独断的JAZZ批評 595.








JAZZ雑感(17) 
              manaの選ぶ 2009年 PIANO ALBUM BEST 3 +α

2009年、(昨年の12月中旬から今年の12月中旬までに)僕が購入し、「独断的JAZZ批評」にピックアップしたアルバムは全部で71枚(昨年は62枚)。そのうち、「厳選」入りが25枚(昨年は23枚)。打率、3割5分2厘は、3枚購入して1枚の割で大満足だったのだから、確率的には喜ぶべきかもも知れない。しかし、僕は試聴サイトで確認もして購入しているわけなので、この数値には決して満足していない。やはり、5割を目指したいものだ。

選定の基準は「躍動感、緊密感、美しさ」 更に、一体感とか昂揚感とか緊迫感が香辛料のようにスパイスされたら言うことはない。当然ながら、ここに挙げた8枚は、レビュー時、星5つのアルバムばかりだ。既に、何回も何回も繰り返し聴いているが、これからも繰り返し聴くことになるだろう。一生のお付き合いになるアルバムと確信している。

さて、僕のレビュー時の採点基準を載せておこう。
・★★★★★
・・・・大満足。一生のお付き合いだ。
・★★★★☆・・・・満足。払った金以上の価値はあり。
・★★★★・・・・・・普通。稀には聴き返すこともあるだろう。
★★★☆以下・・所有価値なし。多分、二度とトレイに載ることはないだろう。CDケースの肥やしとなるよりは気に入ってくれる人に選ばれたほうがディスクもうれしいだろう。中古の買取へ。

以上から僕にとってのボーダーラインは★4つ。

では、厳選25枚の中から今年のベスト・アルバム、8枚を紹介しよう。
これらはあくまでも今年1年間に僕が購入し、聴いたアルバムの中からの選定で発売時期や録音年月日は必ずしも2009年中とは限らない。
今年はMAGNUS HJORTHに始まり、MAGNUS HJORTHで終わる1年といっても過言ではない。この1年間にMAGNUSが参加しているアルバムのレビューは4枚。そのすべてが5つ星だった。今回、ベスト3に1枚、推薦盤に1枚の2枚をピックアップした。未だ25歳という若さ故、これからの活躍が更に期待できるだろう。6月下旬に来日し、一部のライヴ・ハウスで行われた白熱のライヴは2010年の年初にCD化されるという話も進んでいるという。これは楽しみだ。
日本のジャズを2枚ピックアップした。いずれもデュオというフォーマットをとっているが、十分にコミュニケーションがとれていて深い味わいがある。同時に、ジャズに対する慈しみを感じさせるアルバムだ。


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< PIANO ALBUM BEST 3 > 
この1枚 TITLE / PERSONNEL ひとくちコメント
1 "GETXO EUROPAR JAZZALDIA 2007"
ts:MARIUS NESET

p: MAGNUS HJORTH
b:PETTER ELDH
ds:ANTON EGER
2007年7月 ライヴ録音
JAZZ批評 585.
MAGNUS HJORTHとPETTER ELDHが参加する"PEOPLE ARE MACHINES"という名のグループ。2007年のジャズフェスでの白熱ライヴ。北欧の20代の若者が成し遂げた快挙。知性と野性が交錯する演奏に度肝を抜かれた。
2曲目の"BLAME WILHELM"におけるMAGNUSのバッキングとソロは本当に凄い。
スタジオ録音盤の"PEOPLE ARE MACHINES"(JAZZ批評 562.)も是非、聴いてもらいたい。
2 "LATER CIRCLE"
p:DON FRIEDMAN
b:GEORGE MRAZ
ds:RONNIE BEDFORD
1978年2月 スタジオ録音
JAZZ批評 
550.
待ちに待ったDON FRIEDMANの1978年録音のリイシュー盤。当時、圧倒的な存在感を示し、泣く子も黙ったベーシスト・GEORGE MRAZの参加なくしてこの傑作は生まれなかった。世間では"CIRCLE WARTZ"(JAZZ批評 77.)の評価が高いが、僕はこのアルバムこそFRIEDMANの最高傑作と信じて疑わない。
3 “MY WONDERFUL LIFE”
p:佐藤 允彦
+渡辺貞夫(as)、日野皓正(tp)、峰厚介(ts,ss)、山下洋輔(p)
2009年5,7月 スタジオ録音
JAZZ批評 
591.
今は亡きドラマー・富樫雅彦の書いたバラードを富樫と縁と所縁のあるミュージシャンがデュオを組んだアルバム。しかも、バラード集である。
ここにはリスナーの心を溶かす、日本が世界に誇れるジャズがある。
<推薦盤(レビューの日付順)>
1月 "OSLO"
p:ENRICO PIERANUNZI
b:TERJE GEWELT
ds:ANDERS KJELLBERG
2008年8月 スタジオ録音
JAZZ批評 528. 
イタリアのPIERANUNZI、ノルウェイのGEWELT、スウェーデンのKJELLBERGによる優雅にして上質感あふれる演奏は優しさと暖かさに包まれている。加えて、うねるような躍動感を堪能できる。
4月 "LE SUE ALI"
p:LUIGI MARTINALE
b:DREW GRESS
ds:PAOLO FRNCISCONE
2005年2月 スタジオ録音
JAZZ批評 549.
MARTINALEはDREW GRESSとの再演を待ちわびて2年の歳月を待ったという。そして、ナチュラルで暖かみのあるヨーロピアン・テイストに仕上がった。
MARTINALEのみならず、ベーシスト・GRESSも本領を発揮しており、GRESSにとってのベスト・アルバムでもあるだろう。
5月 "OLD NEW BORROWED BLUE"
p:MAGNUS HJORTH
b:PETTER ELDH
ds:SNORRE KIRK
2008年9月 スタジオ録音
JAZZ批評 555. 
MAGNUS HJORTHの最新アルバム。このアルバムで目を惹くのは曲の良さ。このMAGNUSはコンポーザーとしても卓抜の才能を秘めている。「いいテーマにいいアドリブあり」を具現化した。
併せて、"LOCO MOTIF"(JAZZ批評 537.)も聴いてもらいたいアルバムだ。
10月 "MY DEAR PIANISTS"
p:小曽根真、野力奏一、山本剛、秋吉敏子、ケイ赤城、イサオ ササキ
b:鈴木良雄
2009年3〜6月 スタジオ録音
JAZZ批評 587.
ベーシスト・鈴木良雄が音楽生活40周年を記念して、息の合う6人のピアニストとデュオを組んだアルバム。
各ピアニストと2曲ずつの合計12曲とボーナス・トラックの2曲が収録されている。暖かさと優しさに溢れており、ジャズに対する慈しみを感じさせるアルバムである。
11月 "A QUIET TIME"
p:AHMAD JAMAL
b:JAMES CAMMACK
ds:KENNY WASHINGTON
perc:MANOLO BADRENA
2009年7月 スタジオ録音
JAZZ批評 592.
79歳、AHMAD JAMALの天晴れアルバム。パーカッションを加えたカルテット演奏。今もって、「間」と「ダイナミクス」が健在だ。ワンマン・ピアノの色彩が強いが、見事にアンサンブルがコントロールされている。
(尊敬の念を込めて)この爺さん、本当に凄いわ!

(2009.12.15)

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