独断的JAZZ批評 725.

ERIC REED
ジャケットを見たときにピーンと閃くものがあった
"SOMETHING BEAUTIFUL"
ERIC REED(p), REUBEN ROGERS(b), RODNEY GREEN(ds)
2009年12月 スタジオ録音 (WJ3 : WJ31009)

まず最初に惹かれたのがこのジャケット。いいジャケット・デザインだなあ!ジャズの匂いがぷんぷんと漂ってくるもの。もうジャケットだけで購入する価値があると思った。丁度、SONNY CLARKの"COOL STRUTTIN'"(JAZZ批評 105.)のように世相を感じさせるジャケットだ。
ERIC REEDは現代アメリカの黒人ジャズ・ピアニストを代表するプレイヤーといっても過言ではないだろう。しかし、これはというトリオ・アルバムに恵まれなかった。僕が過去にレビューした2枚のアルバム"IMPRESSIVE AND ROMANTIC"と"HERE"は既に手元に残っていない。
しかし、このアルバムはジャケットを見たときにピーンと閃くものがあった。


@"SUN OUT" 何としっとりとした出だしなのだ。そうこうすると、ベースとドラムスがミディアム・テンポの4ビートを刻みだす。何という心地よさ!今までのREEDと違う!鍵盤を舞う指が踊っている。モーダルにただ突っ走るばかりが能じゃない。こういう一面も持っていたのかと感嘆する。こりゃあ、当たりだったね。
A"IN YOUR OWN SWEET WAY" 
スタンダードとなったBRUBECKの書いた佳曲。太いROGERSのベース、センシティヴなGREENのブラシ。素晴らしいアンサンブルだ。
B"BLACK TABLES" 
マレットを使ったGREENのドラミングでスタート。哀愁を帯びたROGERSのベース・ソロがいい。
C"HOW DEEP IS THE OCEAN" 
いかにも歌ものって感じのピアノがいいね。やはりコード進行のあるアドリブは楽しい。ご機嫌なREEDのピアノ・プレイが聴ける。
D"I STILL BELIEVE IN YOU" 
RICHARD ROGERSの書いた美しいバラード。余分なものがひとつもない美しさ。
E"LIFT UP YOUR HANDS TO THE LORD" 
明るくカラッと爽やか。
F"MAD ABOUT THE BOY" 
ラテン・リズムでゆったりと。
G"CITADEL" 
楽曲の面白さが堪能できるTONY WILLIAMSの曲。何やらプレイヤーも楽しそうだ。
H"HONESTY" 
BILLY JOELの一世を風靡したポップスもこんなにしっとりと・・・。何回も繰り返し聴きたくなる。ドラムスの音が聞こえないからデュオだろう。
I"SOMETHING BEAUTIFUL" 
アルバム・タイトルにもなっているREEDのオリジナル。躍動感に溢れる変拍子。 
J"IF I KNEW YOU"
 最後を締めるピアノ・ソロ。静かに深くて温かい!温めの風呂に浸かっているような・・・。ああ、気持ちいい!心の芯まで温かくなる。

素晴らしいアルバムだ。ERIC REEDのアルバムは試聴の段階までで購入まで至らないケースが多かった。実際、2枚のアルバムしか購入していないし、その2枚も既に中古市場におさらばした。
しかし、今回のアルバムだけは期待感を持って購入した。そう、ジャケット・デザインに惹かれた。で、その勘が見事に当たった。
REEDのみならず、ROGERSもGREENも絶妙な間合いで見事なアンサンブルを聴かせてくれる。久しぶりに聴いた黒人ピアニストの傑作アルバムと言えるだろう。聴くほどに味わい深くなるピアノ・トリオ・アルバムということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。こりゃあ、傑作だわい!   (2011.11.08)

試聴サイト : http://www.amazon.com/Something-Beautiful-Eric-Reed/dp/B005G82LTE




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