独断的JAZZ批評 562.

PEOPLE ARE MACHINES
これを聴いた黒人ジャズ・プレイヤーは真っ青になるに違いない。
"PEOPLE ARE MACHINES"
MARIUS NESET(ts), MAGNUS HJORTH(p), PETTER ELDH(b), ANTON EGER(ds)
2006年1月 スタジオ録音 (CALIBRATED : CALI042)


MAGNUS HJORTH(p)絡みでジャズ友から教えてもらったアルバム。日本ではほとんど無名に近いグループかもしれない。何しろネーミングからして一筋縄にいかない。"PEOPLE ARE MACHINES"だもの。MAGNUS HJORTHはこんなテナー・カルテットのグループにも参加していたんだ!スキン・ヘッドの4人のジャケットからは想像もつかない音楽が創出されてくるので二度びっくり。
こいつぁ驚きだ!ぶっ魂消た!いやあ、参ったね!
メンバーを見ると、MAGNUS HJORTH TRIO(JAZZ批評 537. & 555.)からHJORTH(p)とPETTER ELDH(b)が、PHRONESIS(JAZZ批評 541.)のグループからANTON EGER(ds)が、そしてテナー・サックスにMARIUS NESETが参加している。全員が1980年代の北欧生まれという若手のミュージシャンだ。全ての曲が彼らのオリジナル。HJORTHが@、B、D、ELDHがA、C、EGERがE、NESETがF。

@"BLAME WILHELM" 
いきなりハード・ドライヴの演奏で始まる。アドリブに移るあたりからEGERのドラミングが激しく煽りだし、続くELDHのベースが躍動する4ビートを刻んでいく。合間に打ち込まれるHJORTHのバッキングが素晴らしい。強力なサポートを背景にNESETが激しくブロウする。タイトルの中にある"WILHELM"とはドラムスのANTON EGERのミドル・ネームかもしれない。
A"ARTIFICIAL TURF"
 リズミックなEGERとELDHのリズムに乗ってHJORTHのピアノとNESETのテナーがご機嫌に歌う。
B"SPLINTER" 
ピアノとテナーがユニゾンでテーマを執る。テナーとピアノの会話が楽しい。続くELDHのベースは太くて逞しい。知性的で、しかも、野性味がある。凄いベーシストが現れたものだ。
C"BABYLISS MOMENTS" 
しとっりした曲想。NESETのテナーがいい音色だ。続くELDHのベース音はアンプの増幅を感じさせない硬くてアコースティックないい音色だ。ここではHJORTHのバッキングにも耳を傾けたい。センスのよさが分かるだろう。NESETのテナーがクライマックスを迎えテーマに戻る。
D"PRIME TIME" 変拍子にもかかわらず躍動するベース・ライン。並みのリズム感覚ではとてもついていけない。しかし、ピタリと嵌っている。これは数えないこと。流れ出てくる音楽に身を任せよう。これが北欧の若手ミュージシャンが創出した音楽だ。こいつぁ凄いね。痺れるね。4人が4人とも只者ではないね。この曲はHJORTHの書いた曲だが、作曲のセンスも凄い。
E"D. S." 
MAGNUSのピアノが凄い。ピアノ・トリオでは見せたこともない激しさと爆発力を見せ付けてくれる。激しく高揚していく壮大なアンサンブルが素晴らしい。「どうだ、参ったか」と言わんばかりの昂揚感に釘付けとなる。鳥肌が立ってくるので暖かくして聴きたいものだ。
F"PLAIN/PLANE" 
壮大な音宇宙が展開される。

はっきり言って、この4人は皆、滅茶苦茶上手いね。知性的で、しかも、エモーショナルだから黒人ミュージシャンだってうかうかしていられない。ドラムスが飛び跳ね、ベースが太くて強靭、ピアノは鋭い楔を入れるし、テナーは豪快に咆哮するし・・・・。
いやあ、参ったね。これが北欧の20代のミュージシャンが演奏するジャズだったとは!これを聴いた黒人ジャズ・プレイヤーは
真っ青になるに違いない。
MAGNUS HJORTHはピアノ・トリオもいいけど、こうしたテナー・カルテットでもその才能を十二分に発揮している。バッキングが上手いのでグループの昂揚感を醸成していくのに最適だ。
僕の中では、このアルバムは今年のベスト・ファイヴに入ることは間違いないと思いつつ、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2009.06.09)

試聴サイト : http://www.myspace.com/peoplearemachines



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