なつかしい渋谷の歌、TUCWSにて(あるく渋谷川)    本文へジャンプ
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     なつかしい    渋谷の歌   
以下は、渋谷に住んだ音楽家によって作られた歌をメインに、かつての渋谷川について英語で発表したプチコンサートの記録です。教会の外国人のメンバーにも渋谷の文化や風土を知ってもらいたかったのでプレゼンテーションを企画しました。唱歌の内3曲を英訳で歌いました。歌詞の英訳は頁の最後をご覧下さい。出演は、歌が栗原愛子さん、ピアノが間中佳子さん、司会が梶山公子です。

東京ユニオンチャーチ婦人会のランチョンミュージックプログラム2/6/2005 
“Dear Old Songs from Shibuya” 「なつかしい渋谷の歌」

Soloist:Aiko Kurihara,Pianist:Yoshiko Kencyu, Narration:Kimiko Kajiyama


こんにちは!ようこそ。最初にソプラノの栗原愛子さんをご紹介いたします。栗原さんは東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業され、多くのコンサートに出演されています。愛子さんは多くのチャリティーコンサートにも参加されています。

表参道のこのあたりは昔、とても広々した自然にあふれた場所でした。今日とは全く違って、人々は植物、鳥たちと共に生活をし、そして農業を行っていました。「夏は来ぬ」の歌詞によると、白い卯の花が生垣に満開になり、ほととぎすが春の最初の歌を歌い、娘たちが稲の苗を田んぼに植えています。それは古い時代の渋谷の景色でした。2番目の歌は「子守唄」です。それは渋谷に住んだ作曲家によって作られました。曲の中で繰り返される「ねんねこ」は、お休み赤ちゃん、という意味です。ではお楽しみください。

1.夏は来ぬ
2.子守唄



ありがとう、愛子さん。皆さんとても素敵でしたね!!さて次に、昔の渋谷川についてお話します。渋谷川はかつて新宿御苑から東京湾までおよそ12kmの間を流れていましたが、今ではその半分が暗渠です。川は渋谷駅東口出口の近くで地上に出ますが、その川岸はコンクリートで固められています。今ではたいした川ではありませんが、かつては渋谷西部にたくさん水源がある大きな川でした。

およそ80年前、明治神宮の西にはたくさんの丘や谷があり、牧場もありました。自動車の警笛ではなく、牛の鳴き声が”モーッ“と響いていたわけです。田や畑の間に広々とした緑の原っぱがあり、そこで草を摘んだり野球をしたりもできました。次にそういった様子を描写した「緑のそよ風」を歌いますが、作曲家でバイオリニストの草川信(1893-1948)は1920年ごろ渋谷の小学校で音楽を教えていました。彼は先ほど愛子さんが歌われた「子守唄」の作曲家でもあります。

ところで、表参道には大きな池がありました。「鐙の池」といいました。私たちの教会、東京ユニオンチャーチはかつての池の真ん中に建っているのですよ。私たちは今ゆらゆらと水に浮かんでいますか。そんなことはありませんね。表参道を作るために埋め立てたのですよ。
 

  

昔はこの辺は大きな池だったのです。教会のマネジャー樋口一法さんのお話ですと、およそ1年前に地下室の壁から水が突然浸み出してきたということです。そして水溜りをつくったのです。彼はその水をくみ出し、苦労してフェローシップホールから外の溝へと水を流しだしました。なぜその水が湧き出したかは分かりません。でも、隣のビルが建設中だったそうです。教会の辺りの土地からはまだ水が浸み出してくることが分かりますね。昔渋谷ではここかしこから水が湧いていたのです。水はお金ではありません。でもお米や野菜を育ててくれる水はお金と同じぐらい価値があります。それはまた、水車も回して大きなエネルギーを取り出していたのです。19世紀後半、水車はお米をひいたり、粉薬を作ったり、とても役に立っていたのです。

どうぞ「森の水車」の歌の絵をご覧ください。


これは浮世絵作家の葛飾北斎による穏田の水車です。正確な場所は分かりませんが、この近くにこんな水車があったということです。江戸時代と明治時代、水車のおかげでこの地域は渋谷の中でもかなり進んだ所でした。水車はお米商人に利益をもたらし、その利益の一部は、渋谷で最初の小学校(渋谷小学校)を作るために使われ、学校の建設と運営に大きく貢献しました。この歌は第二次大戦(前)に渋谷の作曲家、米山正夫により作られましたが、戦後ラジオ放送により人気が出ました。水車は一日中回りながら、コトコトコットンと歌います。では、水車の歌と緑のそよ風を英語で聴いてください。

3.森の水車
4.緑のそよ風



There were wide rape blossoms
fields in Yoyogi-uehara.

