独断的JAZZ批評 719.

CHICK COREA / STEFANO BOLLANI
まさに"ONE piano player with four hands"なのだ!
"ORVIETO"
CHICK COREA(p), STEFANO BOLLANI(p)
2010年12月 ライヴ録音 (ECM : ECM 222 2779692)


CHICK COREAとSTEFANO BOLLANIのデュオは面白い組み合わせだと思っていたら、この二人、近年は結構、デュオのプレイを楽しんでるらしい。意外と言えば意外な組み合わせ。
COREA、70歳に対してBOLLANIは39歳。現代ジャズ・ワールドの中で押しも押されぬ第1人者の競演だ。いやがうえにも期待感は増してくる。
COREAには2007年録音の上原ひとみとのデュオ"DUET"(JAZZ批評 467.)があったが、これはすばらしいアルバムだった。僕は2008年のベスト3の中の1枚として選定している。このときは孫娘というほど年が離れていた。今度のBOLLANIは息子ほどの年齢だ。果たして、どんな演奏を聴かせてくれるのだろうか?

@"ORVIETO IMPROVISATION NO.1" 抽象的なインプロで始まる。このままアブストラクト的な色彩のままずっと行ってしまうのだろうか?という疑念を起こさせる。果たして、これも想定内なのか?
A"RETRATO EM BRANCO E PRETO" 
そして、見事にその懸念を払拭させてくれる躍動感に思わずニンマリする。そう、ジャズに躍動感がなければ、それはジャズではない!
B"IF I SHOULD LOSE YOU" 
今度はスタンダード・ナンバー。見事なインタープレイ!見事なアンサンブル!実に心地よい。ジャズを聴いてきて良かったと思う瞬間だ。2台のピアノが激しくバトル。それでも、余分なもの、邪魔なものがひとつとしてない。これには唸るね!
C"DORALICE" 
いやあ、素晴らしいの一言。一流のミュージシャンがお互いをインスパイヤーさせていくとこういう演奏に昇華していくのだろう。
いやあ、文句なしに素晴らしい!ここから先のコメントは必要ないね。あとはじっくりと、一人のリスナーとしてこの音楽を楽しみたい。

D"JITTERBUG WALTZ" 
E"AVALSA DA PAULA" 
F"ORVIETO IMPROVISATION NO.2〜NARDIS" 
G"ESTE SEU OLHAR" 
H"DARN THAT DREAM" 
I"TIRITITRAN" 
4本の手とピアノ以外も活躍。
J"ARMANDO'S RHUMBA" 
ヒヤー!参ったなあ!拍手喝采、鳴り止まず・・・。そりゃあ、そうでしょう!これほどの演奏だもの。
K"BLUES IN F" 
アンコールのブルースがまた素晴らしい!

このアルバムのライナー・ノーツにSTEFANO BOLLANIがコメントを寄せている。その中で"I have the feeling that we sound like ONE piano player with four hands"と語っている。まさにそういう印象を持つのだ。4つの手を持った一人のピアニストだと!それほど息が合っている。
先に触れた上原ひとみとのデュオ(JAZZ批評 467.)では、上原を慈しむCOREAの包容力を示してくれた。今度は、BOLLANIとのバトルがある一方で筆舌に表し難い緊密感がある。まさに"ONE piano player with four hands"なのだ!
ジャズという即興演奏の楽しさを満喫されてくれて、しかも、一人が4本の手で演奏しているのではないかというほど完成度が高いのだ。これは、COREA、BOLLANIの両人にとっても傑作アルバムのひとつになることは間違いないであろう。
COREAのアルバムで言うと、このアルバムより半年早く録音したトリオ・アルバム"FURTHER EXPLORATIONS"(JAZZ批評 705.)の汚名を返上するに値する素晴らしいアルバムである。COREAの生涯のアルバムの中でも5本の指に入るほどの素晴らしいアルバムになるに違いないということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。ウーン、素晴らしい。   (2011.10.06)

試聴サイト : http://player.ecmrecords.com/corea-bollani
         http://www.youtube.com/watch?v=wmGf3rSxqb0



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