EDWIN BERG
靴の上から足を掻くような気分だ
"PERPETUUM"
EDWIN BERG(p), ERIC SURMENIAN(b), FRED JEANNE(ds)
2008年9月 スタジオ録音 (BEE JAZZ : BEE 039)


EDWIN BERGはオランダのピアニストで1972年の生まれだという。今年、37歳になる。初めて聴くピアニストだ。
オランダのピアニストというとPETER BEETS(JAZZ批評 182. & 581.)やJURAJ STANIK(JAZZ批評 170.)、JACK VAN POLL(JAZZ批評 191.)あたりの傑作アルバムを思い出すが、いずれもヨーロッパだけで括れないアメリカ的なストレートなスイング感を併せ持っていた。そういえば、元々ベーシストだがピアノを弾いて"OMNIBUS ONE"(JAZZ批評 481.)と"OMNIBUS TWO"(JAZZ批評 459.)という2枚のアルバムを出したERNST GLERUMという強者もいたなあ。(余談だが、"OMNIBUS THREE"もリリース間近だというが、今回はベースに専念しているらしい)
対して、このアルバム、ジャケットから受けるイメージはいかにもヨーロッパ的な透明感のあるジャズという印象を深くするのだが・・・。アルバム中、BERGが5曲を、SURMENIANが1曲、JEANNEが2曲を提供している。

@"PERPETUUM PRAIRIE"
 クラシカルなテーマで始まる。ジャケット・デザインにもあるような海をイメージしたような楽曲。鳥が飛んでいるような音も入る。確かに清涼感や透明感のあるユニークな演奏ではある。所謂、癒し系の環境音楽のようでもある。
A"LIBELLULE DES SABLES"
 @の延長線上にある音楽。あくまでも、丹精で美しい。
B"PRELUDE BWV 847"
 これもクラシカルなテーマ、というよりも、ズバリ、クラッシクそのもの。作曲者はバッハらしい。ここまで聴いてくると、このピアニストはこういうスタイルで貫き通すのだろうと思ってくる。
C"JAANA"
 
D"HERINNERING"
 
E"AMADEUS FIRST DANCE"
 
F"PARISIAN THROUGHFARE"
 BUD POWELLの書いた曲も美しいアレンジが施されている。
G"ALL THE THINGS YOU ARE"
 このスタンダード・ナンバーもアレンジが凝っている。まだるっこしいようなアレンジに少々辟易する。「もっとストレートにすっきりやれよ!」と言いたくなってしまう。
H"BEN"
 
I"TUNA IN PINK"
 
J"VOICES"
 
K"REMEMBERING YOU"
 

ある意味、個性的である。底辺にあるのはクラッシクかもしれない。美しさや透明感が強く、ヨーロッパ的といえばヨーロッパ的な演奏ではある。ただ、ジャズ的なストレートな表現方法は皆無で、持って回ったような演奏スタイルに好き嫌いがはっきり出るだろう。
僕?これは馴染めないなあ。靴の上から足を掻くような気分だ。   (2009.12.13)

試聴サイト : http://www.emusic.com/album/Edwin-Berg-Perpetuum-MP3-Download/11616950.html



独断的JAZZ批評 594.