ANDERS CHRISTENSEN
かのSTUNT RECORDSでもこういうアルバムを世に出すんだ!
"DEAR SOMEONE"
AARON PARKS(p), ANDERS CHRISTENSEN(b), PAUL MOTIAN(ds)
2008年9月 スタジオ録音 (STUNT RECORDS : STUCD 09102)


AARON PARKSの名前は、最近、ネットでも結構、目にするが、試聴段階までで購入までに至ったことがない。今回、何故購入したかというとレーベルが"STUNT"だったから。このSTUNT RECORDSというレーベルを僕は買っている。ミュージシャンの好きにやらせるレーベルという印象が強い。事実、数多くの傑作がこのレーベルから生まれている。
代表的なミュージシャンだけでも、CARSTEN DAHL、STEFANO BOLLANI、KASPER VILLAUME、KENNY WERNER、MAGNUS HJORTH・・・などなど、数えだしたら枚挙に暇がない。だから、きっと良いアルバムに仕上がっているだろうと期待した。
このアルバムのリーダーはベースのANDERS CHRISTENSENである。多分、初めて聴くベーシストだと思う。

@"DEAR SOMEONE" 
カントリー・ウェスタンのようなのんびりとしたテーマにちょっと驚く。これジャズのアルバムだよな?ともう一度、ジャケットを確認した。
A"SPLIT DECISION" 
MOTIANの曲だというが、まったくもって詰まらない。詰まらないのは曲だけのせいではなくて、PARKSのピアノのせいもあるだろう.。メリハリのない平板な演奏だ。
B"ARABESQUE" 
これもMOTIANの曲だけど、深くて静かな湖面を思わせるバラード。前曲と同じ作曲者、同じ演奏者であっても、テーマによってジャズはこれほど変わる。この深さはCARSTEN DAHLの"MOON WATER"(JAZZ批評 246.)を思い起こさせる。
C"CONCEPTION" 
このAARON PARKSのピアノは流麗とは言い難く、どちらかというと、朴訥なタイプだ。このピアニスト、中音域のプレイが多いので平板な感じを与えてしまう。もっと、沢山の鍵盤を使うようになればいいのに・・・。
D"SPEND ALL THE MONEY" 
CHRISTENSENのメリハリのないベース・ソロが延々と1分45秒続く。その後に奏でるピアノのテーマがベースのイントロとミスマッチング。まるで関係ないと感じてしまう。イントロは一体なんだったのか?これも牧歌的なウェスタン調のテーマであるが。
E"ONCE AROUND THE PARK" 
F"STOMPIN AT THE SAVOY" 
お馴染みのスタンダード一発。このアルバムの中にあってはテーマの良さが際立つ。
G"THE WEDDING" 
ここでも冗漫なベース・ソロが1分以上続く。
H"I'LL BE SEEING YOU"
 これもテーマは良し。PAUL MOTIANのドラミングというのは結構、好き嫌いが出るんじゃないだろうか?妙に暗かったり、妙に軽かったり、良く分からないドラマーだ。このチューンでは妙に軽いね。
I"LITTLE ONE"
 ほとんどフリー・テンポのバラード。醒め切っている感じ。

非常に意外な印象を持った。かのSTUNT RECORDSでもこういうアルバムを世に出すんだ!・・・と。
正直に言って、これは残念なアルバムだ。二度と聴こうとは思わないし、聴きたいとも思わない。STUNT RECORDSがANDERS CHRISTENSENに好きなようにプレイさせたアルバムだとしたらクエスチョンマークが5個ほど点いてしまう。所詮、CHRISTENSENはこの程度のプレイヤーだったのかと・・・。
しかし、STUNTだったらこれで良しとはしないだろう。狙いは何だったのだろう?   (2009.12.20)

試聴サイト:http://www.emusic.com/album/AC-Trio-feat-Anders-Christensen-Aaron-Parks-and-Dear-Someone-MP3-Download/11680152.html



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独断的JAZZ批評 596.