JAZZ雑感(23) manaの選ぶ2014年 JAZZ ALBUM BEST 5 |
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今年(レビュー期間H25.12.16〜H26.12.15)のCDレビューは71枚。 昨年の50枚と比べると大幅アップ。レビューの数は71枚だが、5つ星に選定したアルバムの数は30枚。打率4割2分2厘というのは一昨年から続く3年連続の4割台だ。 これは、最近は試聴サイトが大幅に増えて吟味できるようになったのと、FB友達とのジャズ情報の交換が大きな要因になっている。事実、ジャズ友から紹介されたアルバムがベスト・アルバムの中に2枚もある。 今年の傾向として、デュオの良作が多かった。全部で13枚を購入したが、そのうちの7枚が5つ星だった。量といい質といい非常に満足いくものであった。 さて、ベスト・アルバムであるが、今年もフォーマットによってベスト・アルバムを選定してみた。ソロから1枚、デュオとトリオから各2枚、合計5枚を選定した。 さらに、この中から"BEST 1"を選ぶとするなら、ぶっちぎりの1位ということで、 JULIAN WATERFALL POLLACK TRIO の"WAVES OF ALBION" を選ぶ。松山のジャズ友が紹介してくれたアルバムだ。今年、一番聴いたアルバムでもある。 |
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< JAZZ ALBUM BEST 5 > (ジャケット画像をクリックするとレビューにリンクします) | |||
この1枚 | TITLE / PERSONNEL | ひとくちコメント | |
BEST 1 |
"WAVES OF ALBION" p:JULIAN WATERFALL POLLACK b:NOAH GARABEDIAN ds:EVAN HUGHES 2012年8月 スタジオ録音 (BERTHOLD RECORDS) |
POLLACKはアメリカ・ジャズシーンに彗星の如く現れた「逸材」だと確信する。 アメリカ民謡の2曲とインディーなポップスが2曲。POLLACKのオリジナルが4曲という構成であるが、どの曲も奏でるテーマが美しくてシンプル。「いいテーマにいいアドリブ」を具現化してくれた。 POLLACK自身も、アメリカのフォークソングやロックはシンプルな素材で、これに自分流の味付けを加えていきたいと語っている。 未だ26歳という年齢もさることながら、その才気あふれる演奏ぶりに唸ってしまった。 |
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BEST 2〜5(順不同) | |||
SOLO |
"ONTOLOGY" p:後藤浩二 2013年12月 スタジオ録音 (TOAST : TBCJ-14051) |
"ONTOLOGY"とは哲学用語で「存在論」という意味らしい。 後藤が数えきれないほどのセッションを共にした今は亡きベーシスト・岡田勉の曲と自作曲をソロで表現したスタジオ録音盤。 後藤浩二、渾身のピアノ・ソロである。 |
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DUO |
"AT ORPHEUS THEATER LIVE MAY 2012" g:ULF MEYER b:MARTIN WIND 2012年5月 ライヴ録音 (LAICA: LC 07577) |
ギターとベースのデュオ。 電子楽器を駆使した仰々しい演奏ばかりが能じゃない。デュオ演奏で音数は少なくても密度が濃い音の小宇宙。ベテラン奏者の楽器を通した会話が温かくて、切なくて、心地よい。 こういう演奏を聴くと心からホッとする。 |
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"JUST FRIENDS (LIVE AT THE CRYPT)" p:JACK VAN POLL b:HEIN VAN DE GEYN 2014年3月 ライヴ録音 (SEPTEMBER : 5174) |
今年の3月に録音された本アルバムは、JACK VAN POLLが80歳の時の演奏だ。まさに、「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」的ライヴ録音盤なのである。二人の付き合いは40年にも及び、全てを知り尽くした者同士のデュオだ。オーディエンスも一体となる小さなライヴ・ハウス。居合わせたオーディエンスは大満足だったろう。 おまけに幸せ感まで共有できたに違いない。 |
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TRIO |
"BADLANDS" p:ALAN PASQUA b:DAVE CARPENTER ds:PETER ERSKINE 2001年8月 スタジオ録音 (FUZZY MUSIC : PEPCD011) |
ちょっと古いが、ジャズ友の紹介を受けて初めて聴いた。 一連のトリオ・アルバムはPETER ERSKINEが名義の筆頭になっているが、主役はやはりピアノのALAN PASQUAだ。この人のピアノは単に美しいだけでなく琴線に触れる優しさや温かさがある。そして、DAVE CARPENTERの太くて温かみのあるベース、影のようにそっと寄り添うERSKINE、3人が織りなす一級のトリオ・アルバムである。 ヨーロッパのピアノ・トリオとも違う、温かみがあって知的で琴線を刺激するアメリカのピアノ・トリオ。 |
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●JAZZ雑感(22) 2013 PIANO ALBUM BEST 5 +α ●JAZZ雑感(21) 2012 PIANO ALBUM BEST 5 ●JAZZ雑感(20) 2011 PIANO ALBUM BEST 5 + α ●JAZZ雑感(18) 2010 PIANO ALBUM BEST 3 + α ●JAZZ雑感(17) 2009 PIANO ALBUM BEST 3 + α ●JAZZ雑感(16) 2008 PIANO ALBUM BEST 3 + α ●JAZZ雑感(15) 2007 PIANO ALBUM BEST 3 + α ●JAZZ雑感(14) 2006 PIANO ALBUM BEST 5 + α ●JAZZ雑感(13) 2005 PIANO ALBUM BEST 3 + α ●JAZZ雑感(10) 2004 PIANO ALBUM BEST 4 + α ●JAZZ雑感( 9) 2003 PIANO BEST ALBUM 最後に、僕のアルバム・レビューの採点基準を載せておこう。 アルバム・レビューの基準は「美しさ、躍動感、緊密感(緊迫感)」 更に、一体感とか昂揚感がスパイスされたら言うことはない。 ・★★★★★・・・・大満足。一生のお付き合いだ。 ・★★★★☆・・・・満足。充分楽しめる。5つ星との差はわずか。 ・★★★★・・・・・・普通。最近はほとんど聴き返すことがないので買取に出している。 ・★★★☆以下・・所有価値なし。多分、二度とトレイに載ることはないだろう。CDケースの肥やしとなるよりは気に入ってくれる人に選ばれたほうがディスクもうれしいだろう。中古の買取へ。 (2014.12.16) |
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