独断的JAZZ批評 453.








JAZZ雑感(15) 
              manaの選ぶ 2007年 PIANO ALBUM BEST 3

2007年、(昨年の12月中旬から今年の12月中旬まで)僕が購入し、「独断的JAZZ批評」にピックアップしたアルバムは全部で66枚(昨年は68枚)。そのうち、「厳選」入りが26枚(昨年と偶然にも同数)。打率、3割9分4厘は昨年の3割8分2厘を若干上回った。
今年は7月にサラリーマンをやめて自営業に転職した関係もあって、店頭での試聴の機会が減った。通勤時間もなくなったので携帯オーディオで聴くこともなくなった。従って、ジャズを聴いている時間は大幅に減ったかも知れない。尤も、毎日の試聴は欠かしたことがないが・・・。

今年は「この1曲!」に値するアルバムを3枚、ピックアップしてみた。アルバムとしても勿論素晴らしいが、その中でも燦然と光り輝く1曲をピックアップした。

今年の特徴としては日本人プレイヤーのアルバムが数多くピックアップされたことだろう。亡くなった本田竹広のほかに北川潔、小曽根真、岩崎佳子・・・。同じ日本人としてとてもうれしい。来年も頑張って欲しい。

選定の基準は「躍動感、緊密感、美しさ」。更に、一体感とか高揚感とか緊迫感が香辛料のようにスパイスされたら言うことはない。

僕の採点基準を載せておこう。
・★★★★★
・・・・大満足。一生のお付き合いだ。
・★★★★☆・・・・満足。払った金以上の価値はあり。
・★★★★・・・・・・普通。稀には聴き返すこともあるだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★★★☆以下・・多分、二度とトレイに載ることはないだろう。書棚の肥やしとなるよりは気に入ってくれる人に選ばれたほうがディスクもうれしいだろう。中古の買取へ。
以上、星4つがボーダーライン。

では、厳選26枚の中から今年のベスト・アルバム、9枚を紹介しましょう。

画像をクリックすると「独断的JAZZ批評」にリンクします。赤字がリーダー。

<PIANO TRIO ALBUM BEST 3> 
この1枚 TITLE / PERSONNEL ひとくちコメント
1 “HOMECOMING”
TRIOTONIC
p:VOLKHARD IGLSEDER
b:HORST "SANDY" SONNTAGBAUER
ds:BERNHARD WITTGRUBER
2005年?月 スタジオ録音
JAZZ批評 424.
珍しいオーストリアのグループ。が、これは凄い。
透明度が高くて端正な演奏スタイルである。
全てをオリジナル曲で固めた意欲的なアルバム。曲が良くて3人の力量も、バランスも良いとなれば、これは花丸でしょう。
いわゆる4ビート・ジャズではないが躍動感、美しさ、緊密感が横溢している。従来型にとらわれない新しいサウンドが素晴らしい。新しいピアノ・トリオの未来を予感させる。
2 "SAUSOLITO"
p:INAKI SANDOVAL
b:HORACIO FUMERO
ds:PEER WYBORIS
2005年4月 スタジオ録音
JAZZ批評 401.
スペインの若手ピアニストだという。
1.タッチが明るくて瑞々しい
2.「間」を持っている
3.そして、歌心がある
今年の「掘り出し物」的アルバム。
3 "I'M STILL HERE"
p:DANNY GRISSETT
b:
KIYOSHI KITAGAWA
ds:BRIAN BRADE
2007年2月 スタジオ録音

JAZZ批評 448.
ピアノがKENNY BARRONからDANNY GRISSETTに替わって、凄く刺激的なアルバムになった。全曲に漲る躍動感と緊迫感が凄い。
3者のバランスも素晴らしく録音も良い。
実に刺激的で痛快なアルバムだ。
<この1曲! BEST 3   >  
この1曲! TITLE / PERSONNEL この1曲が凄い!
1 "QUARTET"
g:
PAT METHENY
p:
BRAD MEHLDAU
b:LARRY GRENADIER
ds:JEFF BALLARD
2005年12月 スタジオ録音
JAZZ批評 406.
"SECRET BEACH"
MEHLDAU,GRENADIER,BALLARDの3人がMETHENYの引き立て役に徹している。全てはアンサンブルのために自己顕示欲を殺しているのだ。
この曲におけるMETHENYのソロは圧巻だ!
この曲だけのためにアルバムを買う価値あり。
2 "PILGRIMAGE"
ts:
MICHAEL BRECKER
g:PAT METHENY
p:BRAD MEHLDAU
b:JOHN PATITUCCI
ds:JACK DEJOHNETTE
2006年8月 スタジオ録音
JAZZ批評 421.
"TUMBLEWEED"
蒼々たるメンバーが火花を散らす。
ミュージシャンというのは死ぬ間際に、本当に線香花火のように光り輝くものだと心打たれた。BRECKER、渾身の熱演でサポート陣も乗りまくる。圧倒的迫力で魂を揺るがす。
3 "FALLING IN LOVE, AGAIN"
p:
MAKOTO OZONE

2007年4月 スタジオ録音

JAZZ批評 436.
"(JUST LIKE) STARTING OVER"
小曽根真のソロ・アルバム。インプロビゼーションが5曲を占めるが、1曲目のこの曲は多重録音を施してあるようだ。多重録音であろうがなかろうが、流れ出てくるこの曲に身を任せたい。
<推薦盤> 
推薦盤 TITLE / PERSONNEL ひとくちコメント
1 "THIS IS HONDA"
p:
TAKEHIRO HONDA
b:YOSHIO SUZUKI
ds:HUMIO WATANABE
1972年3月 スタジオ録音

JAZZ批評 386.
2006年に急逝した本田の27歳当時のアルバム。今、聴いても新鮮で、録音の良さと相俟って、座右のアルバムとして置いておきたい。
ここにはジャズの魂を揺さぶるエモーションが凝縮している。
2 "A SWINGING RENDEZVOUS"
p:
JAN LUNDGREN
b:JESPER LUNDGAARD
ds:ALEX RIEL
2007年2月 スタジオ録音
JAZZ批評 433.

マシュマロ・レコード制作。ややもすれば「売れ線狙い」だとか、「企画モノ」と言われてしまいそう。でも、ちょっと待って欲しい。「企画モノ」だろうが何であろうが、「良いモノは良い」ということでじっくりと耳を傾けて欲しいアルバムなのだ。
これだけの躍動感と緊密感に満ちたアルバムはそうそうあるものではない。
まさに「役者が違う!」のだ!
3 "HEART TO HEART"
p:
KEIKO IWASAKI
b:KUNIMITSU INABA
ds:YASUSHI TATSUKI
2007年1月 スタジオ録音

JAZZ批評 443.
まさにアルバム・タイトル通り。
心通い合う「ナチュラル & ウォーム」
地味であるが、こういう真面目なアルバム制作も目を向けておきたい。

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