新人の頃、配属された職場には非常に厳しい先輩Aさんと、私の指導員になった優しい先輩Bさんが居ました。優しい先輩Bさんは、間違っていても余り物を言わない人でした。結局、私が設計した製品で不具合を出してしまい工場のラインを巻き込むとんでもない大きな失敗をやってしまいました。責任は新人だった私が取らされました(^^!。Bさんは逃げました(え〜〜、マジですか)。実はその件では設計段階で厳しい先輩Aさんが警告を出していました。結局、その失敗以降、厳しい先輩Aさんの下で修行をしました。まぁ色々と怒られました(^^!。その後、大きな失敗は無く、時々は自分でも信じられない成果まで出ました。結局そういう事なんですよね。厳しい人は、後輩に失敗をさせないためにやっているんです。どうでも良いなら何も言わないですよ。何か言われている内は脈があるという事なんです。
一方、優しい方の先輩Bさんは入社時の最初だけは居心地は良かったですが、この年になってみると仕事の失敗と連動した記憶しか残っていないです(^^!。結局自分のためにはなっていなかったんですね。結果として後輩の事をきちんと考えていなかったという事になります。
厳しい先輩Aさんと過ごした新人の日々は今でも鮮明に思い出せます。当時を思い出すとほろ苦さも混じって、微笑が出てしまいます。とても充実した日々でした。怒られたり、叱責や嫌味などは最初はすごく嫌なものですが、それは後輩への心配の裏返しなのです。最初のうちはパワハラと感じてしまっても仕方がないのですが、その厳しさから逃げてしまうと結局、自分自身が育たなくなります。逃げ続ける人は10年もすると会社にとって必要の無い社員(業種によりますが)となってしまいます。本人の事を本気で考えたら、厳しくなるのは自然なんだと思います。
厳しい人と良く似たタイプがいるから厄介です。微妙にお節介な自己中な人です(^^!。私は評論家タイプと呼んでました。とにかく人の失敗や原因をついてきて正論は吐きます。でも理想論に終始し、担当者の現実を見ないため、言われている側からすれば到底受け入れられない内容で理不尽なものです。よく聞いてみると主張内容がヒトゴトで無責任なんですね。周りからみればどちらも行動が一見同じに見えるのです。仕事をしばらくしていると気づきますが(^^!。この手のタイプは感情だけで物を言っていて、その主張が反論されると人格攻撃に移るのですぐ分かります。自分の上司がそういうタイプだったら、それはパワハラ窓口に相談した方が良いと思います(^^!。
別に一見邪悪そうなのにそうではないタイプもいます。私が中堅になった頃です。業務成果に関係なく、イエスマンにのみ良い評価をつけていた偉いさんが上司Cさんでした。意見を物申す人間には理不尽な対応を取るのです。若かった私はその人と戦いました(^^!。権力に屈しないぞっ!!という気概で退職届も用意してバトルしました。若かったですね。その人くらいの年になってから思うとCさんは保守的な組織の習慣を壊すために敢てあのような行動に出たんだと分かってしまいます。今までの悪習の中にいる人はそれが悪い習慣だと気づきません。同意を得てから変革しようすると時間がかかるので超短期で改革をする方法を選択したのだと今は理解しています。ただ当時の私の行動がキッカケになって色々問題になり、Cさんは会社を辞めてしまいました。当時にパワハラ窓口があれば私は躊躇せず利用したでしょう。今の私は、当時にもっと相手を理解しようとする気持ちが必要だったなと後悔しています。嫌な上司は職場の雰囲気を壊すと言います。しかし居心地の良い職場は、本当に大丈夫でしょうか?私の経験からですが、居心地が良いところは赤字になりやすい傾向があります。赤字が続けばその職場は解体されます。居場所を確保するという事は、黒字をキープしないと駄目なんです。黒字をキープしているところは、大体、厳しい場所が多いんです。
ただ私はその事があったおかげで、私がマネジメントする立場になった頃には、私に反論する人を身近に置き重宝しました。常に自分の考えや姿勢を見直すためです。イエスマンで周りを固めたCさんの方法は理解はしてますが、同意したわけでは無いので。。自分自身がCさんみたいにならないよう随分警戒してました。保守的な職場を超短期で変革するCさんの方法に代わる提案は今でも私にはありませんね(^^!。多分、Cさんが正しかったのだと思う。。
真剣に考えていて口が悪いだけの人も居れば、本当に駄目な上司も居ます(^^!。嫌だと思った内容が自分のためになるか、どうかで判断するのが良いです。そこまで言わなくても。。という内容なら多分大丈夫です。言ってる事が、発言した当人ですら出来ないだろうという無責任でヒトゴトのような内容だったら理不尽だと判断してパワハラだと思って良いのでは無いでしょうか。単に厳しい事を言われたからパワハラと判断するのは早計でしょう。
(2012/12/14 記)
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