祭 神 |
神社数 |
備 考(国学院大学研究グループの神社数) |
分社数
:「すぐわかる日本の神々」より(注) |
1 |
八幡 |
7、817 |
【八幡神、八幡大菩薩】/八幡神社、八幡宮、若宮神社、若宮八幡
、若宮社、正八幡、宇佐八幡など
/ |
2.応神(八幡系)
25,000社 |
都道府県別の分布は、多い順に兵庫450、岐阜445、愛知400、新潟390、静岡364、石川334、福井327、富山305、岡山296、千葉276、広島266、徳島257、福岡245、福島238、滋賀193・・・となる。
特別な例外を除き、ほぼ全国に勧請されている。
※平安中期以降、荘園制が発達し、石清水八幡宮・東大寺領などで盛んに勧請された。中世には武士が台頭し、清和源氏・その御家人などが各地に勧請した。農村においても災害・厄病守護として多く勧請された。
宇佐八幡弥勒寺、豊後柞原八幡宮、石清水八幡護国寺、鶴ヶ岡八幡宮寺、
筑前筥崎八幡宮、山城離宮八幡宮、河内誉田八幡宮、淡路賀集八幡護国寺、
讃岐石清水尾八幡宮、紀伊廣八幡宮、紀伊野上八幡宮、陸奥飯野八幡宮、
陸奥龍宝寺八幡、甲斐大井俣窪八幡宮、出羽阿久津八幡宮、丹波柏原八幡宮
摂津六条八幡宮、周防花岡八幡宮、近江長浜八幡宮、三河足助八幡宮
明治維新前の八幡社の実態は、八幡宮をいわば本堂とし、八幡神(八幡大菩薩)を本尊とする寺院の色彩が強いものであった。加えて、八幡社の経営は僧侶が
行い、護摩が焚かれ、神前では読経が行われ、多くの祭礼も仏式であった。そして大規模な八幡社に於いては、八幡宮の周囲に本地堂(薬師堂)、護摩堂、鐘楼、経蔵などの多くの仏堂及び仏塔が造営され、多くの社僧が奉仕するため、多くの坊舎が営まれた。要するに大規模な八幡社は一山多院制を
とる寺院というのが実態であった。 |
2 |
伊勢 |
4、425 |
【天照皇大神・豊受大神】/清明社、皇大神社、天祖神社、大神宮、神明社など/ |
3.天照(神明・天祖系)
18,000社 |
分布は新潟728、富山679、愛知599、岐阜457に偏在し、山形237以下東国に多く見られる。西日本では兵庫の53・・・大阪4、和歌山・島根・宮崎2、山口1、鳥取0である。
※鎌倉期以降、関東武士によって信仰され、東国に御厨・御園が成立し、その地に神明社が建立される。御師の活動も始まり、両部神道に対立する伊勢神道も成立し、御厨・御園を中心に講の組織も結成され、江戸中期以降庶民の間の参宮熱が高揚した。
但し、「伊勢は国家総鎮守」といった宣伝は近世国学者の妄想であり、政治的意図を持った国家神道の捏造であることは留意しておかねばならない。
また国家神道により地主神社が神明社に捏造されたケースも多いとも思われ、これにも注意が必要と思われる。 |
3 |
菅原道真 |
3、953 |
【天神、天満宮】/天満、天神、菅原神社、北野神社、老松神社など/ |
4.菅原道真(天神・天満系)10,441社 |
分布は九州に4割、西日本では7割を占める分布。福岡672、大分398、佐賀272、兵庫186、高知146、熊本122、岐阜118、静岡103・・・・・
筑前安楽寺天満宮、山城北野天神、防府松崎天神、河内道明寺天神
明治維新前の天満宮の実態は、上述の八幡宮の実態とほぼ同一と思われる。 |
4 |
稲荷 |
2、970 |
【稲荷大明神】/稲荷、宇賀など/
《「別冊太陽 日本の神 68」では:稲荷32、000社》 |
1.宇賀之御魂(稲荷系)32,000社 |
分布は福島327、東京177、千葉173、兵庫173、茨城165、山形164、埼玉159、新潟152、青森137・・・・神明社ほどではないが、東国に偏在する。
平安期には山城教王護国寺の鎮守となり、真言宗の伝播とともに信仰が広まった側面もある。山城伏見稲荷社愛染寺は明治の神仏分離で廃寺となる。
山城教王護国寺 |
5 |
熊野 |
2、693 |
【熊野権現、十二社権現、十二権現】/熊野、王子、十二所、十二社、若一王子など/ |
10.熊野(熊野系)
3,079社 |
分布は福島283、千葉235、新潟143、山形123、兵庫107、静岡103、福岡102、愛知101・・・東国の数が相対的に多い。
備前熊野十二所権現、攝津平野熊野権現、紀伊東光寺、信濃若一王子 |
6 |
諏訪 |
2、616 |
【諏訪大明神】 /諏訪社、南方神社(鹿児島)など/ |
