然史蹟公園
歴史民俗資料館と開拓の村を備えた公園入口エリア、氷河期の生き残りといわれる湿原性植物が花を咲かせる国指定天然記念物標津湿原、約1万年に及ぶ人類の足跡を刻む国指定史跡伊茶仁カリカリウス遺跡の3つのセクションからできている。総面積約630ha、日本最大の山岳湿地尾瀬ヶ原と同等の面積を有し、知床周辺の歴史、文化、自然が融合した野外博物館としての機能をもつ公園である。
◇住所:標津郡標津町字伊茶仁2784。
◇電話:0153-82-3674。
アイヌ語「ラウシ」(低い所または獣の骨のある所の意。アイヌ民族の狩猟の地であった)から転化したもの。知床半島の付け根に位置し、知床国立公園(秘境知床)を有する全国屈指の沿岸漁業と観光の町。明治12年(1879年)標津ほか6村戸長役場の管轄に属し、同34年(1901年)これから分離して植別村戸長役場を設置、大正12年(1923年)4月二級町村制施行、村名を植別村とした。昭和5年(1930年)7月羅臼村と改称。同36年(1961年)8月町制施行。
知床羅臼町観光協会 。
◆羅臼岳と知床硫黄山
北海道東部の知床半島中部にある火山。羅臼岳(標高1,661m)と知床硫黄山(1,563m)の2つの活火山がある。山麓に温泉湧出。
◇電話:0153-87-2828(知床羅臼ビジターセンター)。
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羅臼岳(上)2003年6月 (下右)2013年6月 (下左)2014年7月撮影
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知床連山(右から羅臼岳 三ツ峰 サシルイ岳 オッカバケ岳 知円別岳 硫黄山) |
◆望郷の森・タチニトレイル
羅臼国後展望塔がある「望郷の森」は、市街地のすぐ近くにも関わらず濃厚な自然に触れられる魅力的なスポット。ゆったり自然散策できるトレールコースは、知床連山の景色が素晴らしい約3kmの「癒しの森コース」と、赤い橋(ウグイス橋)を渡る約5.2kmの「学びのコース」の2つ。タチニウス(ウシ)川は、アイヌ語でダケカンバのあるところを意味。
◇住所:目梨郡羅臼町礼文町32-1。
◇電話:0153-87-2126(羅臼町役場産業創生課 )。
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望郷の森から 羅臼岳(左)と羅臼市街(2009年5月撮影)
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道の駅・らうす
国道335号沿いに建つ道の駅・知床・らうすは、知床横断道路の羅臼側の入り口にある。目の前には、根室海峡と北方領土・国後島が横たわり、後方には日本百名山の1つ標高1,661mの羅臼岳がそびえる。世界自然遺産・知床には、海と陸の生態系の頂点に君臨する野生動物がすんでいる。海産物も豊富で、冬は羅臼産エゾバフンウニ、すけそうだら、春には時鮭(トキシラズ)、夏には羅臼昆布やブドウエビ、秋には鮭児(ケイジ)などの秋鮭やイカなど、世界有数の漁場として賑わっている。