(拍手)
ここでピアニストの間中佳子さんをご紹介します。佳子さんは最近Women’s Societyのメンバーになり、これからいろいろと皆さんとご一緒していくのを楽しみにしております。よろしくお願いします。

さて、古い時代には、渋谷の西部の地域は代々木九十九谷、西原九十九谷などと呼ばれていました。山は険しく谷は深かったのです。そのなかの一つから泉が流れ出し、他の水流と合わさって大きな流れとなりました。それが河骨川で、渋谷川へと流れ込んでいました。上流の岸には春になると花が咲き乱れ、魚もおよいでいました。その辺りを毎日孫娘を連れて散歩する方がいました。高野辰之博士です。彼はその女の子のために小さな川の歌を作詞しました。それはとても人気のある春の歌になりました。今の季節、魚は少し太りすぎ、緑は深くなりましたが、どうぞ次の歌をお聞きください。歌に出てくる“さらさら“という音は小川が流れる様子を表しています。(梶山公子が歌いました。)

5.春の小川

(拍手)
ありがとうございました。

次に愛子さんがプログラム最後の歌を歌います。セーヌ川の美しさを描いた歌です。

パリの空の下、恋人たちが歌うシャンソンが聞こえます。哲学者はベルシー橋のたもとに座り、音楽師はアコーディオンを奏でます。パリの空の下、楽しげに流れるセーヌ川、そのブルードレスの秘密は空の水色なのです…。渋谷川がセーヌ川のように美しくなることを祈って、「パリの空の下セーヌ川は流れる」をどうぞお聞きください。

6.パリの空の下セーヌ川は流れる  
   
                         
  
最後に「夏は来ぬ」をアンコールで歌っていただき、皆さんもご一緒に歌って盛り上がって終わりました。ありがとうございました。

Music Words

A Little Brook in Springtime (の小川)
(Word: TAKANO, Tatsuyuki, Composer: OKANO,Teiichi) 

Flows a little brook in springtime, sara-sara nagaru

Saying to flowers, “What nice blooms!” violets blooming on the banks

Saying to renge you have such graceful figures with good hues

“Flowers, now time, bloom and smell, murmuring, warbling, whispering, it flows.

 

Flows a little brook in springtime, sara-sara nagaru

Saying to shrimp and medaka, “Now staaay all day in the sun.”

Saying to fish “Play all together, and amuse yourself in swim in a school”

Flows a little brook in springtime whispering to fish it’s time for fun.

春の小川は さらさら流る

岸のすみれや れんげの花に

においめでたく 色美しく

咲けよ咲けよと ささやくごとく

 

春の小川は さらさら流る

えびやめだかや 小ぶなの群に

きょうも一日 ひなたでおよぎ、

あそべあそべと ささやくごとく

 

A Balmy Breeze(みどりのそよかぜ)
(Word: SHIMIZU, Katsura, Composer: KUSAKAWA, Shin) 
                

Comes a balmy breeze o’ er fields of green, what a wonderful day !

Butterflies dance over the fields

Come out flow’rs of bean

In the rainbow colored field, Sister picks soft greens

Lovely hands, I see at distance standing in a breeze


Comes a balmy breeze o’ er fields of green, what a wonderful day !

Strike I got when I pitch a ball

How well did I play !

Now, my turn to hit the ball, slide to second base

Safe! Being on the base, I wipe the sweat off my face

みどりのそよかぜ、いい日だね

ちょうちょもひらひら まめの花

なないろばたけに 妹の

つまみ菜摘む手が かわいいな


みどりのそよ風、いい日だね

ボールがぽんぽんストライク

打たせりゃ二塁の すべり込み

セーフだおでこの 汗をふく

 

The water wheel in the woods of green ((森の水車)
(Word: SHIMIZU, Minoru, Composer: YONEYAMA, Masao)                 

You can hear a merry song from far woods of green

Water wheel is, turning round, singing all day long

Lively sound is in the air, cheering you up

Listen to his merry music, what he does ever mean?

 

(Refrain)

Koto-koto-kotton, koto-koto-kotton

Fa mi le do si do re mi fa

Koto-koto-kotton, koto-koto-kotton

Work hard all day long 

Koto-koto-kotton, koto-koto-kotton

I know comes a day

Happy, wonderful, springy day soon comes along

 

Turns and sings the water wheel, beyond the woods of green

Keeping time with powder mill, sings a merry song

Even through a rainy day or all windy night

In a happy way he keeps singing his joy song

(Refrain) 


. 緑の森の彼方(かなた)から 陽気な唄が聞えます
あれは水車のまわる音 耳をすましてお聞きなさい

(繰り返し)

コトコト コットン コトコト コットン
ファミレドシドレミファ
コトコト コットン コトコト コットン
仕事にはげみましょう
コトコト コットン コトコト コットン
いつの日か 楽しい春がやって来る

雨の降る日も風の夜も 森の水車は休みなく
粉挽臼(こなひきうす)の拍子(ひょうし)とり
愉快に歌をつづけます

(繰り返し)

                                                   (English by Kimiko Kajiyama)

(終わり) 

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