岩見沢等、札幌圏のカウンセリング相談

札幌|のっぽろカウンセリング研究室
トップページへ

トップページ >> コラム

抑うつという症状


 札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」です。抑うつとは心の痛みのことです。世の中はますます無痛社会に変貌を遂げつつありますから、わずかばかりの痛みも無くしてしまいたいと、負の感情がことごとく否定されるのかもしれません。商品名は伏せますが、以前アメリカではある抗うつ薬がドラッグ・ストアに並び、嫌な気分から解放される魔法の薬(そんなはずはありません)であるとブームになったこともあります。

 抑うつは様々な精神疾患に付随する症状であり、誰もが体験する気分の落ち込みでもあります。何か失敗するなど理由のあるものや、自分ではわけの分からない理由の無いものもあります。けれども、これだけは言えると思います。抑うつなる物質が体内にあるのではなく、落ち込んでいる人間が抑うつの振る舞いをするのが、いわゆる抑うつ症状なのだと。

 通常であれば、どんなに落ち込んでも、一週間から二週間もたてば再び元気は回復するでしょう。しかし、不眠がやまず、食べ物ものどを通らず、気分も落ち込むばかりで長引くようであれば、そのときは専門家の援助が必要であると思います。

 まずどこに行けばよいのか。カウンセラーらしからぬ答えかもしれませんが、私はまず精神科や心療内科を受診して服薬してみることをお勧めします。薬を飲むだけで心の痛みから解放されるのであれば、それに越したことはありません。体調がすぐれないときに薬を飲むのは、私たち現代人にとってもはや習慣なのですから。

 薬を飲むことと、カウンセリングを受けること、この二つを同時に行うのも効果的かもしれません。しかしながら、私が考えるのは、その抑うつに何か理由がある場合です。

 次は、症状としての抑うつとは少し違うと思うのですが、うつ病の話です。私が精神科に勤務していた頃は、うつ病と言えば内因性の重篤な方々ばかりでした。病状が最も深刻な時期には、病棟のベッドに横たわり、一点を見つめたまま身動きすらできない状態です。いわゆる昏迷の状態です。ところが、最近は新型うつ病などと言うことも言われるようになり、うつ病のカテゴリーが時代とともに変わりつつあるようです。

 スチューデント・アパシーなる言葉もあります。いわゆる五月病です。新型うつ病(正式な診断名ではありません)は、これと類似する病理であるような気がします。つまり、仕事や学業など、本業にかかわるところでは気分が落ち込んで無気力なのですが、それ以外では割と元気を保つのです。

 むかしむかし、フランスの精神医学者ピエール・ジャネがこんな趣旨のことを言いました。自分のやりたくない仕事をどれだけできるかが、精神的な健康度のバロメーターであると。これは、いまの時代の日本にも、十分に通用する言葉であると思います。以上、札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」でした。


関連記事


札幌や江別等、札幌とその近郊の精神衛生を求めて