Masahiko SATOH
ここにはリスナーの心を溶かす、
日本が世界に誇れるジャズがある

"MY WONDERFUL LIFE TOGASHI Masahiko BALLAD COLLECTION"
佐藤允彦(p: @〜L), 渡辺貞夫(as: @,E,H), 日野皓正(tp: A,D,I), 峰厚介(ts: B,J,L、 ss: F), 山下洋輔(p: M)
2009年5,7月 スタジオ録音 (RATSPACK RECORDS : RPES-4856)


僕はデュオというフォーマットが好きだ。今までに「厳選」に入れてきたアルバムも数多くある。自分自身の確認の意味を含めて、全て列挙してみよう。
1.ピアノとベースのデュオ
・BILL MAYS & RAY DRUMMOND "ONE TO ONE 2"(JAZZ批評 259.
・TERJE GEWELT & CHRISTIAN JACOB "HOPE"(JAZZ批評 275.
・KENNY DREW & NIELS-HENNING ORSTED PEDERSEN "DUO LIVE IN CONCERT"(JAZZ批評 292.
・JAN LUNDGREN & GEORG RIEDEL "LOCKROP"(JAZZ批評 338.
・OLIVIER ANTUNES & JESPER LUNDGAARD "ARCHING"(JAZZ批評 346.
・ENRICO PIERANUNZI & MARC JOHNSON "YELLOW & BLUE SUITES"(JAZZ批評 487.
・鈴木良雄 & 小曽根真、野力奏一、山本剛、秋吉敏子、ケイ赤城、イサオ ササキ "MY DEAR PIANISTS"(JAZZ批評 587.
2.ピアノとサックス
・KENNY BARRON & GEORGE ROBERT "PEACE"(JAZZ批評 147.
・STAN GETZ & KENNY BARRON "PEOPLE TIME"(JAZZ批評 231.
・KENNY WERNER & JENS SONDERGAARD "ATIME FOR LOVE"(JAZZ批評 509.

3.ピアノとトランペット
・TOM HARRELL & DADO MORONI "HUMANITY"(JAZZ批評 546.
4.ピアノとギター

・STEFANO BOLLANI & LUIGI TESSAROLLO "HOMAGE TO BILL EVANS AND JIM HALL"(JAZZ批評 326.
5.ピアノ*2
・CHICK COREA & 上原ひろみ "DUET"(JAZZ批評 467.
6.ギターとベース
・PAT METHENY & CHARLIE HADEN "BEYOND THE MISSOURI SKY"(JAZZ批評 6.
という具合で、合計14枚が「厳選」に入れたアルバムだった。

翻って、このアルバムであるが、これはドラマー・富樫雅彦の書いたバラードを、今は亡き富樫と縁と所縁のあるミュージシャンがデュオを組んだアルバムである。しかも、バラード集である。佐藤允彦のピアノと日本を代表するミュージシャンとの心温まる会話を堪能いただきたい。

@"MY WONDERFUL LIFE" 
(渡辺貞夫 & 佐藤允彦)最初に、この演奏を聴いて心が溶けていくような気分を味わった。そうか!このアルバムはそういうアルバムなのだ。5人のプレイヤーの演奏で、硬くなっている己が心を溶かしてほしいと思った。
A"REMINISCE-'63" 
(日野皓正 & 佐藤允彦)
B"MEMORIES" 
(峰厚介 & 佐藤允彦)
C"WALTZ STEP" 
(佐藤允彦ソロ)
D"EVERLASTING FRIENDSHIP" 
(日野皓正 & 佐藤允彦)
E"WHERE AM I GOING ?" 
(渡辺貞夫 & 佐藤允彦)
F"DANCING IN THE DREAM" 
(峰厚介 & 佐藤允彦)
G"SORROWFUL DAYS"
 (佐藤允彦ソロ)
H"TODAY'S FEELING" 
(渡辺貞夫 & 佐藤允彦)
I"I'LL SING FOR MY FRIENDS" 
(日野皓正 & 佐藤允彦)
J"TILL WE MEET AGAIN" 
(峰厚介 & 佐藤允彦)
K"GOOD NIGHT MY FRIENDS" 
(佐藤允彦)
L"THE PAST IS BEAUTIFUL AFTER ALL" 
(峰厚介 & 佐藤允彦)
M"MY WONDERFUL LIFE" 
(山下洋輔ソロ)

素晴らしいテーマがあり、素晴らしいミュージシャンの心通うプレイがあれば、もう、多くを語る必要はないでしょう。じっくりと一音一音を味わってほしいアルバムということで「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。ある意味、鈴木良雄のデュオ・アルバム"MY DEAR PIANISTS"(JAZZ批評 587.)にも共通したアルバム作りで、ジャズに対する暖かな気持ちが伝わってくる。ここにはリスナーの心を溶かす、日本が世界に誇れるジャズがある。   (2009.11.07)



独断的JAZZ批評 591.