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カウンセラーの選び方


 カウンセリングを受けてみたい、でもどこに行けばよいのか分からない、あるいは、相談室がたくさんあってどこを選んだらよいのか分からない、そんな方々のために、探し方・見つけ方・選び方を少しだけ助言したいと思います。ただし、私個人の意見ですから、参考程度にとどめてください。
 私も相談室を開設する身ですから、客観的な視点で自分に点数をつけてみるつもりです。

 
探し方

 NTTの電話帳、タウンページで探すのが手っ取り早いでしょう。しかし、いまは「ネットで検索」の時代です。開業するカウンセラーのほとんどが、自分のホームページを所有するようです。ウェブ上を探して、実際にホームページをのぞいてみることが必要です。

 検索するときのキーワードは、「カウンセリング」「心理カウンセリング」などと合わせて、自分が住む町の地名を加え、二文字で検索するとよいでしょう。表示される件数が多い場合には、さらに好みのキーワードを加えて絞り込むとよいかもしれません。

 しかしながら、注意も必要です。ひとつは、ホームページを持たないカウンセラーもいると言うことです。優れた腕がありながら、広告には全く無頓着な方がいるものです。ネットで検索だと、このような臨床家にはたどり着けないでしょう。

 それから、ネットで検索すると、上位に表示されるところばかりが目につくはずです。あるいは、広告ページをあちこちに持って、「○○カウンセリング・ルーム」といった一定の名称がたくさんヒットする相談室にも目が向くはずです。しかし、検索結果の順位や表示数は、具体的現実とは無関係のことです。大変でも、下位に表示されるページもくまなく探して下さい。

 あなたがのぞくホームページには、相談者を惹きつけるような魅力的な言葉が並んでいるかもしれません。悩みが100%解決するとか、スッキリするとか、良質の、とか、その他もろもろです。しかし、あまりにも夢のようなことをうたうサイトは、もしかすると誇大広告なのかもしれません。それに、ホームページの構成や彩色など、形式的な側面から受ける印象に左右されないことも大切です。ホームページの見栄えは、カウンセラーの人格とはまったく別のことなのです。

 
場所

 駐車場はあるか、駅の近くか、自宅から何分で到着するのかなど、自分が選択する交通手段に適したところを選びます。この点は、まあ当然のことです。自宅の近所がよい人も、少し離れたところがよい人もいるでしょう。

 大切なのは、大変かもしれませんが、一度実際に足を運んでみることです。申し込みや問い合わせ以前に、相談室の玄関先まで行ってみるのです。そうすると、ホームページからは分からない、相談室の立地条件が見えます。人通りはどうか、自分が相談室を利用することが知られない建物の構造か、ビルの一室か、住宅街の一戸建てか、などなどです。

 私の相談室の場合です。そこは閑静な住宅街にある家で、日中もほとんど人通りがありません。外に相談室の看板を掲げておらず、近所の人は何も知りません。かりにすれ違ったとしても、私のところのお客様といった感じでしょう。二階の書斎に直接通じる外部階段を使って頂くので、自宅の玄関から入ることもなく、私以外の人間と顔を合わせることもありません。

 ここは何となくいい、何となく嫌、そんな何となくの勘を大切にしてください。

 
部屋

 部屋の雰囲気はとても大切です。相談室内部の写真を、ホームページに掲載する人もいます。参考になるでしょう。部屋そのものに落ち着いて話せる雰囲気があるか、この点がチェック・ポイントです。

 私の場合、自宅の書斎を使います。書斎と日常の生活空間のあいだにもうひとつ部屋をはさんだ構造にしてありますから、声が漏れる心配はありません。せいぜい、足音の振動が何となく聞こえる程度です。書斎は12畳ほどの広さで、床、壁、天井、すべて木を貼りました。天井は吹き抜けと言うか、構造をむき出しにして高くしました。壁はすべて本棚にしており、かなりの書籍が収められました。専用のトイレもあって、窓からは空が見えます。

 いずれにせよ、やはり実際にその部屋に入って、腰をかけてみないかぎり、その雰囲気は分からないものです。写真には写らない何かがあるのです。

 
料金

 一回のセッションで、数千円から一万円前後のところが多いようです。首都圏だと、さらに高額のはずです。事務所の家賃を含めた経費のことや、カウンセラー自身の生活があり、全体的に考えて料金が決まってくるのだと思います。相談者にとっては、決して安くないでしょう。継続して受けるとなると、なおさらのことです。

