JAZZ雑感(18) manaの選ぶ 2010年 PIANO ALBUM BEST 3 +α | |||
独断的JAZZ批評のページが667まで来た。目標としている1000ページに対し、丁度、2/3まできたということだ。これまでに要した時間が約9年半。順調に今のペースで行っても1000に達するまでにあと5年かかる。気の長い話だ。細く長くやっていければ良いけれど・・・。 2010年、(昨年の12月16日から今年の12月15日までに)僕が購入し、「独断的JAZZ批評」にピックアップしたアルバムは全部で71枚(昨年も同じ71枚)。そのうち、「厳選入り=星5つ」が25枚(これまた、昨年も25枚)。従って、今年の打率は昨年と同じ3割5分2厘。全く意識はしていなかったのであるが、聴いた枚数も、5つ星の数も昨年と全く一緒というのは偶然にしては出来すぎた結果だ。 ともあれ、これからあと5年、同じようなペースでジャズが聴き続けられたら、こんな幸せはないだろう。 では、厳選25枚の中から今年のベスト・アルバム、10枚を紹介しよう。 25枚の中から第1段階で10枚ぐらいを選び、さらに第2段階でBEST 3 を選ぶという手順で進めた結果が以下の通り。と言っても、これら25枚のアルバムの差は僅差。鉛筆を転がして決めたのに近い。 今年の傾向としては日本人プレイヤーの活躍が目立った。10枚中7枚で日本人プレイヤーが何らかの形で参加している。厳選(5つ星)に選んだ25枚の中を見ても15枚もある。その要因のひとつは、僕自身がライヴハウスに足を運ぶようになって日本人プレイヤーの素晴らしさを再認識したということが大きいのかもしれない。 ベスト 3 では5月にレビューしたKEITH JARRETTの"JASMINE"を挙げたい。KEITHのデュオというフォーマットは珍しいのでは?相方がCHARLIE HADEN。デュオの名手と言えるでしょう。PAT METHENYとかKENNY BARRONとの名盤もある。ナチュラルにしてシンプル。何の気負いも誇張もない。優しくて温かくそっと包み込んでくれるような・・・。 次が8月にレビューした日本人ピアニスト・大石学のトリオ。澤野工房100枚目の記念すべきアルバムに日本人プレイヤーを持ってきた眼力に敬服。上質感とか品格の漂う演奏が素晴らしい。ベースにJEAN-PHILIPPE VIRETを絡ませたあたり、澤野の面目躍如といったところか。 3枚目がつい最近購入し、ぶっ飛んでしまったYARON HERMANのトリオ。初めて聴いたが、遅きに失したという想いがある。一人一人の技量や豊かなイマジネーションに留まらず、3者のアンサンブルが素晴らしい。慌てて、ソロ・アルバムの"VARIATIONS"を購入して今聴いているが、これも素晴らしい。もう1週間早ければこの10枚の中に入っていただろう。 画像をクリックすると「独断的JAZZ批評」にリンクします。 |
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< PIANO ALBUM BEST 3 > (レビューの日付順) | |||
この1枚 | TITLE / PERSONNEL | ひとくちコメント | |
5月 | "JASMINE" p:KEITH JARRETT b:CHARLIE HADEN 2007年3月 スタジオ録音 |
KEITHのアルバムとしては珍しいデュオ・アルバム。ベースにはデュオの名人、C. HADEN。シンプルにしてナチュラル。優しくて温かい。心洗われ、心に沁みるアルバム。何十年聴いても聴き飽きることがないだろう。 | |
8月 | "WISH" p:大石学 b:JEAN-PHILIPPE VIRET ds:SIMON GOUBERT 2010年5月 スタジオ録音 |
澤野工房、100枚目のアルバムは乾坤一擲の日仏合同作品。ベテラン・ピアニスト、大石学にスポットライトを当てた澤野工房の眼力に敬服。澤野工房はこういう路線で行って貰いたいと僕は願う。 | |
12月 | "FOLLOW THE WHITE RABBIT" p:YARON HERMAN b:CHRIS TORDINI ds:TOMMY CRANE 2010年6月 スタジオ録音 |
噂に違わぬYARON HERMAN!HERMANのみならず、3人がいずれも20歳代でありながら、技量、イマジネーションに加え、奏でるアンサンブルが素晴らしい。次世代を担うグループであることは間違いないだろう。 | |
<BEST ALBUM +α > (レビューの日付順) | |||
2月 | "SOMEDAY. LIVE IN JAPAN" p: MAGNUS HJORTH b:PETTER ELDH ds:池長一美 2009年6月 ライヴ録音 |
MAGNUSとELDHが池長と組んだジャパン・トリオの白熱ライヴ。「ジャズの原点はライヴ・ハウスにあり」ということを再認識させてくれた。以来、僕は定期的にジャズ・ハウスに足を運ぶようになった。ジャズに対する熱い想いが凝縮している。 | |
3月 | "QUIET THRILL" p:後藤浩二 b:岡田勉 ds:江藤良人 2009年3月 スタジオ録音 |
「剛」の岡田、「キレ」の江藤をサポートに、後藤のピアノは時に「静」であり、時に「激」であった。ビートルズ・ナンバーの"THE FOOL ON THE HILL"の演奏にも是非、注目して欲しい。 | |
4月 | "THE COMPOSERS T" p:嶋津健一 b:加藤真一 ds:岡田佳大 2009年6月 スタジオ録音 |
スタジオ録音でありながら、ジャズの即興性と緊張感を演出するためにスタジオ内にぎっしりのオーディエンスを入れて録音されたという。迫力満点でありながらも決して邪魔にならない岡田佳大のドラミングにも注目したい。"U"もお勧め。 | |
"BALLAD OF LYRICS" p:村山浩 b:安ヵ川大樹 ds:PHILIPPE SOIRAT 2008年7月 スタジオ録音 |
活動の拠点をフランス・パリに移した村山浩がベースに安ヵ川を、ドラムスにPHILIPPE SOIRATを迎えたトリオ・アルバム。小気味の良いピアノ・タッチとアコースティックなベースを堪能いただきたい。 | ||
7月 | "MODERN ROMANCE" p:DAVE PECK b:JEFF JOHNSON ds:JOE LA BARBERA 2007年9月 ライヴ録音 |
「ああ!良いジャスを聴いたなあ」という充足感に満たされる好演盤。ライヴ録音にもかかわらず、ひたすら自分たちのスタイルを貫いている。芳醇で馥郁たる香りのする極上の日本酒のような味わい。 | |
8月 | "PRAY" p:熊谷ヤスマサ b:川村竜 ds:小森耕造 2010年2月 スタジオ録音 |
熊谷ヤスマサと川村竜を語る上で、この2枚のアルバムは欠かせない。どうせ聴くのなら2枚セットで聴いてほしい。オリジナルを中心としたトリオ・アルバムとスタンダードを中心としたデュオ・アルバム。両方を聴くことによって、熊谷と川村の凄さがより強く認識できる。日本にも将来有望な若手が輩出してきたなあと思わせる2枚。今後の活躍にも目が離せない。 | |
"OL'S SCHOOL JAZZ" p:熊谷ヤスマサ b:川村竜 2009年9月 リリース |
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●JAZZ雑感(17) 2009 PIANO ALBUM BEST 3 + α |