8.建御名方(諏訪系)
5,073社 |
分布は新潟888、長野376が突出し、福島128、山梨106、群馬100・・・北陸・南東北・関東に多く分布する。中世以降軍神として多くの武将によって信仰される。特に信濃守護であった北条氏によって東国各地に勧請される。
信濃諏訪明神・諏訪上社下社・・・上社・上社にはそれぞれ大規模な神宮寺が存在した。 |
7 |
牛頭天王 |
2、299 |
【祇園社、祇園大明神】
、《「別冊太陽 日本の神 68」では:牛頭天王 八坂神社2600社、津島神社3000社》
/祇園社、明治の神仏分離で八坂(八阪)、須賀、八雲、津島、素戔嗚(スサノウ)、須佐、素鷲、天王、祇園、武大などと牛頭天王社は全て改号され、徹底的に痕跡を抹消される。 |
7.素戔嗚(津島・祇園・氷川系)5,938社
※氷川系の祭神は確かにスサノヲではあるが、牛頭天王ではなく、元来は出雲系であるので、津島・祇園と氷川は区別すべきであろう。
(氷川系の神社数は本項の番外を参照:5、6百を限度とする数百社程度であろう。) |
1)都道府県別の分布は、多い順に兵庫203、千葉166、愛知135、岐阜131、福島124、静岡122、福岡119、茨城108・・・と続き、全国に分布する。
2)神社名によって、牛頭天王の神社数を集計する訳であるが、集計対象の神社は次の通りである。
明治維新の国家神道の暴戻によって、牛頭天王は八坂神社、祇園神社、津島神社などのほか、祭神のスサノヲに因み、八雲・須賀・須佐・素戔嗚神社などに改竄される。
八坂神社(社名数10位、1054社)、須賀神社(35位、287社)、
八雲神社(43位、221社)、津島神社(47位、198社)、素戔嗚神社(64位、129社)、
八阪神社(78位、95社)、八坂社(117位、56社)、津島社(121位、55社)、
須佐神社(150位、44社)、須鵞神社(181位、36社)、 須佐之男神社(196位、31社)、天王神社(241位、25社)、
祇園神社(253位、24社)、素戔嗚神社(264位、23社)、武大神社(282位、21社) である。
武大神社の21社は兵庫、京都、徳島に分布、祭神:スサノヲ、クシナダヒメが多い
スサノヲは進雄神社(社数集計ない)と表記の場合もある。
3)牛頭天王は(一般的には)祇園精舎の守護神といわれ、日本では疫病除災神とされ、御霊信仰と結びつき平安期以降全国に勧請される。
4)牛頭天王社
京都祇園感神院、津島牛頭天王社、廣峯牛頭天王(廣峯山)、諸国の牛頭天王
5)八王子社 牛頭天王の8人の王子を祀った八王子社も一定程度分布する。
王子神社、八柱神社(各々149社)なども牛頭天王の眷属である。 |
8 |
白山 |
1、893 |
【白山妙理大菩薩、白山権現】/白山神社など/ |
12.菊理媛(白山系)
2,717社 |
加賀馬場白山寺、越前馬場平泉寺、美濃馬場長瀧寺を拠点とする。
分布は岐阜345、福井310、石川223で半数、新潟188、愛知154.・・・北陸・中部に偏在する。
美濃白山中宮長滝寺、越前白山平泉寺 |
9 |
日吉 |
1、724 |
【山王権現】/日吉、日枝、八王子、山王など/ |
9.大山咋(日枝・山王系)4,913社 |
分布は滋賀116、福岡109、新潟109、福井105、石川102、千葉98・・・全国に展開する。比叡山の勢力展開とともに勧請され、分布も比叡山の荘園や末寺に対応すると考えられる。
比叡山延暦寺山王権現、美濃神戸山王権現 |
10 |
山神 |
1、571
(内十二神社438) |
素朴な山の神・田の神の信仰か、この集計数字は良く分からない。/山神社、山神神社、十二神社、十二社、山祇神社/ |
. |
分布は新潟424(大半は十二神社)、山形128、大分124、福島119、静岡115・・・以上が突出する。
※現状、大山祇を祭神(新潟の十二社<越後の場合は熊野権現ではない>も同様)とする場合が多いが、これは明治の国家神道の付会である。元々は素朴な信仰であり、記紀の神々とは関係がないのである。 |
11 |
春日 |
1、072 |
【春日大明神】
、《「別冊太陽 日本の神 68」では:春日1300社》/ |
11,天児屋(春日系)
3,000社 |
分布は奈良136、福井103、兵庫81、岐阜70・・・全国に分布する。
