江別など札幌圏のカウンセリング相談

札幌|のっぽろカウンセリング研究室
トップページへ

トップページ >> コラム

障碍(障害)の受容と障害年金


 札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」です。精神の障碍であれ、身体の障碍であれ、本人にとってそれを受け入れることはすぐにできるものではありません。受け入れたり、拒んだり、悩みながらのプロセスが必要です。このページは、主として発達障害の問題について触れるつもりです。

 本人はもちろん、障碍は家族の問題でもあります。我が子には何か発達的に障碍があるのかもしれないと、うすうす気づきながらも、まさかそんなはずは無いと自分自身に言い聞かせる保護者の方々もいるのかもしれませんし、専門家から障碍があるかもしれないと告げられて、精神的にショックを受ける保護者の方々もいるかもしれません。そこには、我が子を想う親としてごく自然な心情があります。

 日本では、20歳をすぎると障害年金を受給することができます。受給額についてはいろいろな意見があると思いますが、誰にでも申請する権利があります。ところが、申請したからといってすべての方々が認定されるわけではありません。それには一定の基準があって、厳密な審査を経なければならないのです。

 最近になって、いわゆる発達障害が注目されるようになってきました。広義には知的障害も含みますが、主としてアスペルガー症候群や自閉症のことです。全国的に、大学に入学する学生たちにも、この種の障碍を抱える人たちが増えてきたと言う話を耳にすることがあります。

 障害年金との絡みで言えば、重篤な障碍を持つ方々と言うよりも、軽度の発達障害のある方に問題が発生するかもしれません。つまり、確かに発達障害は認められるが、それはあくまで軽度にとどまり、年金受給の要件に合致するほどでは・・そんな場合です。いわゆる、軽度発達障害のケースです。

 本人と家族は、年金を申請する前に、まず障害の受容にかかわる問題と直面しなければならないでしょう。人生を左右する重大な局面になると思います。次は、申請するか、しないかの選択です。この決断も、これから先のことを考えて、あれこれと思い悩むことになるのかもしれません。

 申請をお考えの方は、とにかく精神科医のいる医療機関を受診することをお勧めします。障碍にかかわる初診日のカルテが残っていることや(通常は五年で廃棄されます)、精神科医の診断書などが手続き上重要になってくるようで、カウンセラーの一筆は申請上役に立たないようなのです。医療機関のソーシャルワーカーや、社会保険労務士に相談してみるのがよいのかもしれません。

 軽度発達障害の方にカウンセリングができることは、二次的、社会的に発生する諸問題に対処することであると思います。カウンセリングによって障碍そのものが消えてなくなるとは、考えにくいのです。けれども、自閉症の児童の心理療法を行って、一定の成果をあげるカウンセラーもいるようです。私には、まだまだ答えの出ない領域です。

 最後に、私は障碍についてはヴィゴツキーと言う心理学者の見解に賛成しております(ヴィゴツキー『障害児発達・教育論集』新読書社)。つまり、健常者のレベルまで発達してはいないと言うことではなく、健常者とは異なる独自の発達をしたのだと言うことです。社会福祉の領域だと障碍は個性であると言うことがありますが、それに近いのかもしれません。

 障害年金の申請は個人の意志に委ねられています。申請することによって、はじめて審査の手続きに進むわけです。申請するも、しないも、個人の、あるいは家族の自由意思に委ねられます。将来のこと、特に保護者が本人の世話を出来なくなるであろう将来のことを見据えながら、じっくりと検討すべき事柄であると思います。以上、札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」でした。


関連記事


札幌や江別など札幌とその近郊の精神衛生を求めて