独断的JAZZ批評 733.











JAZZ雑感(20) manaの選ぶ2011年 PIANO ALBUM BEST 5+α

今年3月には未曾有の東日本大震災を被災し、それからの1ヶ月間はまったくジャズを聴く気にもなれなかった。
従って、今年のCDレビューは64枚と昨年と一昨年の71枚から10%ダウンとなった。
5つ星に選定したアルバム点数も20枚と昨年の25枚から5枚も減った。
しかしながら、好印象のアルバムが多く、結局、3つに絞れずベスト5を選定することにした。

< PIANO ALBUM BEST 5 >  レビューの日付順 (画像をクリックするとレビューにリンクします)
この1枚 TITLE / PERSONNEL ひとくちコメント
3月 "LIVE IN MARCIAC"
p:BRAD MEHLDAU
2006年8月 ライヴ録音
録音年月日はちょっと古いが今年リリースされた2枚組み。フランスMARCIACのジャズ・フェスティバルにおけるピアノ・ソロによるライブ録音。
現代最高のジャズ・ピアニストであることを証明した。
8月 "INNER VOICES"
p:高田 ひろ子
b:安ヵ川 大樹
ds:橋本 学
2010年3月 スタジオ録音
日本人であることを再認識させるアルバム。
高田〜安ヵ川〜橋本のアンサンブルが素晴らしい。まるで、朝採りのトマトのように瑞々しい。
2008年録音の"FOR A NEW DAY"も甲乙点け難い良盤。
 10月 "ORVIETO"
p:CHICK COREA
p:STEFANO BOLLANI
2010年12月 ライヴ録音
まさに"ONE piano player with four hands"なのだ。
即興演奏の楽しさと、あたかも、一人のピアニストが4本の手で弾いているのではないかという完成度の高さを見せ付けてくれる。 
11月 "SOMETHING BEAUTIFUL"
p:ERIC REED
b:RUEBEN ROGERS
ds:RODNEY GREEN
2009年12月 スタジオ録音
 
久しぶりの黒人ピアノ・トリオの傑作。
先ず、ジャケット・デザインが良い。ジャケットからジャズが流れてくるもの。
静かに深く、温かい。温めの風呂に浸かっているような・・・。心の芯まで温まる。
11月 "LIVE AT THE BIMHUIS"
as,bcl:JORIS ROELOFS
p:AARON GOLDBERG
b:JOE SANDERS
ds:GREGORY HUTCHINSON
2009年12月 ライヴ録音
ジャズの世界では馴染みの薄いバス・クラリネットの魅力を存分に引き出している。
その美しい音色と溢れんばかりの歌心は人を魅了してやまないだろう。
未だ27歳、末恐ろしいほどの才能と言えるだろう。
< BEST ALBUM + α > レビューの日付順
'11年
12月
"VARIATIONS"
p:YARON HERMAN
2005年10月 スタジオ録音
リリースされたのは随分と前だったが、2010年のベスト・アルバムを書いた直後にゲットした。もう1週間早くゲットしていれば2010年のBEST 3に選定した。"FOLLOW THE WHITE RABBIT"と入れ替わっていたかも・・・。
 1月 "DANNY BOY"
p:EDWARD SIMON
b:PHILIP DONKIN
ds:STEPHEN KEOGH
2009年8月 スタジオ録音
 
何気に、そして、普通に素晴らしいアルバム。
まさに自然体。
こういうアルバムは何年経とうが色褪せることがない。
 5月 "NATSUKASHII"
p:HELGE LIEN
b:FRODE BERG
ds:KNUT AALEFJAER
2010年9月 スタジオ録音
力強く、美しい。そして、見事なアンサンブル。
HELGE LIEN TRIOの集大成といっても良いアルバム。
9月 "VAGEN"
p:MARTIN TINGVALL
b:OMAR RODRIGUEZ CALVO
ds:JURGEN SPIEGEL
2011年5月 スタジオ録音
圧倒的な躍動感とダイナミズム。更には牧歌的な美しさが魂を揺るがしてくれる筈。
10曲目に入ったオーケストレーションも聴き逃せない。次にはどんな演奏を披露してくれるのだろう?
12月 "FRACTAL"
ts,ss:MARIUS NESET
p:MAGNUS HJORTH
b:PETTER ELDH
ds:ANTON EGER
2008年12月 スタジオ録音
数えない、考えない。肌で受け止め、肌で感ずるジャズ。
北欧の若手ミュージシャンが、知性と野性の渾然一体となった演奏を聴かせる。
JAZZ雑感(18) 2010 PIANO ALBUM BEST 3 + α
JAZZ雑感(17) 2009 PIANO ALBUM BEST 3 + α
JAZZ雑感(16) 2008 PIANO ALBUM BEST 3 + α
JAZZ雑感(15) 2007 PIANO ALBUM BEST 3 + α
JAZZ雑感(14) 2006 PIANO ALBUM BEST 5 + α
JAZZ雑感(13) 2005 PIANO ALBUM BEST 3 + α
JAZZ雑感(10) 2004 PIANO ALBUM BEST 4 + α
JAZZ雑感( 9)  2003 PIANO BEST ALBUM

最後に、僕のアルバム・レビュー時の採点基準を載せておこう。
アルバム・レビューの基準は「躍動感、緊密感、美しさ」 更に、一体感とか昂揚感とか緊迫感が香辛料のようにスパイスされたら言うことはない。


・★★★★★
・・・・大満足。一生のお付き合いだ。
・★★★★☆・・・・満足。充分楽しめる。5つ星との差はわずか。
・★★★★・・・・・・普通。最近はほとんど聴き返すことがないので買取に出している。
・★★★☆以下・・所有価値なし。多分、二度とトレイに載ることはないだろう。CDケースの肥やしとなるよりは気に入ってくれる人に選ばれたほうがディスクもうれしいだろう。中古の買取へ。

(2011.12.15)




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