 通常は、そのときの面接が終了した時点で、料金を手渡します。銀行振り込みのところもあるようです。また、キャンセル料を徴収するところや、前払いを求めるところや、払い戻し不可の回数券の購入を求めるところがあるようです。料金システムは相談室によって違いますから、疑問の点はあらかじめ確認しておくことが肝心です。

 「初回のみ無料」など、無料をうたっているところもあります。それから、料金を明示せずに、最初に来談したときに教えると言うところもあります。無料は何か怪しいと思われるかもしれません。ただほど高いものはないとも言われますから。それに、料金システムのことを教えてくれないところは、もっと怪しいと思われるかもしれません。とにかく、あやしいと思ったときは、説明を求めてください。しっかり、誠実に答えてくれるのであれば、安心できると思います。それ以外は、やはり怪しいのかもしれません。

 そう言う私の相談室も無料です。どうして無料で出来るのか。それは、普段大学の教員として仕事をしているので、相談室の収入はどうでもよいからです。もちろん、受け入れ可能な人数にはかぎりがあります。

 公的機関や、それに準ずる機関でも、無料で行うところがあります。無料でないとしても、抑えられた料金で行うところがあります。また、自分はギリギリの生活をすることになるが、相談者のために料金を下げる善意のカウンセラーもいるでしょう。いずれにせよ皆さんは、予算に合わせて選択するのがよいと思います。

 
資格・学歴・経験年数

 まず資格についてです。日本には、いま現在この分野の国家資格がありません。心理士の国家資格は以前から議論され、まだ解決をみません。結果として、さまざまな民間資格が乱立した状態にあります。カウンセラーがそれぞれに、何らかの資格の所有を提示します。臨床心理士とか、学校心理士とか、催眠とか、あるいは外国の資格とか。

 次は学歴です。国家資格がないために、誰でもカウンセラーを名乗ることができます。必然として、学歴も様々です。短大卒、四年制大学卒、大学院修了、外国の大学を卒業、などなど。

 最後に経験年数です。この道一筋40年以上の人もいるでしょう。駆け出しの人もいるでしょう。経験年数は、資格や学歴と同じく「売り」になるのです。けれども、非常勤の仕事ばかりで40年の人と、常勤職で20年のカウンセラーは、どちらが優れているのでしょうか。答えの出る問いではなさそうですが、常勤と非常勤では、職場での責任の重さに違いがあるような気がします。

 さて、資格、学歴、経験年数について、総合的に考えてみましょう。端的に言えば、これらはひとつの目安に過ぎません。心理相談は生きた人間が行うのであって、資格や学歴や年数が行うことにはならないのです。大切なのは、あなた自身が何を求めるのか、と言うことです。自分のカウンセラーにするなら、資格があって、学歴があって、経験があって、と言う条件です。背が高くて、高収入で、イケメンで、となると、かなりの若い女性が結婚相手として選ぶ男性の条件ですが、自分がカウンセラーに対して求める条件が何であるのか、まずは自覚してほしいと思います。

 そして、あなたからカウンセラーに尋ねてみて下さい。自分の資格や、学歴や、経験年数や、経歴や、受けたトレーニングなどについて聞かれたとき(年齢もそうでしょう)、正直に答えるのが私たちの義務です。もしも、はっきりとカウンセラーが答えてくれない場合には、怪しい以前に、信頼できない相手なのかもしれません。ここはやめて、違うところを探そうか、となっても不思議はありません。

 いろいろなホームページをのぞくと、自分の資格が一番と言わんばかりの表現、長年の経験と実績を誇る表現、他の流派のやり方よりもよいことを匂わす表現など、実にさまざまな誇示的表現(誇張ではなく)が目につくかもしれません。あくまでキャッチフレーズですから、惑わされないように注意したいものです。

 
相談者のニーズとカウンセラーのスタイル

 皆さんには何かニーズがあるはずです。眠れないので眠れるようになりたいとか、この苦しみから解放されたいとか、自分の性格を変えたいとか、もっと前向きに考えられるようになりたいとか。

 他方、カウンセラーにもそれぞれのスタイルがあります。来談者中心療法とか、認知行動療法とか、精神分析などの、理論的立場と技法に依拠して居るわけです。また、理論的立場とは別に、摂食障害の専門とか、アルコール依存症の専門とか、対象とする問題を専門特化する人もいます。反対に特化しないで、どんな問題にも対処していく、ジェネラリストもいます。

