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研究の倫理




 札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」です。カウンセリングの実践と研究を区別することなく扱う私の立場からすると、いわゆる研究の倫理とは職業倫理と何ら変わらないことになります。ここで取り上げたいのは、クライエントとのあいだで繰り広げられた出来事を、学会などで発表したり、文字化して雑誌に掲載することによって、専門家集団とはいえ不特定多数の目に晒してしまう場合のことです。一般的な心理学の実験倫理とも密接な関係があると思います。

 いまや、クライエントの承諾なしに事例の発表を行うことができない時代になりました。学会レベルでさまざまな倫理規定が定められ、われわれはそれにしたがう必要があるのです。つまり、それ以前には、もちろんプライバシーにかかわる部分を削除するなどして内容に修正を加えた上であっても、クライエントの承諾を得ないままデータとして使われた時代があったと言うことです。

 大昔の精神医学書を見てみると、なかには患者の顔写真がそのまま掲載されたものもあります。いまの時代では到底考えられないことです。かつては、医学教育や医学の進歩のためとはいえ、患者の意向が問われることさえなかったようなのです。いまはどうでしょう。インフォームド・コンセントが定着して、病院を受診すると書面にサインを求められる場合があります。

 臨床心理の領域でも、書面によるサインをあらかじめ求められるところが出てきたようです。書面でない場合には、説明を受けて、口約束を交わすことになるはずです。他の分野でもそうです。何かを購入するときには個人情報にかかわる説明を受け、署名捺印を求められるのが当たり前になってます。個人情報保護法との絡みです。

 私たちは、発表だけでなく、スーパーヴィジョンを受ける際にも、そのクライエントの承諾を得ておく必要があるでしょう。あなたはきちんと承諾を得ていますか?

 数年前に終結したケースだから、中身を少し修正すれば承諾なしに発表しても構わないと考えてはいませんか?

 これはあくまで複数人の心理テストの数値をまとめたものだから、個人が特定されることなどまったくあり得ないわけで、承諾など一切無用だと考えてはいませんか?

 他にも例はありますが、ここでやめておきましょう。もしも「えー、それって」と違和感を感じた方は、よい機会です。ここで、倫理についてじっくりと考えてみましょう。札幌・江別の「のっぽろカウンセリング研究室」でした。




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