古代・中世に藤原氏・興福寺の荘園・寺領に勧請される。
大和興福寺・春日社 |
12 |
愛宕 |
872 |
【愛宕大権現】 |
. |
分布は福島103、栃木83、兵庫70、茨城65、京都63・・・やや東国に多い。なお長野、愛知、岐阜などは秋葉大権現の分布が多い。
戦国期本地将軍地蔵が武将によって信仰され、愛宕修験の活躍とともに全国に広まったと考えられる。 |
13 |
三島・大山祇 |
704 |
【三島
社・大山祇社】/この集計数字は伊豆三島社と伊予大山祇社の2系統の合計数字と云う。但し10.山神との関係は良く分からない。左の5.大山祇10,318社
は山神と三島・大山祇3者の合計数字とも思われる。 →下の欄外に掲載の 2022/08/05追加:
◇【三島社・大山祇社】神社祭神数 を参照。 ・神社数: 411社:出典・神社本庁「全国神社祭祀祭礼総合調査」
1299社:出典・大三島大社講「大三島宮」 ・・・とカウントされている。 |
5.大山祇(大山祇・三島系)10,318社 |
分布は愛媛116(三島系)、福岡67(大山祇・三島系)、福島54(大山祇・三島系)、新潟49(大山祇・三島系)、高知45(大山祇・三島系)、静岡38(三島系)・・・四国・九州、関東・東北に多く分布する。
伊予三島大明神、伊豆三島社 |
14 |
鹿島 |
604 |
【鹿島大明神】/ |
. |
茨城305、福島74、栃木47・・・北関東・東北南部に集中する。常陸に集中。
{水戸藩の神社合祀政策を特に「八幡改め」と称する。これは旧主佐竹氏が尊崇した八幡社を破壊し、水戸家が崇拝する鹿島社に置き換えることを企図したものである。
}
常陸鹿島神宮 |
15 |
金毘羅 |
601 |
【象頭山松尾寺金光院・金毘羅大権現】
/金毘羅大権現は象頭山松尾寺が仏法守護神金毘羅を鎮守として勧請したことに始まる。江戸中期から海上安全の神として隆盛し、各地で金毘羅講も組織され庶民層にも広がりを見せる。 |
13.大国主・大物主(出雲)2,151社 |
分布は香川76、高知52、長崎44、岐阜37、兵庫32・・・全国に分布するが、西國に多く分布する。
讃岐金毘羅大権現、阿波木津上浦金毘羅権現(阿波長谷寺) |
16 |
住吉 |
591 |
【住吉大明神】/ |
15.住吉三神(住吉系)
2,000社 |
分布は兵庫104・・・大阪沿岸、瀬戸内・北陸沿岸が多いが、全国に均一に分布する。
摂津住吉神宮寺 |
17 |
大歳 |
548 |
大歳、大年/実態が良く分からない。/ |
. |
分布は兵庫376(播磨東部・丹波南部・淡路)、広島62、鳥取25、福岡25・・・でほぼ全てとなる。 |
18 |
厳島 |
530 |
【厳島大明神】/厳島、市杵島 |
6.宗像三神(宗像・厳島系)8,500社 |
分布は広島56、兵庫40、高知31、福岡31・・・西国にやや多いが、全国に分布する。
安芸厳島 |
19 |
貴船 |
463 |
【貴船大明神】/貴船、貴布禰/ |
. |
分布は福岡140、大分94・・・左記2県に集中し、全国的に各県少数づつ分布する。 |
20 |
香取 |
420 |
【香取大明神】/ |
. |
分布は茨城207、埼玉114、千葉67、東京14・・・に集中し、他では皆無に等しい。
下総江戸川流域に集中する。
下総香取神宮 |
21 |
恵比寿 |
408 |
蛯子、恵美寿、恵比寿、西宮神社、事代主神社、長田神社/
分布は西国に偏重し、東国では少数が万遍に分布する。 |
. |
22 |
浅間 |
397 |
【浅間大菩薩・富士権現】/浅間、富士
分布は静岡82、千葉67、茨城40・・・東海・山梨・関東に偏重する。
駿河富士山本宮、駿河富士新宮、甲斐北口本宮 |
17.木花咲耶媛(浅間系)
1,316社 |
23 |
秋葉 |
362 |
【秋葉山大権現(三尺坊大権現)】/
分布は岐阜79、愛知75が突出し、東国に多く(西国は少数)分布する。
遠江秋葉寺 |
16.火之迦具土(秋葉・愛宕系)1,600社 |
24 |
荒神 |
317 |
この神は様々な性格を持ち、本質は良く分からない。
分布は広島113、兵庫59、岡山59・・・中四国に多く分布する。 |
. |
25 |
賀茂 |
277 |
【賀茂大明神】/賀茂、加茂 |
. |
分布は兵庫28など、全国に分布する。
山城賀茂社(上社・下社)、播磨室明神 |
