独断的JAZZ批評 678.

EDWARD SIMON
「ボロは着てても心は錦・・・」
"DANNY BOY"
EDWARD SIMON(p), PHILIP DONKIN(b), STEPHEN KEOGH(ds)
2009年8 スタジオ録音 (KSP : 自主制作)


EDWARD SIMONのアルバムは今までに3枚紹介している。録音年の古い順に言うと、最初が2004年録音の"SIMPLICITAS"(JAZZ批評 384.)でメンバーにはAVISHAI COHEN(b)とADAM CRUZ(ds)が参加していた。次が2006年録音の"UNICITY"(JAZZ批評 376.)と2008年録音の"POESIA"(JAZZ批評 564.)であるが、いずれもベースにJOHN PATITUCCIとドラムスにBRIAN BRADEを迎えた豪華メンバーだった。意外や、5つ星をつけたのが"SIMPLICITAS"で、必ずしも豪華メンバー揃いのアルバムが最高点を点けるとは限らない好例であろう。
そういう意味ではこのアルバムも同様。全く耳に新しいプレイヤーである。調べてみるとドラマーのSTEPHEN KEOGHはアイルランドの重鎮だという。なるほど、それでアイルランド民謡が2曲挿入されていたのだ!

@"DANNY BOY" この曲はアイルランド民謡だったのだ。しっとりと歌い上げるSIMONのピアノが素晴らしい。なんていうか、肩の力が抜けていて、それでいて表現力に溢れているというか・・・。心に沁みるなあ。
A"HOW DEEP IS THE OCEAN" 
ミディアム・テンポの4ビートに乗って躍動していく。ジャズの王道を行く心地よさと言ったら大袈裟だろうか?いや、そんなことはないでしょう。
B"I FALL IN LOVE TOO EASILY" 
大好きな曲。DONKINの重低音がアクセント。華美な装飾もない、饒舌多弁な弾き過ぎもない、自然体の演奏に好感が持てる。
C"MONK'S DREAM" 
T. MONKの書いたブルージーな歌モノ。ひょうきんでグルーヴィな演奏がいいね。
D"MATRIARCH" 
イギリスのベーシスト、DONKINの書いたしっとりとした佳曲。このDONKINは質実剛健で良いベーシストだと思う。このSIMONにはピタリと嵌ったプレイヤーだ。
E"BIRTHDAY SAMBA" 
F"BLAME IT ON MY YOUTH" 
この曲も大好きな曲のひとつ。この演奏がまた良い。何ていうのかなあ、華美な装飾や余分なものが一切ない無垢な状態と言ったらいいだろうか?原曲の良さがそのまま表れている感じ。何回も繰り返して聴きたくなるし、何回聴いても飽きない。
G"SHE MOVED THROUGH THE FAIR"
 この曲もアイルランド民謡だという。少々冗漫で起伏に乏しいのが残念。

このアルバムは自主制作盤だという。なんともチープでペラペラのジャケットに、CDは剥き出しでセットされていた。付属にCD用保護袋が付いていたが、これは多分、輸入元あたりで後から付けられたものだろう。いかにも自主制作盤というチープさなのだが、中身のCDの内容は本当に素晴らしい。「ボロは着てても心は錦・・・」って言うような感じだ。しかし、何故にこういう素晴らしいCDが自主制作でないと世に出せなかったのだろうか?不思議でならない。EDWARD SIMONには豪華絢爛のメンバーを揃えるよりも、こういう自然体のメンバーが合っている。それゆえの自主制作だったのだろうか?疑問は尽きない。
肩の力の抜けた自然体と言ったらいいのだろう。何気に、そして、普通に素晴らしいのだ。こういうアルバムは何年経っても色褪せることがないと思いつつ、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2011.01.30)

試聴サイト :  http://www.cdbaby.com/cd/edwardsimon4