札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」です。以前は精神分裂病なる名称で呼ばれましたが、このように名称が変更されました。すっかり定着したような気がします。
多くの精神科医が口をそろえて、統合失調症が軽症化してきたと言います。もちろん、長期入院を余儀なくされる重症の方が皆無となったわけではありませんが、とても不思議な現象であると思います。
むかし、この病気の原因は歪んだ家族のコミュニケーションだ、母親が原因だと言わんばかりの研究もありました。自分がこの子を病気にしたのだとみずからを責めるご家族のお話に、カウンセラーとして心を痛めたこともあります。ベイトソンと言う研究者の「ダブルバインド・二重拘束」理論を取り入れて、統合失調症者とその家族のコミュニケーションについて説明する人たちは今もいますが、私はむしろボーダーラインといわれる方々とその家族のやり取りに、二重拘束といわれる現象を見て取ることが少なくありませんでした。いいえ、むしろ人間が二重、三重の声を発するのは、さまざまな場面で広く認められる当り前のことなのです。
私が統合失調症者のご家族に言えるのは、「あなたが自分の子供を病気にしたのではありません」、ただこの一言だけです。この病気の原因は、いまだに不明なのです。
根治療法とはいかず、あくまで症状を抑える対症療法ですが、服薬を続けることで一定レベルの社会生活を営むことができます。もしかすると、親が望むような社会生活までには至らないのかもしれませんが、このあたりの折り合いが家族としては難しいのかもしれません。
統合失調症の治療と言う点で私には何もできないでしょうが、カウンセラーとして、ご家族のお話に耳を傾けることはできると思います。これもカウンセリングです。人さまには知られたくないといって、家族自体が社会から孤立してしまうことはよくあると思います。そんなときに、信頼して話せる相手としてカウンセラーを訪れるのも、ひとつの選択肢です。特別な相談事など無用です。ただ、話すために訪れるのです。
病気のことよりも、むしろご家族へのメッセージとなりました。以上、札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」でした。
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