水神 |
277 |
本来は山神と同様に素朴な自然崇拝と思われるも、明治の復古神道によって祭神が記紀神話の神とされたケースも多いものと思われる。
分布は千葉74、静岡41、茨城31など東国に多い。 |
. |
. |
-- |
白髭・白鬚 |
267 |
東国を中心に全国に広く分布、猿田彦を入れると、さらに社数は多くなる。 |
. |
-- |
氷川 |
228 |
武蔵に集中。埼玉133、東京65・・・
《「別冊太陽 日本の神 68」では:》
埼玉162社、東京59社(この数値の出典は大宮氷川神社社家の出である西角井正慶の調査と思われる。) |
↑ 7.素戔嗚の項 |
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石動五社権現 |
207 |
石動神社52、石動社20、五社神社97、五所神社38、新潟・越中・能登を中心に分布。
ただし、五社・五所神社には多少西国筋にも分布し、西国筋の祭神は石動とは別の系統と思われる。
能登石動五社権現 |
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-- |
御嶽 |
205 |
東国を中心に広く分布 |
. |
-- |
河内 |
202 |
高知、山口、広島を中心に分布 |
. |
-- |
星宮 |
190 |
栃木に集中、千葉、茨城にも分布
村松虚空蔵堂(日光寺) |
. |
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加藤清正 |
149 |
2023/06/06追加: 清正公を祀る神社は149社(一部海外を含む)である。ほぼ「武士神格化一覧」(「武士神格化の研究」高野信治、吉川弘文館、2017 所収と推定)から抽出。但し、全てが網羅されている訳ではない。
→清正公を祀る主要神社一覧
なお、寺院に祀る場合が多く、全てを網羅している訳ではないが、その数は235ヶ寺が確認されている。(「日蓮宗寺院大鑑」池上本門寺 から集計、ほぼ全てが日蓮宗寺院に祀られ、清正公堂などの堂宇の本尊である場合も多いが、本堂の脇檀などに祀られている場合などもある。)
→清正公を祀る主要寺院一覧 |
→清正公信仰
→清正公を祀る主要寺院一覧/神社一覧
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徳川家康 |
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現存するのは約130社という。
久能山、日光東照宮が嚆矢であるが、その後、各地の徳川・松平一門大名、譜代大名や徳川家と縁戚関係がある外様大名も競って東照現権を建立し、全国で500社を超える東照宮が造られたという。(廃絶されたものを含めると約700社が確認されているともいう。)
現在では、徳川幕府崩壊・明治維新以後の廃仏毀釈などもあり、廃社や合祀が相次ぎ、現存するのは約130社という。
出所:Wikipedia「東照宮」 より |
→東照権現・東照宮 |
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熱田 |
60 |
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14.熱田(熱田系)
2,000社 |
◇{祭神が八幡神、天神、熊野権現、牛頭天王などを祀る社では、明治維新前までは、神社というより実態は寺院であるといったほうが適切である社が多数を占めることが見てとれる。
特に'大社'であればあるほどその傾向は強かったと思われる。
またさらに、白山、日吉、春日、愛宕、金毘羅、秋葉、石動などを加えれば、社僧・寺院が実権を握り祭祀した社あるいは寺院の鎮守的な地位であった社が大多数を占めていたことも見えてくる。
}
◇{明治の神仏分離の過程を経て、国家神道の成立で、出雲神道系などの信仰が否定され衰退し、また、多くの祭神が、地主神や氏神から「古事記」「日本書紀」などの皇統譜につながる神々に付会され、祭神変更が強引になされたケースが極めて多かったことも考えあわせると、現今、神社と称するものの多数の実態は依然として「国家神道」そのものが見事に「保存」されているというべきであろう。
}