札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」です。幻聴や幻視の意味でなく、私たちの心の中にはさまざまな声やヴィジョンが住み着いており、それが精神世界を構築しています。この世に生を受けて、いままで生きてきた過程で出会った人たちとの社会的な関係が、聴覚的な声や視覚的な情景となって、心の中に宿るのです。社会・文化的心理学の分野では、心の形成についてこのように考えます。
病気の症状ではありませんが、私たちの中には、特殊な能力として内的な声やヴィジョンを強く感じる人たちがいます。文字どおりの意味で、本当に聞こえるし、本当に見えるのです。けれども、そのような方々は、自分がそうなのだと口にすることはあまりないでしょう。なぜなら、周囲から変な目で見られることが分かるからです。
さらに話を広げましょう。共感覚と言う現象があります。たとえば、音を聞くと色が見えてしまったり、何かを見るだけで生々しい触感を感じたりすることです。幼い子供の多くにこのような能力が備わっているらしいのですが、大人になるにつれて失われてしまうようです。
特殊な能力、鋭敏な感覚のある人は、刺激が強すぎるために社会生活が送れない場合があるようです。人生を彩り豊かにしてくれる反面、やはり否定的に作用することも少なくありません。
さて、声の話で締めくくります。臨床心理・カウンセリングの言葉で「基本的信頼感」と言うものがあります。これは私にしてみると、「大丈夫だよ」といって励ましてくれる、内的な声のことです。このような暖かみのある声が心の中に宿っていないと、世の中で生きて行くことが大変かもしれません。つらいときに励ましてくれる人がそばにいること、そのような人が身近にいなくても暖かな声が心のなかにあること、とても大切なことであると思います。人はみな、誰かの声があるからこそ生きて行けるのかもしれません。以上、札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」でした。
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