 さて、自分のニーズに合ったカウンセラーを探すとなると、本当に大変なことです。この問題はここに、あの問題はあそこに、などとは、容易に判断できるものではありません。私に言えるのは、それぞれのホームページをのぞいてみて、何となく惹かれるところがある相談室を訪ねてみることです。やはり、何となくの勘を大切にしてください。問い合わせてから実際に来談してみて、何だか違うなと言う印象があれば、やめるとよいのです。

 私は人間性心理学なるジャンルに惹かれるところがあり、スタイルや技法以前に、カウンセラーのパーソナリティを重視します。面接で一番大切なのは、カウンセラーとクライエントのパーソナリティであり、二人の相性であると考えます。この点については「カウンセラーとの相性」で詳しく述べました。ぜひ参考にしてください。相性を知る手っ取り早い方法は、たとえば問い合わせの電話をしたときに、相手の声を聞くことです。そのトーンやテンポに不快感を感じたら、相性がよい可能性は減じると思います。ただ、これは科学的な根拠を示すことができません。

 蛇足ですが、大学の教員をして居るからといって、私は、授業のような講義調の一方通行的心理相談はしません。説教がましい相談になるのは、自分でもごめんです。あくまで、授業は授業、相談は相談です。教員といえば、一般的にはそのような悪しきイメージを与えるのかもしれませんが、実際は違うのです。

 ニーズのことで最後に一点だけ。もしもあなたのニーズが「私の話を聞いてほしい」だったとします。けれども、自分の苦しみは「人の話が聞けない・聞かない」ことから来ているとします。そんなとき、カウンセラーはどうすればよいのでしょうか。ここで答えを出すつもりはありません。疑問はカウンセラーに聞いてみましょう。その答え方に、それぞれの個性がよく現われるものです。

 
個人情報保護

 個人情報保護法が施行されてから、相談業務を行う世界でも、情報の管理が徹底されるようになりました。たとえば、何か病気で大学付属病院を利用したことのある人は経験があると思いますが、個人情報の利用について説明され、書面にサインさせられるのです。インフォームド・コンセントの遵守です。治療法に関することではありません。病気を患う患者の個人情報を、大学での研究や教育のために利用するので、同意を求められるのです。

 カウンセラーのホームページをのぞいて、そこに守秘義務のことや、個人情報の保護について触れているか、必ずチェックした方がよいと思います。「秘密を守ります」とか「秘密厳守で」と言う表現だけでは、足りないような気がします。なぜなら、そんなことは当然なのですから。問題は、どんなときに守秘義務が解除されるのか、そのさいの条件です。それを読んで自分が納得できないのであれば、最初からそこは利用しない方がよいでしょう。

 カウンセラーの多くは何らかの学会や研究会に所属して、研鑽や研究発表を日々行っています。事例研究です。われわれは事例とのかかわりを具体的に振り返ることで成長し、研究も行うのです。けれども、その場合にも相談者の承諾が必要です。無断で個人情報を使ってはいけないのです。自分にかかわる情報がどのようにして使われる可能性があるのか、のぞいたホームページには書かれてあるでしょうか。

 問い合わせの電話をしたとき、初めての初回面接のとき、カウンセラーから守秘義務や個人情報の利用(保護)について説明があるはずです。もしなければ、自分から尋ねてはいかがでしょうか。大切なチェック・ポイントであると、私は思います。

 
精神科・心療内科クリニック

 カウンセラーの相談室に行けばよいのか、精神科や心療内科のクリニックに行けばよいのか、迷う方もいるはずです。何か薬を飲んだ方がよいのか、あるいはカウンセリングだけで何とかなるのか、自分で判断できないからです。

 クリニックにカウンセラーの居るところであれば、医師の薬物療法と、心理士の心理療法が並行して受けられます。精神療法に熟達した精神科医もいますから、そのような場合には薬物療法と精神療法を一人の人間に受けることもできるでしょう。あまりにつらい、しんどいので薬飲んでみようかなと、少しでも考えている方は、まずクリニックに問い合わせてみるのがよいでしょう。

 クリニックに通って服薬しながら、もう少し誰かに話を聞いてほしいと感じたとき、カウンセラーを訪れるとよいかもしれません(そのクリニックに心理士がいない場合)。多くのクリニックの医師は、一人に対して一時間も時間をとれないのです。必ず担当医に相談して、それもよいだろうと助言を受けてからです。無断はやめましょう。



 いろいろなことを書き綴りました。気楽に考えてください。実際にある相談室に行ってみて、そこに違和感を感じたらすぐにやめるとよい、くらいに考えてください。ただ、行く先々で違和感ばかり感じるとしたら、いわゆるドクター・ショッピングのようになる可能性があるので、注意しましょう。


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