独断的JAZZ批評 694.

HELGE LIEN
力強く躍動し、そして、美しい
"NATSUKASHII"
HELGE LIEN(p), FRODE BERG(b), KNUT AALEFJAER(ds),
2010年9月 スタジオ録音 (OZELLA : OZ 036 CD)


このタイトルには驚いた!なんと、「懐かしい」ではないか。HELGE LIENは日本語のタイトル名を付けるほど日本との関わりが強いということなのかも知れない。因みに、LIENの傑作のひとつである"TO THE LITTLE RADIO"(JAZZ批評 342.)は日本のdisk unionが主宰するDIWレーベルより発売されている。
LIENのアルバムの中では2000年録音の"WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE"(JAZZ批評 228.)と前述の2006年録音の"TO THE LITTLE RADIO"が印象深い。前者の半分「捨て曲」、半分「一発ガツン」的な演奏の面白さと、後者のリリシズム溢れる演奏は好対照であり、各々捨て難い良さを持っている。
今回のアルバムでは全ての曲がLIENのオリジナルだ。そして、その1曲、1曲がみな素晴らしい。
さあ、これから始まる"HELGE LIEN'S WORLD"をじっくりとご堪能いただきたい。
余談だが、"TO THE LITTLE RADIO"のレビューを書いてからもう5年の歳月が流れる。時の流れの速さに驚き、慄くばかりだ。

@"NATSUKASHII" ちょっと日本唱歌のような親しみを感じる佳曲。
A"AFRIKAPOLKA" 
この躍動感が堪らない。単純明快、難しいことは必要ない・・・そういう感じ。3人の一体感、緊密感も申し分ないね。これ!これ!このアンサンブルに酔い痴れたい。願わくば、大音量で聴くことをお勧めしたい。
B"BON TEMPI" 
前曲に続いて、ピアノ、ベース、ドラムスのアンサンブルを堪能しよう。
C"E" 
ピアノで始まる躍動感にベースとドラムスが加わり更に高揚していく。ベースからピアノの順にソロを執り、再度、クライマックスに向けて駆け上っていく。ジャズって楽しい!
D"SCEADU" 
凄い迫力で迫るピアノ。その間を縫うベースのアルコ。重く、そして、力強い。とても強く胸に刻まれる演奏。ここに、LIENあり。
E"MELES MELES" 
哀愁を帯びた美しいテーマ。3者のアンサンブルが光る。何気ないけど実に美しい。
F"HYMNE (TIL JARL ASVIK)"
 静かな出だしから軽快なワルツを刻みだす。BERGのソロが歌っている。続くLIENのピアノも珠を転がすようないい音色だ。最後は躍動感たっぷりに終わる。
G"UMBIGADA" 
こいつは面白いテーマだ。抜群のアンサンブルなればこそ。
H"SMALL NO NEED" 
ベースが定型パタンを刻む変拍子。しかし、よくもこんなに難しいリズムを刻めるものだ。彼らの頭の中はどうなっているのだろうか?いや、多分、頭では考えていないのだろう。
I"LIVING IN DIFFERENT LIVES"
 
最後は非常に聴き易い曲で締めた。

このアルバムは、"WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE")の一発ガツン的な面白さと"TO THE LITTLE RADIO"における美しいリリシズムの両方を兼ね備えたアルバムと言えるだろう。力強く躍動し、そして、美しい。ある意味、HELGE LIEN TRIOの集大成と言っても過言ではないと思いながら、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2011.05.19)

試聴サイト : http://www.gubemusic.com/?album=19760



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