江別など札幌圏のカウンセリング相談
拒食症になりたい、などと本気で考える人はおそらくいないでしょう。摂食障害は、自分でも知らぬ間に陥る病です。一度そこにはまると、なかなか抜け出すことができません。思春期や青年期に固有の病気と考えられる傾向がありますが、そうとも限りません。女性に特有の病気かといえば、やはり男性にも稀にあるようです。
摂食障害は大きく二つに分類可能です。拒食症と過食症です。拒食症は、診断名としてその他にも神経性無食欲症、アノレクシア・ネルヴォーザ(アノレキシア・ネルヴォザ)と呼ばれることがあります。過食症は、大食症、ブリミアと呼ばれることがあります。
芸能人、モデル、スポーツ選手などにも多発し、みずからカミングアウトする人たちもいますから、私たちにとっては馴染みのある病気かもしれません。有名な方は、私の世代ですと、たとえばミュージシャンのカレン・カーペンターさんがいます。カーペンターズの女性ヴォーカリストです。最近になると、フランスのモデル、イザベル・カロ(カーロ)さんが、テレビによく登場しました。残念ながら、二人とも若くして、30歳前後の年齢で死亡しました。
このように、摂食障害(特に拒食症)は、死に至る危険性をはらんだ病です。カウンセラーとしては強敵と言ってもよい、治療の難しいこころの病・からだの病なのです。
過食症の方々に多く見られるのは、指の吐きダコです。食べた後に喉に指を突っ込んで、意図して吐きだそうとするので、歯の跡がタコになってしまうのです。自己誘発性の嘔吐です。夜な夜なコンビニでスナック菓子やらおむすびを大量に買い込み、食べきれないほどの量を一気に胃に流し込みます。満腹したところでトイレに駆け込み、ゲロゲロします。人知れず、こっそり行うことが多いようです。まるで、過食・嘔吐が、つまり食べて吐く一連の行為が、嗜癖(アディクション)になってしまったかのようです。
拒食症の方の劇的な症状は、激やせです。まさに骨と皮の状態まで、体重が落ちてしまうことがよくあります。そうなると医学的に生命を維持する必要があります。口から物を食べようとするとオエっとなるので、点滴によって栄養を補給し続けるわけです。自分が痩せている自覚の無い人も少なくありません。身体の写真や映像を見せられても、ピンとこないようです。その点で、ボディ・イメージに障害があると言われることもあります。下剤などの薬を使ってまで、口にしたものが実にならないようにする人もいますが、基本はとにかく食べないことです。
過食・嘔吐は、アディクションの一種のような気がします。拒食は、過剰な自己コントロールのような気がします。しかし、原因や目的についてはいろいろな説があり、個人差もありますから、どんな視点から理解してもよいはずです。成熟拒否(大人になることの拒否)なるシンリガク的理解もありますし、細身の方が美しいと言う社会・文化的な風潮や、ダイエット・ブームの影響なども無視することができません。
そんななかで、原点に戻ろうとする人たちがいます。つまり、食事の場面、食行動の場に立ち返ろうとする治療者たちです。食行動の異常を示す相談者が、食卓の状況でどのように食べようとするのか、あるいは食べようとしないのか観察して理解すると言う意味ではなく、一緒に食卓を囲んで食べる行為をするわけです。
食事場面の雰囲気は、家族によって異なります。ワイワイガヤガヤ喋りながら食べる家族、無言のまま黙々と食べる家族、テレビをつけて見ながら食べる家族、いつも食卓に緊張感が走る家族などです。摂食障害の原因をさかのぼって(家族関係にあると)特定するよりも、とにかく、和やかな食事体験を蓄積して行くわけです。食べたくなければ食べなくてもよいのです。ただ、そこにいるだけで。
自分で摂食障害を克服しようと努力しても、なかなかうまく行かないかもしれません。治療者の側が躍起になって働きかけても、抵抗に見舞われるだけかもしれません。その意味で、食卓を共にすることは、双方にとってよいことなのかもしれません。
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